2015年6月

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ようやく、今頃、ブルネッロ ディ モンタルチーノを入荷したのには個人的な感情と理由があります。

多くの日本の方々は知らないか、お忘れになったころだと思いますが、2008年4月に発覚した、ブルネロ・ディ・モンタルチーノスキャンダルといわれる偽装問題があったことを。

ブルネロ ディ モンタルチーノにサンジョヴェーゼ種以外のぶどうがブレンドされているという疑惑が持ち上がり、ワイン醸造の基準を偽装しているとして、警察の調査が進められることとなりました。

政府もアメリカをはじめ、輸出を差し止め、調査を進めた結果、144,000ケースのブルネッロと75,000ケースのロッソ ディ モンタルチーノ、キャンティ クラシコとその他の赤ワインがIGT(地域特性表示ワイン。フランスの「ヴァン・ド・ペイ=地方のワイン」に相当する。)に格下げされ、11,000ケースのワインが蒸留に回されたと発表された。なお、差し押さえにあって、その後格下げされたワインは、そのカテゴリーのワインとして販売できるとした。

警察の公式発表では17人が関与し、その中にはかなりの有名なカンティーナも含まれていたようです。

個人的にいまでも疑惑が残るのは、差し押さえたワインの真偽をどうやって確定したのか?

実は確定でききらずに、出荷を待つより、格下げして出荷したことに不満があります。

もともと一本一本、チェックするのは数量的にも、テイスティング的にも不可能であったのは最初から明らかだったと思います。

結局、調査に乗り出した警察も捜査レポート作成に終始するしかなかったのです。

消費者側から納得するにはスキャンダルにさらされた生産者の自助努力で立ち直るしかなかったわけです。

噂のあった生産者は別として、自分の中で消化するためには昔から飲み慣れたブルネッロの記憶を信じるしかありませんでした。

そういう意味では、今回入荷した、

it-tsc-0007 カパンナ ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2009

は自分の中で納得できたヴィンテージであると確信したワインのうちの一本と言えるワインです。
イタリアから新入荷のお知らせです。

トスカーナ州の銘醸地、モンタルチーノ村より、ブルネッロ ディ モンタルチーノが入荷します。

it-tsc-0007 カパンナ ブルネッロディモンタルチーノ 2009 (赤)
時代の流れで、多くの生産者が熟成期間の短縮や小樽の導入などを行う中、彼は何一つ変えることなくワイン造りに取り組んでいます。

it-pmt-0013 カステッラーリ ベルガーリオ サッルヴィ ガヴィ 2014 (白)
伝統葡萄コルテーゼの可能性を追求すること。次に彼らの生まれ育った大地の土壌の個性を尊重する事。最後にこれまで4代に亘り培った経験の尊重と新しい栽培と醸造の技術の導入を図る事である。これら3つの理念を尊重しガヴィの探求を続けています。夏の涼を取るお食事にはよく合います。

it-lom-0001 プレヴォスティーニ サンタリタ ロッソディヴァルテッリーナ 2012 (赤)
ヴァルテッリーナの大地に根付いたネッビオーロの優雅さ気品を表現し、大切なひと時として食事とともにある洗練されたワインを造ることが原点となりワイン造りに取り組んでいます。

it-mrq-0001 テッレヴェルディ ヴェルディッキオ ディ カスティッリ ディ イエジ クラッシコ 1500ml 2013
it-mrq-0002 テッレヴェルディ ロッソ ピチェーノ 1500ml 2013
アドリア海に面した県都の港町アンコーナから内陸に30km入った街イエージは、神聖ローマ皇帝として名高いフェデリコ2世の西端の地として歴史にその名を留めます。
イタリア現地で飲むトラットリアのハウスワインさながらに、お手頃な価格で楽しめかつ、食事と共にのみ飽きしない味わいで業務店でのグラスやカラフェでの提供に非常に高い人気を誇ります。非常に高いコストパフォーマンスです。パーティにぜひおためしください。

