2017年1月

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名前は変われどもテンプラニーリョ
世界にはぶどう品種がたくさんありますがクローン、遺伝子レベル的には同じものでも国や地方によってその名前が変わります。
スペインにはその国を代表する品種、テンプラニーリョ、テンプラニージョと呼ばれるぶどうがあります。
フェニキア人がイベリア半島にいたころから栽培されております。
スペイン人のコンキスタドールが世界を席巻しているころには世界各地に広がったため、オーストラリアや南アフリカなど新世界でも作られるようになり、各地で天候や民族の嗜好により特徴ある味わいのワインが作られるようになりました。それにつれて名前も変わります。
ポルトガルではティント・ロリス、アラゴネス、スペイン国内でも西部のカスティーリャ イ レオンではティンタ デル パイス、エストレマドゥーラではティンタ デ トロ、カタルーニャではウイ ダ リャブラ、マドリーではティンタ デ マドリー、そのほかセンシベル、ティント・フィノと呼ばれています。

カタルーニャのウイ ダ リャブラはカタルーニャ語で「うさぎの目」という意味でぶどうの実がそう見えるようでついた名前が面白いですね。ちなみにバスク地方にはオイラルベギ「鶏の目」というぶどうもあります。

先日のある試飲会でも見かけましたが、カタルーニャのフランスサイドのランドドックエリアでも最近テンプラニーリョを使ったワインが多くみられるようになりました。
今回ご紹介するワインはスペインのカスティーリャ イ レオンの主要都市、バジャドリー北部にあるシガレスという小さな生産地です。ここではティンタ デル パイスと呼ばれています。
このシガレスはテンプラニーリョの優良産地、リベラデルデュエロと白ワインの優良産地のルエダの間に位置する地味な産地ですがローマ時代からぶどうが造られていて、今回紹介するボデガス イリアルトも1750年に存在していたカーヴの上にボデガが造られています。樹齢も25年~85年と古い樹がたくさん残っています。
スペイン人自身、ここ10年前くらいまではあまり古い樹に価値を見出して商業アピールする人がいなかったのでこういうワインでもデイリーに飲めるワインがたくさん残っているのです。
そういうまだ商業化の波が来てないと言えるワインを試して見てください。
ボデガス イリアルト ロブレ
ボデガス イリアルト クリアンサ
http://aquavitae.ocnk.net/product-list/104

宜しくお願い致します。
トカイワインの可能性
2017年01月23日 第二百七十一回配信
冬は暖かい食べ物か甘めの食べ物を食べるとホッとします。
世界三大貴腐ワインの生産地の一つ、ハンガリーのトカイでは近年甘口ワインだけでなく辛口のスティルワインが多く生産されるようになりました。
ここで造られる主要品種はフルミントというぶどうですがこちらは貴腐ワインも普通のワインもこの葡萄が使われます。
ここの生産者、シャトーデレスラを試飲しました。
http://aquavitae.ocnk.net/product-list/90
フルミント種主体でシャルガムシュコタイ種を加えたブレンドで造られたワインですが、ドライ、セミドライともにドライな味わいの中に凝縮した果実を感じます。
これはブレンドの際に貴腐のついたものかレイトハーベストのぶどうが入っているなと感じさせられます。
トカイワインの銘柄のなかにトカイ・サモロドニという甘口と辛口のブレンドワインがあります。
アスーという貴腐ワインが、貴腐ブドウと貴腐化していないブドウをそれぞれ別々に一次発酵させてからブレンドして作られるのに対して、貴腐ブドウとそうでないブドウとを選別しないでそのまま作ったワインです。
このサモロドニというワインに近いドライワインという感じですね。
夜に晩酌しているとホッとする味わいでした。とはいえ酸もしっかりしているのでごはんの味わいを邪魔することなく寄り添います。
価格もお手頃でこの冬もお勧めの白でお買い得と言えます。
ぜひお試しください。宜しくお願い致します。

Aqua Vitae
河合
http://aquavitae.ocnk.net
寒い時は暖かい場所へ
最近寒いですね。外に出たくなくなります。そんなときは暖かい場所のことをイメージできるものがいいですね。
フランスにもそんな場所があるのです。地中海沿い、スペインとの国境近くにある、カタルーニャの町、バニュルス シュル メール、直訳すると「海のバニュルス」という名前なのです。
文字通り、この町は小さいのですがちいさな入江がいくつもつらなる宝石箱のような町です。
また、20世紀初頭、光と色彩にあふれたこの町にやってきたマティスやドランは、原色に近い色を大胆な筆遣いで描いた作品を発表しました。「まるで野獣(フォーヴ)のようだ」と批判されたことから、「フォーヴィズム(野獣派)」が誕生しました。そしてこの田舎町に画家が集まるようになりました。
ワインもそんな生命力の感じるワインが造られています。
http://aquavitae.ocnk.net/product/489
http://aquavitae.ocnk.net/product/488
実際このあたりの土地はフランスの中でも年間日照時間が最大の土地で冬でもまあまあ暖かい場所です。
ちなみに2番目は北部のアルザスなのです。これもまたにわかには信じられない気がしますが、実際に行くと暑いですよ。
パリの人々がリタイアしたら暖かいこの土地に逃げてきてセカンドライフを過ごすのです。
私も2年ほどこのあたりでおせわになりましたが、寒い日になるとこの地の暖かい日を思い出します。
今回紹介した生産者ピック ジョアンはワイナリーだけではなく、美味しい料理を振舞ってくれるレストランも評判です。海を見ながら食べる食事は幸せを感じますね。
そんなことを考えながらここのワインを試して見てください。

