店長日記

画像: フランス・コルシカ島、暑い島に吹き抜ける涼しい風

フランス・コルシカ島、暑い島に吹き抜ける涼しい風

2019年08月28日

コルシカ島はフランスの領土ですが、イタリア、スペインに支配されていた歴史があります。
その中で作られた食文化に近年新しいスタイルのワインが造られるようになりました。歴史的に見るとワイン造りは北部がメインで南部は東側の狭い平地の湿地帯とやや高度のある丘の上の花崗岩土壌砂質の土地にアルジェリアからの帰還者、ピエノワールを受け入れた土地というイメージ。
その中で今回ご紹介するドメーヌ ド ラ ムルタは中間にあたる最南端、ボニファッショの西側のAOPフィガリに畑があります。
ここのワイナリーのロゼはシャカレル、赤はカリュカジョル・ネル、シャカレルの混植、混醸にグルナッシュのブレンドとなっています。
コルシカの気候条件は南北差ではなく標高差が大きな影響をあたえ、最南端のフィガリとは言え決して暑く、湿度が高いわけではなく、涼しげな風が吹き抜ける畑に房が大きく、密度の高いカリュカジョル・ネルが病気もなく育つ環境としては申し分ない土地。南部の土地は湿地帯が多く、その中でカビにも強い品種と言えます。その上、暑すぎない土地で造られる葡萄の味わいは透明感とブレンドの妙で奥行きのある味わいになります。
そんな環境の中、現当主のセバスチアン・カンターラさんは農薬も使わず、様々な試みを続けます。
発酵も葡萄のキャラクタを見てステンレス、コンクリートタンクを使い分ける。ワインの生産というより作品をつくる芸術家というイメージです。
コルシカ南部はこのような様々なスタイルのワインを造る生産者が近年増えてきて、その土地の食文化、歴史とは違う路線のスタイルもたくさん作られているが、この地元品種のカリュカジョル・ネル、シャカレルを使ったワインとしてはとびぬけた作品を作った。
地中海のイメージを捨てて、純粋にこの作品と向き合うことをお勧めします。


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