フランスワイン地図の線引き

日本人に最もなじみのあるワインはフランス産のワインでしょうか。
フランスは行政上一つの国となっておりますが、実際に地方に行ってみると同じ国の中でも違う国に来たような錯覚にとらわれる時があります。

フランスの文化圏、言葉でいうと大きく分けてラングデュイユとラングドックという二つの言語圏が南北に分かれています。
しかし、フランス国家は歴史的に早い段階で、言語政策をまとめてきた国ですからもちろんどこに行っても標準フランス語が普通に通じます。
人間の文化というのはモザイクのようですから簡単に意思疎通の方法が統一できるわけもなく、そんなフランスでもいろいろな言葉が見られます。
周りの国の影響もありますからベルギー、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスとの中間的な言葉も存在するわけです。

ワインと食文化も同じことが言えると思います。ぶどうを醸造して、熟成段階前のブレンドの段階で生産者と醸造責任者が味を決定するわけですが、その地方に暮らす人々の食生活の嗜好に合うワインの味にすることは想像に難くないと思います。各地方に様々なスタイルのワインが存在します。
また、大きなメーカーですと、インターナショナルなマーケットを見据えて、万人受けする味わいにするでしょう。

そんな中、今、筆者が注目しているのは南フランスのラングドックです。
南フランスはボルドー、ブルゴーニュと違ってフラッグシップとなるべき生産地、生産者がまだ見当たらないような気がします。
ボルドーならポーイヤック、マルゴー、グラーヴ、サンテミリオン、ブルゴーニュなら、シャンベルタン、モンラッシェなどの格付けがあります。
南フランスはグランヴァンの格付けもなく、広大な土地のせいか、まだまだ日本のマーケットにとって未開の地域といえるのではないでしょうか。

同じ南フランスでも東部のコート デュ ローヌ地方ですが、90年代~2000年代初頭のローヌはボルドー、ブルゴーニュを凌駕する生産者、AOCが台頭していましたが、その後AOCを拡張したせいか、近年の天候不順のせいか、そのレベルの落ち込みぶりは残念でなりません。ブラインドテイスティングしてもAOCの特性がはっきり見られない、すぐに香りや味が開いて、どの国の飲み手に尻尾を振るかわいい子犬のようです。これはあくまでも個人の感想です。

西部のラングドックでも、同様にフラッグシップと言える地域はまだないような意識ですが、フィトーやコルビエールなど歴史、優良な環境、土壌を持ちながら、日本ではまだまだ認知度が低いと言えるかもしれません。ラングドックで有数のメーカー、ジェラール・ベルトラン氏が日本でプロモーションをやった時もその点では苦労していたように見えました。
彼は元ラグビー選手でしたので親近感もあり、応援もしたのですが、その後、成果は出たかどうか。

逆説的にとらえると、南フランスのワインは認知度の低い、リーズナブルなワインの中にグランヴァンのポテンシャルを兼ね備えたワインがたくさんあるということです。

当店ではそんなモザイクのように入り混じったワインの中で、これはと思う探し当てたワインをそろえています。

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ぜひお試しください。