2016年6月

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知識を身につけるならサマランカへ スペインワイン新入荷
スペインの西、ポルトガルの国境に近いサマランカという町があります。
このあたりはいわゆる一般的なスペインのイメージからは程遠い景色と文化が広がっています。
西の山のポルトガルやミランダのような町の雰囲気に近い感じがします。
この場所の歴史は古く、古代ローマ帝国によって建設された都市でイスラムの支配を経て、レコンキスタ完了以降はアルフォンソ9世によって設立された大学がこの町のシンボルとなります。
それ以降「知識を欲するものはサラマンカへ行け」と言われるほどの文化都市、大航海時代には、天文学の知識などがサラマンカ大学で研究される一方、反宗教改革や異端審問の舞台にもなりました。
街自体も素晴らしく、イスラム様式、ゴシック様式、バロック様式などの建築文化が見られ、旧市街は世界遺産になっています。
その南西部の郊外に2000年からぶどう造りが開発され、ボデガス デル カンブリコというワイナリーが造られました。
このあたりは標高800m以上でシエラ デ フランシア自然公園の中にあり、ぶどう畑とワイン造りがカスティーリャ イ レオン州有機農法協議会によって認定されています。
公園内の生物がもつ多様な性質を維持するための配慮が畑の作業にもなされています。
ここサマランカの固有品種、ルフェテはエレガントでシルキーな味わいを持っています。そのルフェテを始め、テンプラニーリョ、カラブレス(ガルナッチャ)を育て、その味わいを活かすため、ポンプを使用せず、重力のみでぶどうを移動させストレスを与えない設計のワイナリーで熟成されます。
古代ローマ時代から受け継がれるワイン造りの文化を最新の技術で洗練していく、まさに知を集結させたサマランカのイメージを地で行くワイナリーです。
そんな場所に思いをはせてワインを飲むのもいいものです。

ボデガス デ カンブリコ ヴィニャス デル カンブリコ 2010(赤) ¥2,550(税抜)
http://aquavitae.ocnk.net/product/447

よろしくお願いいたします。
自分自身を取り巻く空間の演出 スペインワイン新入荷
この夏にぜひおすすめしたいワインがスペインのガリシア地方から入荷しました。
ガリシア地方で有名なのは世界遺産になっているカミーノ、サンティアゴ デ コンポステーラの大聖堂ですが、
いつも雲が低く垂れこめ、雨がちなイメージです。そんな場所にも素晴らしいワインが作られている場所があります。リアス・バイシャスのアルバリーニョです。
ここはポルトガルと隣り合わせの沿岸地域、ここの海岸はリアス式海岸で有名で、緑と山が沈み込んだような入江、内陸部の渓谷はかなり独特な風景を演出しています。
ここでスペイン最高レベルのワインがローマ帝国支配時代から造られていますが、造り方は日本でもおなじみの棚作り、ぶどうの実が高い位置にあります。雨が多いので湿度が原因の病害を防ぐためのつくりになっています。スペイン語ではぺルゴラと言われます。
味わいはフルーツ、特に桃や白い花の香りが印象的できれいな酸と活き活きとした果実味はこれからの季節におすすめです。

アデガ コンデス デ アルバレイ パソ バイオン ¥3,230(税抜)
http://aquavitae.ocnk.net/product/446
このアルバリーニョはおそらくはこの地域のアルバリーニョの中で最高の作品と言えるアイテムです。
このアイテムの名前にもなっているパソ バイオンは15世紀から存在する建物でいくつかの貴族や企業の手を経て今の所有になり、環境に配慮し、天然資源を利用した畑、先進的なワイナリー、ホテルなどを備えた観光名所になっています。
平均樹齢40年の樹からできた葡萄を手摘みで丁寧に収穫したぶどうは特に香りが印象的。オレンジ、アーモンド、タイム、ジャスミンなどの花の香りがあり、味わいはレモン、洋ナシ、アプリコットなどが凝縮した味わいです。色調も明るくシルキーでエレガントな味わいはまさにパソ バイオンの景色にふさわしい高貴な味わい。

