2016年4月

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2016年4月27日 第百八十四回配信
春になって旬の食材が出てきました。日本ですと春は野菜の季節でしょうか。
春野菜とワインのマリアージュを考える機会も多くなってきました。
選択するワインを考えるときにワイン自体の味は参考にするのはもちろん香と色も重要な要素になります。
野菜に合わせるワインはおそらく白ワインが多くなる可能性が多くなるかと思いますが、(白ばかりではない赤もありますが)その白ワインでも色調をよく見てみると緑がかっているワインや黄色やゴールドに近いワインがあります。この色調を野菜の色調とあわせてみることが選択の目安になります。
シャンパーニュなどのスパークリングにも合わせる選択肢がありますが、スパークリングは熟成した味わいですので比較的どんなものにでも合わせられます。
香りは柑橘系、ハーブ系など様々な香がありますがソースのイメージで合わせてみるのが良いと思います。
味わいの判断はミネラル、酸との相性になりますね。調理方法や火の入れ具合によって味も変わりますのでここはいろいろな選択肢ができますが、私の考えではこんな時はワインの生産地ではどんなものと食べられているかをイメージします。
こんな情報も当店ではアドバイスしております。
こんなことを考えていると今夜のおかずを考えるときにも悩まなくてすむかもしれません。
コンシェルジュのイメージでお問い合わせお待ちしております。
よろしくお願いいたします。
世界のワインというのは天候、マーケットの嗜好、生産者の意図など様々な要因で同じ場所、同じ葡萄で同じワインを造っているにも関わらず、その味わいは毎年変化しています。
同じワインを試飲していても毎年その味わいは違います。
そんなときにいろいろ考えます。収穫年の一年を通じての天候はどうだったのか?生産者ファミリーの人たちには何かあったのか?ここまで届くまでの過程でなにかあったのか?
などなど、でも普通に飲むことを楽しむ方々にとってはグラスを近づけたときの五感を楽しむだけなのです。いわば一期一会と言えるものなのですが、こちら側としてはなるべくストライクを投げてあげたい、というのが届ける側の人情というものです。

今回はスペイン南部、アンダルシアの手前にあるムルシア、フミーリャのワインを試飲してみました。
これまでのフミーリャのワインというのは当地の焼き付くような太陽のもと、しっかりと熟したぶどう、主にモナストレルという地ぶどうで作られたワインは以前のヴィンテージのイメージ、当地の嗜好から色調、果実の凝縮感のあるワイン、日本人にとってたくさんは飲めないかも、というイメージを与えていました。

今回お勧めのフミーリャワイン、は

ボデガス ペドロ ルイス マルティネス カルミネ
http://aquavitae.ocnk.net/product/339

ですが、これまでのフミーリャのモナストレルワインのイメージを変えるものになっていました。
ここの畑は夏の暑さは40℃以上、ぶどう生育期間の日照量が3000時間以上あるフミーリャの中でも標高700mと高い場所で作られていて、昼夜の寒暖差があり、石灰質の土壌、樹齢は50年程度と味の要素がしっかりとできる環境にあります。
これは当地のイメージですが、カルタゴ人がカルタヘナの港を作って以来、ローマ人、イスラム支配下でも生き残ったワイン造りの歴史もこの味の要素に影響を与えるのかと思わせます。
色調は名前の「カルミネ」のとおり、深い赤色ですが、味わいは意外にエレガント。デイリーとしては飲みやすく、味も単調ではないのでごはんと一緒に楽しんでいるとあっというまになくなってしまうほどでした。
ムルシアというとスペインの・・・というイメージよりも地中海の文化という感じです。
バレンシアのパエージャもありますが、普段はレンズマメ、ヒヨコマメ、インゲン、オリーブが飽きずに毎日食べられる料理が多かったイメージでした。オリーブオイルを使うので肉や魚のようなタンパク質の食材ばかりではなく、こんな野菜の料理とも合わせてみると面白いと思います。是非お試しください。
よろしくお願いいたします。
2016年4月21日 第百八十二回配信
表題のコンクールがアルゼンチンのブエノスアイレスで行われていました。日本からもお二方、ソムリエが出場されておりました。健闘されましたがセミファイナリストということでした。
大会終了後、元世界チャンピオンの田崎真也会長のコメントが発表されています。
https://www.youtube.com/watch?v=gkqsMoQ0yj4&feature=youtu.be
これを聞いてみました。