よろしくお願いいたします。

Aqua Vitae
店長
河合
昨夜、お客様主催の食事会にお招きいただく機会がありました。

その時に食したのはトマト、バジルのサラダ、主菜もサーモンとハーブのソテー、フランス各地のウォッシュタイプのチーズでしたので、しっかりした味わいよりも繊細さを感じるワインがよく合いました。

それに合わせたのはチャコリ、ハンガリー、クロアチア、フランスのプロヴァンス、サヴォワのワイン。


ワインが造られている当地の食文化のイメージでセレクトでしたので、それほど外した感じでもなく、うまくまとまりました。

クロアチアとハンガリーのワインが特に時間の経過とともに良い変化を見せたので何回か試飲をしているものの新しい発見がありました。

ワインはその時々の状態、天候、料理、メンバー、グラス、サービスのタイミングなどによって様々な表情を見せるものです。

試飲用グラスで味を確認した時とは明らかに違う表情を見せたので、「へぇー」という感想でした。

まだまだ勉強が足りませんね。もっとワインを知るというところに時間をかけないとという反省の感想でした。

スペイン sp-bsq-0001 イルスタ ゲタリアコ チャコリーナ イルスタ(白・泡)
フランス fr-svo-0002-lrs ラヴィエ モンドゥーズ サンジャン ド ラ ポルト (赤)
フランス fr-prv-0002-bio バニョール カシー ブラン (白)
クロアチア cr-slv-0001 イロチュキ ポドゥルミ グラシェヴィーナ セレクテッド(白)
ハンガリー hg-pnh-0002-ntr パンノンハルミ アパーチャーギ ピンツェーセト パンノンハルミ トリコシュ レッド(赤)

上記のアイテムはそれぞれ赤、ロゼがありますので比較試飲もおすすめです。

よろしくお願いいたします。

Aqua Vitae
店長
河合
夏におすすめのワインは白が多いのですが、海の料理には海の近くで造られたワインをおすすめすることが多いです。

フランスは海に囲まれた土地ですが、ワイン造りの大きなキーワードである大西洋と地中海という海がワインの味に影響を与えます。

大西洋岸の生産地と地中海の生産地の違いはなんだろうと考えたときに気候や地形以外にもあるような気がします。

大西洋岸はボルドー、ロワール、南西部、地中海はラングドック、プロヴァンスがあります。

だいたい、大西洋岸のワインは造る人の創造性が反映しているように思えます。地中海は歴史が反映しているようです。

大西洋岸のワインは比較的どんなタイプにも合うようなワインを探すことができます。

地中海沿いのワインは食文化も似通っているせいか、どの地域でも近いキャラクタのワインが多いかもしれません。

その中でも近年は西部のルシヨン地方は創造性が反映されてきています。

そんなことを踏まえて、この夏はロワールとラングドックやプロヴァンスの白を飲み比べてみるのがおすすめです。

例えば、ミュスカデとピクプールはミネラルの相性の良さを売りにしたキャラクタですが、それぞれの当地でとれる海産物の違いがキャラクタの違いを生んでいるように見えます。

大西洋は海の深さもあります。それに対して地中海のピクプールが育てられている地域は遠浅の海が広がります。そこで楽しむ海産物も違います。

養殖の牡蠣などは陸地の環境が海の環境に影響を及ぼすため、場所によって味が変わるといわれていますが、海底の地形が海沿いの畑に影響を及ぼすこともあるかもしれません。

ロワール
fr-lor-0005 ギルボー フレール トゥーレーヌ ソーヴィニョン (白)
fr-lor-0008-lrs レトレ ダヴィ ヴァル ド ロワール ソーヴィニョンブラン レ パーセル (白)

ペイ デュ バスク
fr-sou-0007 カーヴ イルレギ イルレギ ブラン シュリ (白)

ラングドック
fr-loc-0007-lrs グランジェット ピクプール ド ピネ (白)
fr-loc-0008-lrs グランジェット カリニャンヌ ブランシュ (白)

プロヴァンス
fr-prv-0002-bio バニョール カシー ブラン (白)