アデガ コンデス デ アルバレイ アルバリーニョ ¥1,700(税抜)
http://aquavitae.ocnk.net/product/448
デイリーの食事におともします。アルバリーニョの特徴が良く引き出されていて、桃、アプリコット、オレンジ、白い花の香りがとても親しみやすく、さっぱりしていてすいすいと飲めます。
この地方の料理といえば魚介料理ですが魚介系や鳥肉などのアヒージョと合わせたい。

パソ バイオンの施設を見るとこの環境の中でおもわず口にしたくなる、ワインはそういう違う世界を演出するひとつのピースになっていることが実感できます。

よろしくお願いいたします。
お客様のリクエストの中でよく聞かれることがあります。
「何年か前に○○でこんなワインを飲んだのですが、同じワインがありますか?」
そうすると、いつもいろいろなことが頭をよぎります。
「お探しいたしますが、同じワインを見つけることは難しいでしょう」

お客様の立場から言うとラベルに表記してあるワイン名、ヴィンテージを探し当て、お届けして、いい食事とともに試して頂く。
そうしても、お客様の満足は100%得ることはあまりありませんでした。
あの時とは味が違うなあ、となることが多いです。
同じワインでありながら、なぜこうなるのでしょうか。
ワインは表記してある収穫年の違いにより味わいの違いがあることは誰にでも容易に想像ができます。
年によって天候が違う、造る人も息子に代替わり、畑の売却などで変わります。
人が変わると、造るポリシーや方法論、設備、投資などの考え方も変わります。
同じヴィンテージでもワインは瓶の中でも熟成が進んでいますから、人間もそうですが年代なりの味が出てきます。流通過程の保存状態によっても変わります。
まるで人間の一生のようです。それぞれのワインにとって開ける瞬間の状態がそのワインにとってベストな飲み頃なのかどうか、開けてみるまではわかりません。一期一会ですね。
私もよく、そろそろ飲み頃だと判断してコルクを開けると実はまだまだ若くて、熟成のピークはまだまだ先だった、またはピークが超えていた、ということもよくあります。

また、あるいはフランス、イタリア、スペインなどの銘醸地で過去に出会った味わいの感覚を違う国で出会うこともありました。
そんなときになぜこの土地でこの味が作りだされたかという素朴な疑問が出てくるわけです。
歴史、土地、文化、人の思いをさかのぼっていくと答えに出会うことがあります。
近年は価格が高騰する旧世界の銘醸地の味を新しい土地で再現しようとする方々がたくさん出てきました。
やはり、そんなときも、上手く造ったなあ、とか、おしかったなあ、とか様々な思いがよぎります。
そんな中で世界は日々変わっています。
ヨーロッパの西側、フランス、イタリア、ドイツ、スペインでは天候の急変により、昔買っていたワインが買えなくなり、新しい原産統制呼称のワインが見られるようになりました。ヨーロッパの東側では1991年以降社会主義の崩壊でこれまでになかったワインが作られるようになり、温暖化を利用して、ぶどうができそうになかった寒冷地でワインが作られだしました。南アフリカではフランスワインの味わいを見事に表現する生産者が出てきました。アルゼンチンでは国内向けにしか作っていなかったワインが国際的に受け入れられる味わいに変わってきました。
昔うまいワインを飲んだ忘れられない思い出はそのまま残っているのですが、周りは変化し続けています。
常に新しいものを探し続けています。そしてお届けしたワインが忘れられない思い出になれば幸いです。
自分にとってのベストレストラン
イギリスのレストラン業界誌による世界のベストレストラン50が発表されました。
今年はイタリアの「オステリア・フランチェスカーナ(Osteria Francescana)」が1位に輝いたそうです。イタリアのレストランが優勝したのは、今回が初めてだそうです。
日本のレストランでもNarisawa(青山)、龍吟(六本木)がランクインしています。
2002年に始まった同賞では、フードライターやシェフ、レストランオーナーや食通など972人の「独立した専門家」が選考委員を務めているとのことですがいろいろな議論がわいています。
フランス人シェフがベスト10に2人しかいないとか、料理じゃなくて芸術だとか。。。
近年はこういう世界的な広報活動によって評価を高めてお客様を集めるレストランも多いので、もともとある料理を評価されて世界に認められるというものとは違う存在のレストランも多いのではないでしょうか。
自分の嗜好は批評家が決めるのではなく自分自身で決めるものなのでそれぞれのベストレストランを持つことで異論はないと思います。
そんな中でもともとあった美食の地域というのがフランスとスペインの国境にあります。
それがバスク地域です。この地域は食材にも恵まれ、バスク人自身も古くから海洋に漕ぎ出し、海の食材や他国の食材を求める歴史がありました。バスク地域の各都市の紋章を見ると多くの町の紋章に船とクジラが描かれていたり、大航海時代に最も早くカカオを持ち帰り、フランスで一番最初にチョコレートを食べられたと言われています。いまでは赤ワインにコカ・コーラを割ったカリモチョ(Kalimotxo)なんかもあり、日本では考えつかないような組み合わせも試されたりしています。
そんな中で常に評価されているワインがバスクでも作られています。少なくとも世界でも認められる食材に合うようにブレンドされるワインたちですからその味わいも洗練されています。
これからの季節にかけて試したいアイテムをたくさん揃えていますので、ぜひチェックしてみてください。
http://aquavitae.ocnk.net/product-list/61
この地域のトップレストランでも採用されているワインたちですが、その評価よりもこの地域のレストランと日本料理の交流が深く、料理の嗜好について考え方が近づいているという部分に注目しています。