世界との差、サービス技術はほとんど差がない。チャンピオンは若い世代でもいるので経験の長さというより深さが必要でしょうか。
語学力の差、表現の方法が世界トップ3との差がある。これは日本人の英語能力というよりも、どの国の人にとっても外国語を話すということに壁があるということ。
ホストがゲストを招待して、意思疎通がうまくいかないとせっかくの会も台無しになってしまうということでしょうか。
試験の範囲が広がっています。ワインのみならずあらゆる飲み物、食材について知識が求められる。日本酒の問題についても日本人がほとんど知らないようなレベル。
これらを網羅して来店されるお客様へのホスピタリティ、満足してもらえるサービスを与える。
勉強しなければならないことがたくさんありすぎて、最後は運というかタイミングなのか、大会での振る舞いに慣れているのかな、と思わせます。

こんなたいへんなことを経て技術力を競うことは決して、筆者にとっても関係のない話ではないと思います。お客様に対してソムリエだけではなく流通に携わる全ての人間が問題解決のためにある程度は浅く広い知識が必要だと感じさせられます。
当店も小さいながら、お客様と向き合って、何を選ぶかという問題解決を行わなければなりません。
しかも、それほどメジャーでもない土地で知らない国の人が造ったものを口に運ぶまで持ってくるにはその人に確信と納得を持ってもらわなければなりません。
有名人が選んだワインだからその購入者にとってうまいというわけではありません。
その人なりの食歴や経験に裏打ちされた嗜好を読み解く必要があります。
そういう商売をしていくにはどうしすればいいかいつも考えさせられます。
それには作っている人の思い、運んでくる人の思い、そういった思いの連鎖をお客様に伝えられればいいなと思います。
よろしくお願いいたします。
今回ご紹介するワインはイタリア、シチリアで作られているワインなのですが、シチリアってイタリアなのでしょうかと来るたびに思わせてくれます。
地政学から見ると地中海の真ん中にあって、東西の交流地点でもありますし、歴史的にみてもギリシャ、カルタゴ、ゴート、スペイン、フランスなど様々な支配もありました。
近年ではアフリカや中東から避難される方々も多くいて、人種のるつぼとなっていますね。
今回のワインの名前はUva tantum Aurum (ウーヴァタントゥム アウルム)。
http://aquavitae.ocnk.net/product/228

ラテン語表記で、意味は“only grapes” と”gold”です。つまりぶどう以外なにもはいってないよ、ということなのですが、様々な文化が入り混じった土地で無農薬栽培のピュアなネロダーヴォラとシラーというぶどうを使っているというのはおもしろいですね。もちろんSo2も入っていません。
これを作った人はアレッサンドロとガエタノという若者ですがもともと、パレルモの海岸沿いに住んでいたサーファー仲間でした。ワイン醸造もしっかり勉強されているようでアレッサンドロはピエモンテやグルジアで添加物を排除した自然農法を学びます。ガエタノはおじいさんの影響でぶどう造りを手伝っていたとのこと。

そんな彼らが造るワインはイメージだけ見るとアフリカのような太陽が当たってぶどうが完熟して凝縮した味わいになっているのでは、とイメージされると思いますが、飲んだ印象は全く違います。
本当に自然のものしか入っていなくて体の中に自然に吸収されていく感覚を覚えるくらい、なめらかな味わいです。
そしてシチリア料理とも良く合います。
場所柄、クスクスなどアフリカ料理やケバブなど中東料理も多い場所で、海が近くなので魚介類もありますが、シチリア料理の神髄は野菜にあると思います。
肉もマルサラソースなどしっかりしたソースを使っていることが多いですが、意外にエレガントな味わいを演出してくれるレストランが多かった印象があります。
共通して言えることは素材の味を活かしたシンプルな料理方法で楽しませてくれるのです。
そんな、自然の恵みの味わいに自然の味わいのワインがとても良く合います。
アレッサンドロとガエタノがラテン語で名付けたワインはその地が与える歴史の深みを感じさせてくれたからではないでしょうか。
何も言わずに試してみる価値のあるワインです。
よろしくお願いいたします。
筆者は最近、嗜好が変わったのかヘビーなボディのワインを飲まなくなりました。たまに試飲すると昔はこんなのがぶがぶ飲んでいたのだなあと感心しております。
私の嗜好の中でヘビーなワインの中でもフランスのコート デュ ローヌ地方のワインはちょっと違う位置づけにあります。
しっかりした果実味の中に複雑な味わいが絡み合って、スパイシー感もあるし、テロワールを感じます。ローヌ川の狭いエリアの中でこんなに味わいの特色があることに以前は感激を覚えたものでした。
近年はAOCエリアを広げたことと、早くピークを迎えるような造りをするようになったので以前のような、いつ飲み頃を迎えるのかわからないようながんこなワインは今、なかなか見なくなりました。
こんなワインが世界中で感動を与え、共感されていると感じるのは新世界の地域で同じタイプのワイン、いわゆるローヌブレンドが造られているということです。
例を見ると、コート デュ ローヌを中心とした地中海沿岸エリア以外ではアルゼンチン、チリ、ウルグアイ、オーストラリア、USA、南アフリカなどで造られていますが、90年代頃はローヌのテロワールが生み出す味わいにはかなわなかったものでした。
しかし、ローヌワインの価格の高騰によるローヌ離れ、新世界エリアの技術の向上などで中、低価格帯のワインは本家を追い越す勢いが感じられます。
これはやはり料理方法や食材における嗜好が国際化してきたことが原因かなと思われます。
もちろん、ぶどう品種自体の強さもありますね。シラー、グルナッシュ、ムーヴェドルの畑を見てみるとほったらかしでもまずまずの果実をつけるのだなあと感心します。
でも、ぶどうに愛情のある農家さんたちは適正な手入れと情熱を注いでいます。そんなワインを当店でも選んでいます。
そんなローヌブレンドの飲み比べをするのも楽しいかと思います。
バーデンホースト セカトゥール レッドブレンド 2013
http://aquavitae.ocnk.net/product/386
ラスパイユ アイ ジゴンダス 2013
http://aquavitae.ocnk.net/product/163
マリア フィタ フィトー 2008
http://aquavitae.ocnk.net/product/108

