店長日記

海の味より山の味~クロアチア

2015年06月15日

ワインビジネスをやっていて近年注目している国の一つにクロアチアがあります。

クロアチアは国土の形が「く」の字になっていて、長いのですが、日本同様長い地形の国には様々な変化が見られます。

ワイン産地の側面からみて、大きく分けると、アドリア海に面した、ダルメシアン犬でおなじみのダルマチア地方、イタリア、スロヴェニアに接するイストラ半島、ハンガリー、セルビアに接し、樽の材料となる木材を産するスラヴォニア地方を含む内陸部になります。

もともと、クロアチアワインは大まかに言って、地元品種を使い、長くても5年以内くらいに飲む、若飲みタイプが多かったのです。

アドリア海側沿いのダルマチア地方、イストラ半島はローマ帝国、ヴェネツィア王国時代からの交流でイタリア文化の影響を深く受けています。

ぶどう品種やその製造、味わいを決定するブレンドにも、イタリアの影響を感じます。

実際に、ドゥヴロヴニク、スプリト、リエカなど海沿いの町はローマ帝国時代の遺跡、イタリア風の食事、イタリア人観光客の多さなど、歩いていても、「ここはイタリアか!」、と思うほどです。

レストランもイタリアンが圧倒的に多いような印象を受けました。

それに比べて北部の内陸側はセルビア、ハンガリーの影響を受けているため、海側の地方とは一線を画した文化があります。ここは紀元前4世紀ごろからワイン造りが始まったと言われ、ドナウ川が作る肥沃な大地で育ったぶどうは昔ながらの大樽熟成でエレガントなスタイルのワインを造ります。

食事は今のオーストリアのハプスブルク家、ハンガリー王国、今のトルコのオスマン帝国時代の影響が残っているのでしょうか、グヤーシュなどのパプリカ、スパイスを利かせた肉、川魚の料理が多い印象です。

そんな歴史を深く刻んだワインがクロアチア最西端のイロクという町で造られています。町を流れるドナウ川の向こう側はハンガリー。

cr-slv-0001 イロチュキ ポドゥルミ グラシェヴィーナ セレクテッド 2013 (白)
cr-slv-0002 イロチュキ ポドゥルミ カピストラン ツルニ セレクテッド 2012 (赤)


創業1450年。クロアチアで最も古くから続くワイナリーです。ボルドーやブルゴーニュが自家詰めを始めるはるか前の1700年代より元詰めを行っており、クロアチア国外にワインを売った最初のワイナリーでもあり、1953年には英国のエリサベス女王の即位式に11,000本ワインを収め、今もイギリス王室のワインリストには彼らのワインがオンリストされています。
19世紀後半に世界的に猛威をふるったフィロキセラの被害もクロアチア東部では地質、気候的要因と国際品種が殆ど植えられていなかった関係でブドウが生き残り、現在に至るほど歴史が感じられるワインといえるでしょう。

そんな歴史の深さに触れてみるのはいかがでしょう。


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