よろしくお願いいたします。
暑い夏の夜は
暑くなってきました。こんな時は何も考えないですっきり飲みたいワインがあります。
コルヴェッツォ プロセッコ フッリザンテ テッレ ディ マルカ 2014
http://aquavitae.ocnk.net/product/432
フォルナーロ ソアヴェ クラッシコ 2013
http://aquavitae.ocnk.net/product/433
どちらもしっかり冷やして飲むと体に自然に吸収する感覚がとても心地よいです。
自然由来の飲み物だと感じさせるのです。
理屈抜きで試してみてください。合わせるお食事も万能タイプでなんでも合います。
料理を引き立てて、一日の疲れを癒してくれるそんなアイテムです。

よろしくお願いいたします。
原点を追求する集団
2016年6月14日 第二百回配信
スロヴァキアに興味深いワイン生産者グループがいます。その名はAutentista (アウテンティスタ)。
ドナウ川の流れる中央スロヴァキア地域のPodunajsko は太古から文化が混じり合う十字路として発展しました。ワインは伝統的な製法で受け継がれていきましたが、社会主義国時代を経て、大量生産の現代的な味わいのワインへとそのスタイルが変貌し、この地域のワインのアイデンティティが破壊されてしまいました。
今、そのぶどう、土地、先祖の起源をさかのぼり、再びワインのアイデンティティを取り戻すためにユニットを作ったのです。
その起源はローマ時代、パンノニアにさかのぼります。その時代に飲まれていたとされる健全なワイン造りをもう一度現代でリリースるための様々なルールを作り、再現させていく。
そのグループの一人であるストレコフ1075のZsolt Suto (ゾルト シュト)氏がぶどう本来の持つ力を表現した味わいが今回リリースしたヴァヴリネツはそのポリシーにふさわしい味わいと感じました。
そんなポリシーを持つ人々を応援していきたいと思います。