よろしくお願いいたします。
オーストリアから新しいはちみつアイテムが入荷しました。

Aulandschaftshonig 水辺の花 (Frühling 春) アウランドシャフツ ホニック
http://aquavitae.ocnk.net/product/400

Lindenblütenhonig 菩提樹 リンデン ブリューテン ホニック
http://aquavitae.ocnk.net/product/401

これまでの当社のアイテムの中でフルーリングス ブリューテン ホニック(菜の花など春の花 在庫残り1個)、アカーツェン ブリューテン ホニック(アカシアの花 在庫残り2個)の入荷が今回はなく(今年の冬あたりに入荷予定です)、その代りに上記のアイテムが入荷しました。
シュタイヤーマルクは首都ウィーンの南、グラーツとの中間地点あたりにある場所ですが、そこを流れるラフニッツ川の水辺に咲くすみれ、アネモネから採取したはちみつです。さわやかな酸味があり、すっきりとした甘さでいろいろな用途に使えます。

リンデン ブリューテン ホニックは菩提樹の花から採取したはちみつでこの樹の持つキャラクタでもあるハーブのようなフレッシュ感とミネラルを感じる味わいです。アロマに特徴があるのでチーズやハーブティに合わせて頂きたいアイテムです。
日本人にとって菩提樹といえばブッダの樹というイメージですが、オーストリア人にとってはシューベルトの歌曲Der Lindenbaumの日本語名。歌曲集『冬の旅』第5曲やお菓子のバウムクーヘンのイメージですね。

これらのアイテムはいずれも花が咲く最盛期に採取されたはちみつを巣の中でみつばちが発熱により17%まで蒸発させたものを非加熱でお届けしております。
是非お試しください。
よろしくお願いいたします。
スペイン リオハから新しいワインが入荷しました。

アルデアヌエバ ロスセニョーレス ブランコ (白)
http://aquavitae.ocnk.net/product/402
アルデアヌエバ ロスセニョーレス ティント (赤)
http://aquavitae.ocnk.net/product/403
ヴァルサンソ ラクリムス アパシオナド 2014 (赤)
http://aquavitae.ocnk.net/product/404

春になって徐々に暖かな陽射しが増えてきて、外を歩くのが楽しくなる時期になってきました。今回のスペインワインはリオハらしからぬお買い得ワインの3本です。
これらのワインはおすすめとしてこれからの季節、アウトドアで楽しんでほしいアイテムです。
アルデアヌエバの2本はヴィノ デ メサ(テーブルワイン)で味わいもライトな飲みやすいタイプです。
筆者の経験ですが、スペインのフルボディタイプのワインは海外輸出用か、マドリーの高級レストランで供されるワインがほとんどで地方のバルに行くと軽い味わいのものを一杯ひっかけては別のバルにはしごするというのがスタイルでこういう軽いワインを飲んでいるとスペインのバルを思い起こします。
実際にハモンなどの冷製の肉料理のタパスをつまむには軽い味わいのワインのほうが相性はいいように思えます。
ラベルのデザインを見てもなんとなく外に出かけたくなりますよね、

