シチリアはイタリアではないような気がします

今回ご紹介するワインはイタリア、シチリアで作られているワインなのですが、シチリアってイタリアなのでしょうかと来るたびに思わせてくれます。
地政学から見ると地中海の真ん中にあって、東西の交流地点でもありますし、歴史的にみてもギリシャ、カルタゴ、ゴート、スペイン、フランスなど様々な支配もありました。
近年ではアフリカや中東から避難される方々も多くいて、人種のるつぼとなっていますね。
今回のワインの名前はUva tantum Aurum (ウーヴァタントゥム アウルム)。
http://aquavitae.ocnk.net/product/228

ラテン語表記で、意味は“only grapes” と”gold”です。つまりぶどう以外なにもはいってないよ、ということなのですが、様々な文化が入り混じった土地で無農薬栽培のピュアなネロダーヴォラとシラーというぶどうを使っているというのはおもしろいですね。もちろんSo2も入っていません。
これを作った人はアレッサンドロとガエタノという若者ですがもともと、パレルモの海岸沿いに住んでいたサーファー仲間でした。ワイン醸造もしっかり勉強されているようでアレッサンドロはピエモンテやグルジアで添加物を排除した自然農法を学びます。ガエタノはおじいさんの影響でぶどう造りを手伝っていたとのこと。

そんな彼らが造るワインはイメージだけ見るとアフリカのような太陽が当たってぶどうが完熟して凝縮した味わいになっているのでは、とイメージされると思いますが、飲んだ印象は全く違います。
本当に自然のものしか入っていなくて体の中に自然に吸収されていく感覚を覚えるくらい、なめらかな味わいです。
そしてシチリア料理とも良く合います。
場所柄、クスクスなどアフリカ料理やケバブなど中東料理も多い場所で、海が近くなので魚介類もありますが、シチリア料理の神髄は野菜にあると思います。
肉もマルサラソースなどしっかりしたソースを使っていることが多いですが、意外にエレガントな味わいを演出してくれるレストランが多かった印象があります。
共通して言えることは素材の味を活かしたシンプルな料理方法で楽しませてくれるのです。
そんな、自然の恵みの味わいに自然の味わいのワインがとても良く合います。
アレッサンドロとガエタノがラテン語で名付けたワインはその地が与える歴史の深みを感じさせてくれたからではないでしょうか。
何も言わずに試してみる価値のあるワインです。
よろしくお願いいたします。