是非お試しください。
http://aquavitae.ocnk.net/product/435

よろしくお願いいたします。
きっとこれは夕日だ
プーリア、カステルデルモンテのワインでひさびさにいいのを見つけました。
プーリアというと古代ギリシャ、ローマ帝国と栄華を極めた時代が夢の後のような荒涼とした大地が続きます。
ここは月面かメキシコか、と思わせるほど岩と山とサボテンしかない光景が広がります。
そんな何もない土地で若い人たちが何かを創造していきます。
この近くには世界遺産でもある洞窟住居マテーラがあります。ここもツーリズムで町を盛り上げようと若い人たちがたくさん働いているのを見ました。
その土地に伝わる伝統の製法を踏襲しながらも、新しいアイデアを盛り込んでいく。古いものと新しいものの融合、そんな表現が味にも現れています。
以前のプーリアワインといえば凝縮した濃い味わいのイメージでしたが、このワインには繊細さと生命力を兼ね備えています。
このワインはネロ ディ トロイアという品種から造られていますが、古代ギリシャから伝わる歴史を受け継ぎながら次の世代に何かを残そうとする力を感じます。
それはこのワインのラベルにも表現されているようです。世界遺産カステルデルモンテに沈む夕日にヒメチョウゲンボウが飛んでいく。昔から変わらないこの風景がこのワインにはぴったりです。
夏の夕日を見ながら夕食に合わせて頂きたいお勧めの一本です。
http://aquavitae.ocnk.net/product/434
よろしくお願いいたします。
新着ワイン オーストラリア 孤立した場所にこそ、原点がある。
2016年6月13日 第百九十八回配信
新着ワインのご紹介です。今日はオーストラリアからのワインです。
よく海外に行くと美術館に日本ではなかなか見られない美術品を目にしたり、日本人以上に日本の文化に以上に詳しい人にあったり、アニメなどのサブカルチャーを研究している人に会うことがあります。
それと同じとは言いませんが、ヨーロッパから遠く離れた場所にヨーロッパの文化の原点が残っていることを目にすることがありました。
今回選んだオーストラリアワインはそんなイメージで選んでみました。
価格の高騰、天候不順による収穫量の減少で私たちの普段の食卓からは遠ざかりつつあるフランスワインですが、味わいとポリシーが再現されていて、入手しやすい形でリリースしている生産者がいます。

ドミニク ポルテ フォンテーヌ シラーズ・カベルネ・メルロ
http://aquavitae.ocnk.net/product/441
ボルドーで9代にわたってワインメーカーの家系、父親のアンドレ氏は特一級の五大シャトーのひとつ、シャトーラフィットロートシルトの醸造責任者として20年間働きました。そんな環境で育ったドミニク氏にはシャトーラフィットのスタイルを体で覚えていき、それを実現させる理想の土地としてオーストラリアを選びました。
そんな彼が造るブレンドワインは冷涼地域のヒースコートのシラーズ、ヤラヴァレーのカベルネ、メルロを巧みにブレンドして洗練した味わいのワインを作ります。このワインの良さは何といってもそのブレンド感覚とそのテクニックによるところにあると思います。
20年前ファーストヴィンテージを出した頃に出会いましたが、彼はとても物静かで変なオーラは全く感じません。人間も達観するとこうなるものかと感心したことを覚えています。

パイクスワインズ トラディショナル リースリング
http://aquavitae.ocnk.net/product/442
ここのワイナリーも伝統ある生産地から造られたワインです。クリアヴァレーのリースリングの評価は世界的にも証明されており、オーストラリアリースリングを引っ張る存在であります。
この地区のリースリングの特徴はフレッシュなレモン、ライムにぺトロール香を感じるところですが、若さを楽しむだけではなく熟成の可能性も楽しめる一本です。

パイクス&ジョイス アデレードヒルズ シロッコ シャルドネ
http://aquavitae.ocnk.net/product/443
パイクス&ジョイス アデレードヒルズ ピノノワール
http://aquavitae.ocnk.net/product/444
いま世界の注目の産地となっているアデレードヒルズ。この生産者の名前も様々な評価本で目にすることになりました。園芸農家として丁寧な仕事ぶりがその味わいにも表現されています。
品種の個性をこの冷涼な地域でそのまま見せてくれる味わいはスタイリッシュで現代的な洗練された味わいです。

昔のヨーロッパの個性がそのまま残っているワイナリーを世界中から丁寧に探していきたいと思っています。
よろしくお願いいたします。

新着ワインのご紹介です。この季節は自然と体に染みわたる味わいがおすすめです。ほっとするワインです。

スペインから、
イルスタ ゲタリアコチャコリーナ ベレシア(白) ¥2,890-
選果されたぶどうの味わいをそのまま感じることができます。
http://aquavitae.ocnk.net/product/440

オベルゴ フィンカ ラ マタ(赤)¥2,300-
夏に肉料理と合わせたいタンニンの引っかかりがなくなめらかな味わい
http://aquavitae.ocnk.net/product/439

デ アルベルト ヴェルデホ(白)¥1.790-
夏野菜、魚介料理、鶏など繊細な味わいと。
http://aquavitae.ocnk.net/product/438