よろしくお願いいたします。
古い歴史を持つ食文化に興味があり、いろいろ探求していますが、メディアの露出度はどうも、ヨーロッパの西側にフォーカスされることが多いようです。

ところが私は東側にも興味があります。

今、興味を持っているのはハンガリー料理です。ハンガリーの料理は数世紀の歴史を持つ調味法や調理法に基づいているといわれます。

もちろん、その間にハンガリー王国の領土拡大、縮小、ハプスブルク家による支配、オスマン帝国、ドイツ、ロシアによる支配などなど様々な外来文化が入ってきたためにいろいろな影響を受けています。

それらの影響を受けて、今ある形はなんといってもパプリカの使い方であると思います。

内陸国であるために塩味や香辛料などの使い方で食材を保存するということが第一義として考えられたのでしょうけれども、塩辛い料理のイメージが多いのではないでしょうか。

しかし、実際現地ではパプリカは100種類以上もあり、甘口のパプリカも存在し、見た目辛そうな真っ赤な煮込み料理でも辛くないものも多いです。


また、ドナウ川西岸で育てられるガチョウのフォアグラや「食べる世界遺産」マンガリッツァ豚なども有名です。

もともと遊牧民であったマジャル人の釜や鍋の煮込みがベースになった料理もよく見られます。

これらの料理には通常考えるとハンガリーワインが良いのではと思われがちですが、お勧めするのはクロアチアワインなのです。

cr-slv-0001 イロチュキ ポドゥルミ グラシェヴィーナ セレクテッド (白)
cr-slv-0002 イロチュキ ポドゥルミ カピストラン ツルニ セレクテッド (赤)

クロアチアのこれらのワインはスラヴォニア地方という内陸部で造られるワインです。

こちらの地方はもともとハンガリー王国の一部であり、海の影響より、ドナウ河の影響を受けている土地といえます。

ハンガリー王国が縮小した時、周辺国に多くのマジャル人を残したため、彼らのコミュニティーもたくさん存在しています。

こちらのワイナリーも創業が1450年からと伝統ある生産者なので当然、マジャル人の嗜好を反映した造りになっていると思わせる味わいなのです。

自身の感想では、パプリカ、野菜、肉の煮込みなどのなめらかな味わいにみずみずしい柑橘やクエン酸のきれいな酸を持つ白や、細やかなタンニンを持つ赤との相性が良いように感じました。

テイスティングしながらその土地の歴史を考えてみるとなぜこんな味わいになったかが想像できます。

お試しください。よろしくお願いいたします。

Aqua Vitae
店長
河合
フランス ブルゴーニュ地方の生産者(ドメイン)はボルドーのような会社経営とちがってほとんどが家族経営で瓶詰までやる生産者がほとんどです。

そんな生産者が農繁期の間を縫って来日され、自社のワインをプロモートされていきます。

そんな中で、私たちも生産者との交流の機会を持つことができます。

しかし、ボルドーのシャトーとは違って、アジアマーケティング担当がいるわけでもないし、名刺もないような、本当に小さな家族経営でワイン造りを行っているので、インターナショナルシーンに不慣れな方も多く、こちらから話しかけないと、交流もなく試飲のみで終わってしまうこともありました。

で、コミュニケーションがうまいとは言えない店長もなんとかせんといかん、と考えるわけです。

あらかじめ、いくつかの質問を用意していけばとりあえず、そのやりとりだけでも時間を消化することはできるだろうと。

で、その質問も栽培方法、醸造方法なんかはいろんな人からやまほど質問されているわけです。

質問を聞く方は初めて聞くからフレッシュな気分で臨むことができますが、答える方は同じ回答を何十回としなければならくて、もう、うんざりといった表情も見られます。

で、セミナーなどで質疑応答が始まると参加者も遠慮して質問もしないで沈黙の時間が・・・

私のポリシーの中のひとつは沈黙は禁なり、ですので、とりあえず挙手をするわけです。

司会の方、も嬉しそうに私を指名してくれます。

とはいえ、私の質問はワイン造りとはほとんど関係ないのです。ワインのスタイルは人となりで決まると思っていますから、その人となりを知ることで、ワインのスタイルにどういう影響を及ぼすかを図るにはその人個人の嗜好などを聞いてみるのが一番かなと思っています。

