2018年3月

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ブルガリア新着 東西文化の交流地点
バルカン半島の南側に位置するブルガリアのさらに南にあるハスコヴォという町は東西に広がるロドピ山脈の北側にあり、紀元前4000年前以上から古代トラキア人が住んでいたとされる遺跡をはじめ、古代ギリシャ、古代ローマの遺跡が多く見つかる場所。14世紀にオスマン帝国の支配下にはいってからはハスキョイ「生協名村」と呼ばれ現代までトルコのエディルネ、イスタンブール、ギリシャ北部の町までつながり、現代まで東西文化の交流地点として知られる町でした。
いまはひまわりの花が咲く丘が広がる平原で昔栄えた土地であることが嘘のような静かな土地。その土地でタリア生まれのマッシモ・アッツォリーニ氏が、ブルガリアの南、トラキアン・ヴァレーにあるチェルノゴロフという町で始めたワイナリー、ネラゴーラ。25年間のオーガニック栽培の経験を活かし、消えつつあるこの土地のブドウ栽培を復活させることを目標とし、ワイン造りを始めました。
他の旧共産主義国同様、体制が崩壊した90年代から土地が元の所有者に返還され、新しい歴史が始まったのですが、すでにワイン文化が完成されている西側と違って、この東側は物価や人件費が安いことに着目され、西側の投資や技術が投入されてきます。また、原産地呼称という形で土地の区画、製法が細かく法律化された土地とは違って、同じ地域に生産者のポリシーや嗜好を活かしたワインが玉石混交で埋まっています。こういう土地にこそ新しいスタイルの素晴らしいワインが見つかるのです。
この土地はカベルネやメルロなどの国際品種がメインですが、地元ではマヴルッドという凝縮感あるプラムのようなスタイルのぶどうがよく見られますが、この土地、チェルノゴロヴォは黒い土地という意味で肥沃な土地を表しています。
色調も濃く、このワインの特に濃い色は私たちの土地を思い起こさせます。
香りは永く続き、プラム、ブラックベリー、革の香辛料と苦いチョコレート、木と森のヒントがあふれています。 口蓋にはフルーティーで、発音して柔らかいタンニン、長くて持続的な仕上がりです。
食事のペアリングはブルガリア、トルコ、ギリシャの料理のイメージで赤肉、特に牛肉、子羊、ハト、熟成チーズ、ヤギのチーズをお勧めします。

※ネラゴーラ アレス 赤 (メルロ60%、マヴルッド40%)1870円(税抜)
※ネラゴーラ チェルノ 赤 (カベルネソーヴィニョン60%、マヴルッド40%)2720円(税抜)

歴史ある土地ですが、ギリシャやトルコの食文化の影響の受けたワインの味だというイメージで、スパイシーな料理によく合います。

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現代のシャブリ
いま日本で流通しておりますシャブリのヴィンテージは2014年~2015年に差し掛かるところです。大手メーカーは2016年が出ているところも見受けられます。
近年のシャブリは雹などの天候被害で収穫量もかなり減少している地域も見られ、農家さんにとっては頭の痛い深刻な状況が続いております。
しかしながら2014年、2015年の評価はとても良いのです。
2014年は春から夏の様な暑さが続き開花の時期が暑さに乱され収穫の損失となる状況が発生しました。
夏は夏で秋のように雨も多く、不安な状態が続きました。しかし9月以降は乾燥した気温の高い気候が続き、
9月は過去130年で最も暑い月となりました。果粒は小さくなり、酸度の現象、糖分の上昇を見ながら収穫のタイミングを図っていました。収穫量は期待を下回ったものの熟成の経過が素晴らしくブルゴーニュ全体の評価も高い。
それに対して2015年は早熟と言われる葡萄の育成状況で過去10年間の中で生育状況が速く、夏も雨が少なく、収穫前には素晴らしい評価を得るまでに至りました。しかし9月1日雹まじりの雷雨がイランシーからグランクリュの丘陵地帯を襲い、収穫に悪影響を与えました。
それでも残ったぶどうの評価は損失はあったものの、質の評価は太陽の年と言われミネラルと酸度はおだやかな味わいとなりました。
気候変動で現場で働いている農家さんにとっては頭を抱える状況もありながらも、苦心して育てた作品の評価は高い。以下のアイテムもそろそろ2014年から2015年に変わる時期なのでそのヴィンテージ比較もたのしいものになるでしょう。

ヴァンサン モット シャブリ ブルミエクリュ ヴォクパン 2014

ヴァンサン・モットは、ドメーヌ・デュ・コロンビエのギィ・モットの3人の息子(ジャン‐ルイ、ティエリー、ヴァンサン)のうちの一人です。
ドメーヌ・デュ・コロンビエは、1887年に設立され、代々に渡り家族経営を続け、1957年からは、ギィ・モットにより素晴らしいシャブリが造られてきました。約50ヘクタールに及ぶワイン畑では、シャルドネのみを栽培し、ドライで活き活きとした白ワインを造っています。
ドメーヌ・デュ・コロンビエでは、ティエリーが醸造を担当していますが、ヴァンサンは自らの名前を記したラベルのワインをリリースしています。
伝統的な醸造方法に近代的な技術を取り入れ、ステンレスタンクで醸造されたワインは、微かに白い核果類の香り、新鮮味とミネラルが豊かで、素晴らしいポテンシャルを備えています。
http://aquavitae.ocnk.net/product/742

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Aqua Vitae
河合吾朗
ファルツのぶどうは酸っぱい
ドイツのワインというといまだに少し甘いというイメージを持たれている方々が日本ではまだ多いのかもしれません。
ドイツのワインの一大生産地のファルツはアルザスに隣接していて、地政学上、フランスになったり、ドイツになったりと歴史的にもその運命はかなりの荒波を乗り越えた事実があります。
食文化にしてももともとアルザスやファルツに存在するものに戦争などが影響して呼び名がかわったり味わいが変わったりしています。
今はフランスのようなスタイルの辛口のピノノワール(シュペトブルグンダー)を作っていて、ブラインドで飲むとフランスのピノノワールを思わせる味わいになっています。
今回紹介するフリードリッヒ ベッカーが作るワインのラベルに描かれているイソップ童話のサワーグレープスのモチーフはキツネが甘い葡萄を食べたいが高い位置にあって取れない。
きつねはがっかりして、「きっと、このぶどうはすっぱくて、まずいに違いない」と捨て台詞を残し、行ってしまった、となっているが実はワインをつくるためにはこの酸っぱい葡萄から辛口のワインを作りたいと願っていたのではないかと思わせるラベルです。
実際に試してみると、ブルゴーニュのヴォーヌロマネの様ななめらかさと果実の凝縮感があります。このエリアはドイツの中でも日照量も豊かでエレガントな酸のあるぶどうが造られます。

フリードリッヒ ベッカー

プティ ロゼ 2300円(税抜)
シュペートブルグンダー75%、ポルトギーザー15%、 カベルネソーヴィニョン5%、他 

ポルトギーザー 1000ml 2380円(税抜)

シュペートブルグンダー 2810円(税抜)

シュペートブルグンダー シュヴァイゲナー 2720円(税抜)
村名(シュヴァイゲン)を冠した、文字通り村を代表 する赤ワインです。

裏話です。あるプロの方の試飲コメントにありましたが、まるでロマネコンティを思わせるエレガントさがあるとのことでした。2008年には、洞爺湖サミットでもベッカーのピノノワールが使用されたことがありました。
ポルトギーザーは実はこの生産者が普段飲みワインで最も好きなアイテムだそうです。

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Aqua Vitae
河合吾朗