デ アルベルト ドラド(酒精強化)¥1,530-
アペリティフや食後に優しいナッツの香りをお楽しみ下さい。
http://aquavitae.ocnk.net/product/437

イタリアから
コルヴェッツォ プロセッコ フッリザンテ テッレ ディ マルカ 2014(白・泡)¥2,210-
暑い夏を迎えちょっと濁りのあるぶどうのエキスを感じるスパークリングをどうぞ。
http://aquavitae.ocnk.net/product/432

フォルナーロ ソアヴェ クラッシコ 2013(白)¥2,300-
果実とミネラルで土地の味を見事に表現しています。やさしい味わいがほっとさせます。
http://aquavitae.ocnk.net/product/433

カルペンティエーレ コッレ デイ グリライ カステルデルモンテ ロッソ 2012(赤)¥2,130-
プーリア州土着品種のなめらかな味わい。高い標高で造っているので南のワインとは思えません。
http://aquavitae.ocnk.net/product/434

スロヴァキアから
ストレコフ1075 ヴァヴリネツ 2014(赤)¥4,080-
最近はやりのオレンジワインスタイルの原点、ジョージア、カヘティのスタイルで旨味を出した味わい。
http://aquavitae.ocnk.net/product/435

イベントのお知らせ
6月12日日曜日11-17時 恵比寿マルシェ
こちらもお待ちしております。お問い合わせください。

店長
河合
http://aquavitae.ocnk.net
スペインワイン試飲会記
昨日ですが当店としてオフィシャルには初めての試飲会を開催しました。
きっかけとなったのは輸入業者さんのお誘いだったのですが、その方にはこのお店を立ち上げるにあたり、手を貸していただいた方の一人でした。その方に恩返しというわけではないですがなにかワイン販売の手助けになることをしなければと思い、急きょ開催することになりました。
今回のテーマはスペインワインをテーマとした試飲会だったのですが、共催していただいた輸入業者さんはもともとフランスワイン畑を歩いてきた方でスペインワインは近年力を入れている分野です。

一方私は、筆者は前職から16年ほど前から日本ではマイナー生産地担当といえる畑を歩いてきたので、フランスのシャンパーニュ、ボルドー。ブルゴーニュ、カリフォルニアなど日本市場にいつも華やかな話題を提供するような生産地やセレブレーションな生産者とは違う、商売っ気のない職人のような生産者さんをフォーカスすることが多かったのです。そのため、そのころから日本ではマイナーな生産地について多くの勉強をしてみようと思い立ち、いろいろ学んだのですが、そのあたりからお手伝いすることにしました。

今回のラインアップはバスクエリア、ピレネー山脈のソモンターノ、カスティージャ イ レオンのルエダとそれぞれが歴史のある畑を持ちながらも現代的なスタイルに仕立てる生産者が揃いました。スペインの現代芸術さながらのワインたちが並びました。

バスクエリアではチャコリン(スペイン語はチャコリ、バスク語ではチャコリンといいます)ですが、これまでのチャコリンのスタイルとは違うイメージ。ハモン(生ハム)のような冷たい脂に合う味わいが共通しているイメージです。ここも現代的な味と言いましたが歴史ある生産地。しかしここも17世紀頃ぶどう生産が衰退、フィロキセラ(ブドウネアブラムシの病虫害)などで一度ぶどう生産がなくなった歴史を持ちます。

山麓という意味を持つソモンターノはよくニューワールドと言われますが、私のイメージでは全然そんなことはないとおもいます。8世紀にイスラム勢力がイベリア半島を征服したころでさえフランク王国が今のスペインとの国境、すなわち、緩衝地帯としてピレネー山脈にスペイン辺境領を置き、それがアラゴン王国になったわけです。つまりいちばんスペインらしさを残している地域と言えるのです。表面では外来品種を使ったりしていることでニューワールドのイメージがあるのですが、その中では歴史あるスペインが脈々と受け継がれている流れを読み取ることができるのです。同じアラゴン州の生産地、カリニェナは1930年頃、リオハやへレスと同じ時期に原産地呼称を取得しています。しかしその後のスペイン内戦の不幸な出来事でワイン生産が放置された時期があるなどの流れがあります。