そういうことをベースに投げかける質問は、「家で夕食をとるときはいつもどんなワインを飲みますか?」

その中で私の不確かな記憶の範囲内では、その回答に、「白ならアリゴテ種、赤ならガメ種」とおっしゃられる方々が多かったように思われました。

日本ではブルゴーニュワインといえば赤はピノノワール種、白はシャルドネ種というイメージの方が多いでしょう。

しかしながら、それらのぶどうから造られるワインはあくまでも商売用に作っています。ましてや近年の作柄や生産量は決して良好ではありません。

なるほど、ではなぜアリゴテやガメを飲むのか、突っ込んで聞いてみると、「昔から飲んでたし、ほっとして美味しいから。」という回答もよく聞くことがありました。

別に少ないから飲まないというわけではないようです。

以前あるグランクリュの生産者を訪問した時、その区画は当然、シャルドネやピノノワールの作付しか認定されていないから、シャルドネしか作ってないと思っていたのですが、実はその区画の一番端に一列だけアリゴテやガメを植えてあったのを見ました。

当然、なぜそうするのか聞いてみました。

「最初は自家消費用で造ったのだが、ゲストに振舞うと、すごく好評でした。そこで家のみだけではなくゲスト用にも少しだけ栽培することにした。」

とのことでした。

値段の高いピノノワールやシャルドネのワインを造っているから、それを飲んでいるのではないかという安易な発想を反省しつつ、勉強になる時間を過ごすことができました。

そんなデイリーワインをブルゴーニュにお求めでしたら、こちらのワインがおすすめです。

fr-bgn-0020-lrs フランソワ トラペ ブルゴーニュ アリゴテ 2013(白)
fr-bgn-0017-lrs ビュイロン コトー ブルギニョン ルージュ キュヴェ アロブロジカ 2012(赤)
fr-bgn-0021-lrs フランソワ トラペ ブルゴーニュ ルージュ 2013 (赤)

よろしくお願いいたします。

Aqua Vitae
店長
河合
いいワイン、お値段の張るワインというイメージでまず思い出されるのがカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネの両品種でしょうか。

しかしながら、世界のぶどう品種というのはそれだけではなく、このカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネは国際品種で様々な国に広く栽培されていますが、作付面積、収穫量としてこの品種が世界最多というわけではありません。

では、最も多く生産されている品種とは何でしょうか?

それはスペインで最も多く作られているアイレンという品種です。

この品種のイメージは大量生産、安いワインのイメージでしょうか。たしかに以前はこのワインは多少酸化して重い味で輸入されていたのをずいぶんとみました。
このあたりであまり良いイメージを持たない方々が多かったかもしれません。

現在では若飲み、フレッシュで軽く造られるようになりました。
しかし、それだけではありません。高い樹齢の木々を選定して、収穫を限定したり、良質のぶどうを選択することによって、その品質を高められるようになりました。

実際、スペイン国内でも高樹齢のぶどうの木から良質のぶどうが収穫されるという評価をするようになったのはそれほど昔の話でもありません。自身のイメージだと2005年ころくらいかというイメージです。

弊社のワインリストにもこのアイレンを使った商品があります。

sp-lmc-0001-org ラ テルシア イェマヌエヴァ アイレン

このワインはラ マンチャで造られています。
スペイン中央部にあるラ マンチャは高温、乾燥した気候にあり、牧草地の丘が幾重にもつながる平原です。このアイレンはこんな環境で生き続けられるぶどう品種なのです。
夏は45℃、年間降水量はたった350mm程度の厳しい気候の中で育ち続ける品種を選ぶには相当な努力がうかがわれます。