一方のヴァルサンソは農業科学者でもあるハビエル ロドリゲス氏がDOCリオハのぶどうを陰干しし醸造したワインです。イタリアのヴェネトなどでよく使われる手法ですがスペインワインでは初めて見ました。
凝縮感があるものの甘口ではなく、黒果実のタンニン、ミネラルもしっかりと感じられ、密度の高い味わいです。これは前述のアルデアヌエバとは対照的なタイプでBBQなどグリルした肉料理に合います。
この対照的なタイプのワインボトルを持って、この季節アウトドアに出かけましょう。
よろしくお願いいたします。
南アフリカから新しいワインが入荷しました。

ステルハイスワインズ シュナンブラン 2015 (白)
http://aquavitae.ocnk.net/product/406
ステルハイスワインズ ピノタージュ 2014 (赤)
http://aquavitae.ocnk.net/product/407

南アフリカのケープタウンに近い、伝統ある生産地、ステレンボッシュにて親子で経営するワイナリー。アンドレ・クリューガー氏とその息子ヨハンがぶどう造りにたずさわっています。この地は大西洋とインド洋の両方から吹き抜けるさわやかな海風で太陽の陽射しの厳しい土地ながらも過熟しすぎることのないぶどうを造っています。
彼らのポリシーとして自然にあるものに最低限のものしか足さずにぶどうを造ります。
そしてその正直に作られた味わいが彼らの思いとなって伝わってきます。
ステレンボッシュでシュナンブランとピノタージュといえば南アフリカワインの王道ですが、このワインは地域の味わいではなく彼ら親子の作品として楽しんでほしいものです。

彼らのワイナリーのキャッチフレーズは、”Working harder, Aiming Higher, Crafting Superior wines” だそうですが、まさにそんな思いが伝わってきます。

よろしくお願いいたします。
オーベルニュ地方から新しいワインが入荷しました。

フルール ド ヴィーニュ グラニティック 2011 
http://aquavitae.ocnk.net/product/405

オーベルニュといえば火山地帯で、以前は携帯電話の電波すら通じてなかった場所であり、温泉やミネラルウォーターで有名ですがそればかりではありません。
実はこのオーベルニュ地方は200年ほど前、ワインの生産はボルドーに次ぐ生産量2位のエリアでした。1870年代のフィロキセラといわれる病虫害により壊滅的なダメージを受けます。そしてその生産者や農家さんたちはこの近くのクレルモンのミシュラン工場の労働力になり、ぶどう畑が麦畑やトウモロコシ畑に転作されたことをきっかけに衰退していきます。
2000年以降、オーベルニュ地方のワインが見直され、2011年には原産地統制呼称が与えられます。
今回ご紹介しているこのワインの生産者、フルール ド ヴィーニュ(ぶどうの花)のオーナー、ステファニさんは2005年に親から畑を引き継ぎました。こちらのぶどうは平均60年以上のものばかりです。オーベルニュの土地の特徴でもある花崗岩と玄武岩の古い地層から育つぶどうの味わいはミネラルを感じます。そこでビオディナミ、完全有機化で環境やぶどうに優しい農法で作られるワインはこのステファニさんの人柄を表している味わいといえるでしょう。
オーベルニュ地方のチーズといえばアオカビタイプのブルーチーズが主流ですがぜひ試して頂きたい組み合わせです。

よろしくお願いいたします。
アルゼンチンは本当に油断できない場所です。昔、エセイサ空港で荷物を壊されそうになったり、まあまあ打ち解けたかなと思った人に騙されそうになったり、ととにかく毎日常にある程度の緊張感と警戒感が支配していた毎日でした。
アルゼンチーナはよくヴィヴェサクリオージャと言われますが開拓精神が豊かなせいか人を出し抜いて生きていくような方々がたくさんいるような気がします。
でもそれは悪い意味ではなくどんな場所でも生きる力があるということです。サッカーやラグビーでもその気質で世界トップレベルになっているのです。
さて、話はワインに戻すとこれまでのアルゼンチンワインはほとんどが国内消費向けにつくられていたせいでアサード(焼肉)に合う力強い凝縮感のあるワインが主流でした。
アルゼンチンは好きな国ですが日本のマーケットには合わないと思っていました。
しかしながら、
ドニャパウラ エステート マルベック
http://aquavitae.ocnk.net/product/366
ドニャパウラ エステート カベルネソーヴィニョン
http://aquavitae.ocnk.net/product/365
はそのエレガントさから日本のマーケットに合う商品だとテイスティングで感じました。
価格、味わいはデイリーの食事にも合わせやすい。それでいて、酸やタンニン、果実味などの骨組みはしっかりしたものを感じる。
カベルネソーヴィニョンのヴィンテージは2015年ですが若すぎるのではなく南半球ですから半年ほど収穫が早いのです。
まさに、ヴィヴェサクリオージャにすっかりだまされてしまったという実感を思い起こさせる一本でした。

是非お試しください。
よろしくお願いいたします。