ルエダはかつて、パロミノから造られるシェリー・タイプの酒精強化ワインの産地でしたが、1970年代以降に、醸造技術の転機が訪れ、ヴェルデホから造られるフレッシュな辛口白ワインの産地へと生まれ変わりました。
今回来日された生産者デ アルベルトのヴァネッサさんに丁寧な説明をして頂きましたが、
今回リリースしていただいた酒精強化ワイン、ドラド、サイティナはパロミノ種ではなくヴェルデホ種で造られていてへレスのシェリーに比べて、果実の素性の良さを表現しています。ほんのり果実味に柔らかい口当たりでした。

それぞれの産地で個人的にお勧めなのは
バスクエリアでは、 
イルスタ ゲタリアコチャコリーナ ベレシア(白) ¥2,890-
ぶどうの良さが分かる

イチャスメンディ エクリプセ(赤) ¥4,250-
きれいなピノノワール、ブルゴーニュの価格を見るとお買い得

ベルデュイ アルド アパルデューナ ブリュット ナトゥレ サンティビクトリス エ サンティヤコビ(白・泡)¥3,230-
ドザージュゼロで食事を引き立てる。

ソモンターノは
オベルゴ フィンカ ラ マタ(赤)¥2,300-
メルロ、カベルネソーヴィニョン、ガルナッチャのブレンドでクリアなボルドーワインスタイル。スペインらしく牛肉を使った料理と試したい。

ルエダでは
デ アルベルト ヴェルデホ(白)¥1.790-
デ アルベルト ドラド(酒精強化)¥1,530-
パッションフルーツのようなヴェルデホではなく、きれいな酸が骨組みになった繊細な味わい。
野菜の苦味や魚介料理とよいコンビネーションを発揮しそうです。

新しいスタイルのワイン、ぜひお試しください。

小さな試飲会でしたが、ご来場頂いた方々とひとりひとり丁寧にご説明、お話を聞くことができて、個人的には実りある試飲会だったと結論付けました。

よろしくお願いいたします。

イベントのお知らせ
6月12日日曜日11-17時 恵比寿マルシェ
こちらもお待ちしております。お問い合わせください。
2016年6月04日 第百九十五回配信

梅雨の気配もなくからっとした天気が続いています。ヨーロッパでは大雨が続き、ドイツ南部やフランス北部では主要河川の水位が上がってきて氾濫しかかっています。ぶどうの産地、ソミュールなどのお城がたくさんあることで有名なフランス北部のロワール渓谷でも避難が始まっているようです。パリは地下が穴だらけなのでこれから大変だと思います。早く天候が回復して水位が戻ることをお祈りしています。

さて、かねてよりワインリストの側面からお手伝いしておりましたお店が6月1日オープンしました。

秋葉原駅前、御徒町方面に徒歩5分程度のところにある「ビストロTERIYAKI」さんです。
お店の名前はTERIYAKIということですがこの名前は今やインターナショナルな言葉になっているTERIYAKIのイメージで世界のいろんな美味しいものを集めてにぎやかでモザイクなイメージのお店です。ちなみにこのお店のメニューにはてりやきはありません。

では店内に入っていくとどうでしょうか。ひとことでいうとカジュアル。価格も良心的でおいしいものをおなか一杯食べて仲間とわいわい、というイメージでしょうか。
このお店がオープンする前は居酒屋で活躍していた若いメンバーが新たにチャレンジで立ち上げたお店ということで店員さんも元気でパワーをもらえます。

私も彼らのチャレンジと元気な動きを見てよりパワーアップしてお手伝いさせて頂いています。6月、7月は週2回程度、お店に詰めてワインのおすすめサポートを行っています。
よろしければふらっと立ち寄る感覚で遊びに来てください。

詳細はぐるなびサイトでチェックしてみてください。
http://r.gnavi.co.jp/9s18zwhk0000/

よろしくお願いいたします。

イベントのお知らせ
6月7日火曜日14-17時 スペインワイン試飲会
6月12日日曜日11-17時 恵比寿マルシェ
こちらもお待ちしております。お問い合わせください。