そもそも、このワインが造られることになったのは、この地で造られる赤ワインはとても凝縮感のあるテンプラニーリョやフミーリャという重いワインでした。
その希釈のために造られたり、酒精強化ワインであるヴィノ デ へレスの醸造工程における酒精強化、つまりブランデーを加えるわけですが、そのブランデーの原材料としても造られる品種でした。

そしてそんな環境の中でする1920年に設立された45haのアイレンおよびテンプラニーリョを所有する家族経営のワイナリー、ボデガス ラ テルシア。
樹齢の平均は50年以上(最大110年~)で全てフィロキセラの害を免れた自根の樹です。
フィロキセラすら生き残れないハードな環境下で1998年よりオーガニック農法を実践。 標高680mに位置する砂質土壌の樹齢平均90年のアイレンを手摘み収穫。
そんな丁寧に育てられたワインはふわっと広がるフレッシュなバナナの甘い香りにハーブのニュアンス、フレッシュで清涼感ある酸がキレ良く、心地いい辛口の白です。
これまでのアイレンのイメージを覆すワインについて再評価していただければ幸いです。
サンタカタリナ ツナの中身の画像を追加しました。

まだ全種類ではありませんが撮影を済ませた分からアップしていきます。

もちろん、撮影後は食べてしまいます。

印象に残るのはパテ、有機オリーヴオイル入り、さつまいも入りですね。

もちろんそのほかのハーブ入りのも美味しいです。

Aqua Vitae
店長
河合
いろいろなお客様と話していてふと思うことがあります。

フレンチレストランにはフランスワインだけ、イタリアンレストランはイタリアワインだけしかリストに置けないのか。

そもそも政治的に線を引いた国境というもので食文化の区切りがつけられるのか?

国境付近の食文化とはどっちの国のものなのか?

フランスで見てみるとフランスと国境を接している国は英仏海峡をはさんだイングランド、北からベルギー、ルクセンブルク、ドイツ、スイス、イタリア、アンドラ、スペインとあります。

そのあたりの地域、たとえばイタリアと接しているジュラ、サヴォワ、プロヴァンス、コルスあたりとイタリア側から見たフランスと接している地域はアオスタ、ピエモンテ、リグーリア。

この双方の地域の料理は私のしろうと目にみてもあまり変わらないような気がします。

スペイン側などはピレネーを挟んで北はバスク、南はアラゴン、、カタルーニャと国境と関係ない一つの文化圏が存在します。

実際にバスクやカタルーニャはしゃべる言葉はスペイン語、フランス語と違えども、一時は消滅の危機もあった共通の言語、バスク語、カタラン語などへの理解をしようとする人口も増えてきたと思います。

こんなイメージから単純ですけど、フレンチレストランでバローロやバルバレスコ、アオスタ、リグーリアのワイン、イタリアンでプロヴァンスワイン、ジュラ、サヴォワワイン、

またはフレンチレストランでスペイン側のバスク四州、リオハ、ペネデスのワイン、スパニッシュでフレンチ側のバスク四州、ラングドックのワインを楽しむ可能性があるような気がします。
ワインビジネスをやっていて近年注目している国の一つにクロアチアがあります。

クロアチアは国土の形が「く」の字になっていて、長いのですが、日本同様長い地形の国には様々な変化が見られます。

ワイン産地の側面からみて、大きく分けると、アドリア海に面した、ダルメシアン犬でおなじみのダルマチア地方、イタリア、スロヴェニアに接するイストラ半島、ハンガリー、セルビアに接し、樽の材料となる木材を産するスラヴォニア地方を含む内陸部になります。

もともと、クロアチアワインは大まかに言って、地元品種を使い、長くても5年以内くらいに飲む、若飲みタイプが多かったのです。

アドリア海側沿いのダルマチア地方、イストラ半島はローマ帝国、ヴェネツィア王国時代からの交流でイタリア文化の影響を深く受けています。

ぶどう品種やその製造、味わいを決定するブレンドにも、イタリアの影響を感じます。

実際に、ドゥヴロヴニク、スプリト、リエカなど海沿いの町はローマ帝国時代の遺跡、イタリア風の食事、イタリア人観光客の多さなど、歩いていても、「ここはイタリアか!」、と思うほどです。

レストランもイタリアンが圧倒的に多いような印象を受けました。

それに比べて北部の内陸側はセルビア、ハンガリーの影響を受けているため、海側の地方とは一線を画した文化があります。ここは紀元前4世紀ごろからワイン造りが始まったと言われ、ドナウ川が作る肥沃な大地で育ったぶどうは昔ながらの大樽熟成でエレガントなスタイルのワインを造ります。

食事は今のオーストリアのハプスブルク家、ハンガリー王国、今のトルコのオスマン帝国時代の影響が残っているのでしょうか、グヤーシュなどのパプリカ、スパイスを利かせた肉、川魚の料理が多い印象です。

そんな歴史を深く刻んだワインがクロアチア最西端のイロクという町で造られています。町を流れるドナウ川の向こう側はハンガリー。

cr-slv-0001 イロチュキ ポドゥルミ グラシェヴィーナ セレクテッド 2013 (白)
cr-slv-0002 イロチュキ ポドゥルミ カピストラン ツルニ セレクテッド 2012 (赤)


創業1450年。クロアチアで最も古くから続くワイナリーです。ボルドーやブルゴーニュが自家詰めを始めるはるか前の1700年代より元詰めを行っており、クロアチア国外にワインを売った最初のワイナリーでもあり、1953年には英国のエリサベス女王の即位式に11,000本ワインを収め、今もイギリス王室のワインリストには彼らのワインがオンリストされています。
19世紀後半に世界的に猛威をふるったフィロキセラの被害もクロアチア東部では地質、気候的要因と国際品種が殆ど植えられていなかった関係でブドウが生き残り、現在に至るほど歴史が感じられるワインといえるでしょう。

そんな歴史の深さに触れてみるのはいかがでしょう。
若者の居酒屋離れが顕著だという記事を読みました。

「とりあえずビール」に違和感を覚える、「さとり世代」。

ワインも同じ問題に直面するのでしょうか?

個人の考えでは決してそうではないと思います。

ワインはビールと同じアルコール飲料ですが、アルコール飲料そのものにフォーカスするだけではなく、その背景にある、文化、歴史を見てほしいといろいろな方に言っています。これはワインの歴史だけではなくビールの歴史にも当てはまることです。

アルコール飲料の歴史は人類の歴史よりも長いと言われています。

単純に飲んで酔うのも悪くないですが、なぜその飲み物が存在するのか。

人間にとって欠かせない存在であったために長い歴史を造ってきたのではないかと思います。

長い歴史の中にはワイン造りを断念せざるを得ない出来事がありました。
8世紀にはウマイヤ朝のイベリア半島侵入から15世紀のレコンキスタ終結まで。
18世紀にはアメリカからもたらされたフィロキセラ害虫の発生。
第二次大戦末期にはノルマンディから撤退するドイツ軍が撤退とともに葡萄畑やワインカーヴを破壊したこと。特にシャンパーニュ、アルザス地方です。

などなどいろいろありましたがそれを克服して現在があるわけですね。

存在理由について考えながら、ワインを飲むというのも面白いものです。
南イタリアのワインというのは太陽がたくさん当たったぶどうが完熟したタイプがおおいですね。

その土地の食べ物を見ても力強い味わいとうまくバランスが取れていると思います。

チーズもそうですね。新鮮なモッツァレラやハムなどの前菜でおなかがいっぱいになるほど食べてしまいます。

でも、だんだん年齢があがってくるとそうもいかなくなりますね。

最近はシチリアのネロ・ダーヴォラを見直しています。
以前は凝縮感のあるプラムのような黒果実のニュアンスのスタイルが多かったような気がしますが、この頃はエレガントスタイルも増えてきました。

弊社商品のアルモーザもそういったちょっとした古酒感があり、おだやかな味わいになっています。

いつからそうなったのか?

一時、エトナの火山性土壌で育てられたネレッロ・マスカレーゼ種のワインがピノノワールのようだといわれて話題になった時期がありました。

その流れでしょうか?無理な抽出をせず、自然でありのままのスタイルを表現するワインが見直される時代がきたのでしょうか?

注目していきたいと思います。
梅雨に入りました。

しかしながら、雨もそれほど連続して降らず、初夏の気候が続いております。

こういう天候を体感した時に感じるのは、地中海沿岸の風景。

地中海沿岸は湿度が低くからっとしたところもあるのですが、意外にじめっとした天候が続く日もあります。

そういうときにワインと料理の相性を考えると今の季節は地中海沿岸のワインと料理がいいなと感じます。

イタリアのリグーリア、フランスのニースやマルセイユあたりのプロヴァンス、モンペリエあたりのラングドック、スペインのバルセロナ南部。

そのあたりの品種や料理を思い出しては試作しています。

おかげで食欲は全く落ちません。

Aqua Vitae
店長
河合

ワインの味はどうやって決まるかご存知でしょうか?

原材料のぶどうの味から由来することであることはもちろんですが、そのぶどうに与える環境や天候はもちろんですが、そのベースに人の考えが係ります。

ぶどうの生育について、人の意志が係ることは想像に難くないですが、収穫後、醸造したぶどうについて、様々な畑から収穫されたワインをブレンドするタイミングがあります。

その際に、当主と醸造家など少人数でそのブレンドの割合を決定するわけです。
となると、味わいはその人たちのイメージする食文化がブレンド決定に大きな要因を与えることになります。

近年は、大きなメーカーは輸出先の国々についてのマーケティングもされているでしょうから、インターナショナルな味わいにすることも考慮されているでしょう。

家族経営など小規模生産者においては様々な考えが反映されます。
伝統的な味わいを継承する人、先代の考えを一新したい人、新しい考えを試みたい人。
経営を優先しなければならない人、事情は様々です。

これらの状況を見て、思うのはインターナショナルシーンで受け入れられる味わいのワインを作る人以外の生産者の造るワインはその味わいはその土地の食文化に寄り添うように造られるのは自明の理といえるでしょう。

この考えを踏まえて、最近の天候を見るとさわやかな暑さになってきました。
このイメージはプロヴァンスあたりの天候のように感じます。
湿度も低くて、からっとしています。(もちろん作者周辺の天候ですが)

そこで、今回はプロヴァンスワインをおすすめしてみたいと思います。

弊社取扱いのプロヴァンスワインは

赤ではバンドール ルージュ、白はカシ ブラン、ロゼはカシ ロゼ。
fr-prv-0001-bio ラ ベギュド バンドール ルージュ (赤)
fr-prv-0002-bio バニョール カシー ブラン (白)
fr-prv-0003-bio バニョール カシー ロゼ (ロゼ)

これらのワインはどんなところで造られているでしょうか。
まず、プロヴァンス地方の最西端、ちょうどマルセイユから海岸沿いに西へ行ったところ。
バンドールは地中海を見下ろす丘陵にある畑。その畑は石灰質で小石の多い土壌。北風を遮る台地と3,000時間もの日照量とによって、 力強い、がっしりしたワインを生み出す。それを18ヶ月の樽熟成によって凝縮させる。そのため長期熟成が期待できます。

カシは白く輝く石灰岩の断崖と紺碧の海が織りなす美しい入り江が続く。更に東に行くと、赤土の瓦屋根とパステルカラーの家の美しい避暑地でもあるカシスの小さな港に行き着く。畑は、港に向き合うかれた川の谷にあり、殆どが石灰岩系土壌の急斜面にあります。

ここらあたりは小さな港に毎日、魚介類が水揚げされます。特にうにが名物です。

こういった環境から見ても、ここで造られるワインの味は白やロゼならプロヴァンス料理でもあるブイヤベースなどの魚介類、赤ならオリーヴオイル、ハーブ、にんにくをベースにしたイタリア、アフリカの影響を受けた肉料理に合う味わいであることが想像できます。

白は穏やかな酸、豊かな果実味、塩味にあうミネラルが混然一体としてさわやかに飲める味わいです。赤はスパイシーさ、なめらかさを感じるので牛肉やラムにはよく合います。

昼下がりや夕方の日差しの下での食事、暑い夜のディナーにはおすすめです。

Aqua Vitae
店長
河合
最近、よく問い合わせの受けるアイテムがあります。
ポルトガル、アレンテージョ地方にあるモンテ ダ ペーニャ。
アレンテージョってどんなところ?
簡単に言うと、首都のリスボンから西へスペイン国境まで行ったところです。

といってもイメージがわかないとおもいます。

ポルトガルは大まかに北部、中部、南部で天候が違い、その天候に合わせて文化が多少違います。簡単に言うと家の形からちがいます。
北部はいつも曇っていて雨がち、家の形状もスレートの石造り。中部はコルク樫や穀倉地帯が広がり、牧草地が広がる豊かな地域、南部は民家の壁が白塗りでいかにも地中海の雰囲気が感じられるリゾート地が多くある乾燥地帯。

その中で中部にあるアレンテージョのモンテ ダ ペーニャのある地域のポルタレグレの町並みは白壁の町並みで、陽射しの強い乾燥地域。食文化も豚肉が中心ですが、牛肉、ジビエ、魚など多様な料理があります。

そしてこの生産者は1984年創業の家族経営ですが、注目すべきは19世紀後半に広がったフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)禍を受けていない地場品種の台木が残っていたこと。

その古い台木で育てられた品種はトゥーリガナショナル、アラゴネス、アリカンテブーシェ、トリンカデラがメイン。

そのぶどう品種はポルトなど北部から中部で使われるぶどう由来である故、味わいはポルトのスティルワインを思わせる味わい。
酒精強化していないので、凝縮しすぎずなめらかでアフターもグラスを口にした最初のインパクトに比べ、すっきりしています。

今回、オンリストしているのは、モンテフィーノ レッド 2008、モンテフィーノ レゼルヴァ 2005、レゼルヴァ レッド 2003の3ヴィンテージですが、3本を比較試飲するとその味わいの深さの違いが見事に分かれます。

モンテフィーノ レッド 2008はまだまだ若さがあり、はつらつとした果実とスパイシーさが勢いよく感じられます。
モンテフィーノ レゼルヴァ 2005は黒果実、ブルーベリー、プルーンに穏やかな黒コショウですが、果実の強さのみならず、土地由来のミネラル感が表現されています。

レゼルヴァ レッド 2003はボルドーワインのような味わいの深みもあり、長期熟成の期待も感じさせます。

こんな期待感のあるワインがお手頃な価格で試すことができます。
シェリーは日本人に合う?!

シェリーは日本人の食生活に合うとつねづね感じております。

いろいろな人にシェリーのイメージを聞くとアルコール感が強い、鼻につーんとくる、というようなイメージを持たれている方が多いようです。

昔のイメージでシェリーはバーカウンターでブランデーなどのハードリカーと同じように飲まれるといったことを考えてしまうのではないでしょうか。

シェリーはスペイン語でヴィノ デ へレスと言われるように、アンダルシアのへレスで造られた白ワインなのです。

甘口のペドロ・ヒメネスやモスカテルは収穫後、天日干しにされてから醸造されるため、茶色~黒色のようになりますが、すごく凝縮された白ワインなのです。

アルコール度数も白ワインとほとんど変わりません。アモンティリャードとよばれるカテゴリのシェリーは酸化熟成させるために途中で劣化を防ぐためのブランデーが加えられますがそれでも最大17%程度といわれています。

香り高い、酔いやすいというのは、体内での分解が早いということかもしれません。

私の中でのイメージではシェリーは晩ごはんのお伴というイメージです。

フィノはお米の飯に合うような気がします。
オロロソやアモンティリャードはスパイス、特に日本人の好きなカレーに合います。

ビールほど大量に飲まなくても、適度に酔えるし、冷蔵庫の中で普通に冷やしておけるので私の家庭では重宝しています。