変わらない味が安心させてくれます。
ワインビジネスを始めたころ、出会ったワインがあります。南アフリカのワインでした。当時の南アフリカワインは完熟しすぎてピーマン香がつよく、凝縮感がありすぎて、重いワインがおおかったようなイメージでした。
その一本のワインは南アフリカのステレンボッシュの南にある海の近く、ウォーカーベイのエルギンヴァレーという場所で造られたワインでした。
その場所は緑豊かな丘陵地帯にあり、果樹園、ワイナリー、オリーブ畑があります。海からの冷たい空気の影響でりんごや梨の産地として有名でした。ワイナリーもピノノワール、リースリング、シャルドネなど比較的冷涼地で造られたワインが多いのです。
そんな中で2000年から品種、土地の特性を調査してワイン造りをスタートしたこの生産者が最初にリリースしたのはメルロ種。
こんな冷涼地なのにメルロか、と思って試飲したのです。当時は樹が若いせいか、フレッシュなメルロのイメージでしたが旧来の南アフリカワインのイメージを大きく覆すものでした。
その時に筆者は「もう少し時間が経てばきっといいワインになりますね」と感想を行ったと思います。
あれから10数年たって試飲してみるとやはり味の層がゆたかになり、なめらかさ、果実の味が深いものになっていました。100%メルロのワインだと聞くと驚きがあると思います。

同時に試飲したピノノワールはやはりまだ若さが感じられる味でしたが、これもポテンシャルを感じさせる味でしたので数年後を期待したいと思います。
土地のブランドを越える人の力を感じさせる味わいを試して見てください。
http://aquavitae.ocnk.net/product/532
http://aquavitae.ocnk.net/product/531

Aqua Vitae
河合
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玉石混交 ブルゴーニュ ルージュ
お客様におすすめのピノノワールは何ですか?と聞かれることがあります。
おいしいのはたくさんあるのですが、ブルゴーニュワインはなかなか簡単に手の届くワインでもありません。
そんな中で、ブルゴーニュ ルージュとラベルに記載されたワインがあります。
このカテゴリのワインはブルゴーニュエリアの中で造られたぶどうの村の場所、畑が不特定であることで、村や畑の個性、パワーを発揮できない分、価格設定も手頃になっていて、気軽に飲まれています。
生産者の個性が出るワインと言えるでしょう。
ただ、場所が不特定で価値が安くなる一方で、特別な事情で偉大な畑で造られたぶどうが使われている可能性があります。
例えば、生産者が普段、村名、畑名を記載するグランクリュなどのワインに使われるぶどうの出来が意に沿わない場合、ブルゴーニュ ルージュというワインに混ぜられている場合があります。
生産者とその周りの人たちでひそかに決められる面白いストーリーがあるのです。
そのほか、契約農家さんたちとのやり取りもあります。どの畑のどの部分からいいぶどうを売ってもらうか、など人と人のやり取りがその年の味わいを決めることもあります。
そういう、ストーリーが裏にあるワインを楽しんでみませんか?!

Aqua Vitae
河合
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US新着 アメリカ人とは?!
ヨーロッパに比べてアメリカ大陸のワインが比較的少ないようですが決して、毛嫌いしているわけではありません。
アメリカ人という国籍は持つものの先祖に移民の歴史を持つ人たちは、自国の文化を新大陸に持ち込みました。
そして、同じ故郷の人たちとコミュニティを作り、古き良き故郷の文化を保持していったのです。
そして、アメリカに所属しながらも先祖代々の文化を残しているエリアはたくさんあり、場所によっては現代のヨーロッパより、古きヨーロッパらしさが残る場所もたくさんあるのです。

今回ご紹介するオレゴンのワインですが、造っている人はイタリア人からの移民の方です。
オーナーのルディ・マルケージ氏は、もともとアメリカ東部でモンティノレ・ワインを販売するブローカーでしたが、1998年同エステートのコンサルタントに就任。モンティノレの可能性を確信していたマルケージ氏は、量から質への転換のために様々な改革を実施してきました。
。葡萄畑の生態系や環境に配慮した自然農法、ビオディナミック農法に早くから取り組み、2008年ヴィンテージよりドイツのオーガニック認証機関であるデメターの認定を受けています。
自然農法に取り組んでるからと言って、おいしいのか、自分に合っているワインなのかは次のレベルの話にはなりますがこのマルケージ氏の情熱、ワインへの取り組みは注目です。
http://aquavitae.ocnk.net/product-list/128
よろしくお願いいたします。
ハンガリー新着 日本人とハンガリー人の共通点
ハンガリーは「ヨーロッパに投げられたアジアの石」といわれることがあります。
根拠のほどはみなさんに調べていただくとして、日本人とハンガリーのマジャル人には共通点があるようです。
このマジャル人はアジア人の持つモンゴロイドの遺伝子を持つと言われています。ウラル山脈を越えてきたアジアの民族が起源のようですが途中、様々な混血の繰り返しにより、見た目ではアジア系とはわからなくなっていますね。赤ちゃんには蒙古斑があると言われていますし、青い目や金髪の方もいらっしゃいますね。
名前も日本人と同じ、姓>名で呼ばれます。
手紙を書くときも氏名、国名、市名、町名、番地、部屋番で書くので日本と同じですね。
マジャル語も膠着語ですから宗教の関係上、アルファベットを使っていてもアジアの言葉に近いかもしれません。
そのほか、風呂好きや真面目な感覚が日本人に近いなと感じさせるところがあり、嗜好も近い部分があるかもしれません。
そんな、ハンガリー北西部のトカイのシャトーデレスラからお買い得な白ワインが入荷しました。http://aquavitae.ocnk.net/product-list/90
シャトーデレスラの歴史は古く、最初に記録に登場するのは15世紀初頭。ハンガリー国王ジグモンドへ、農民から税金として納められたワインリストにその名が記されています。15世紀半ばワイナリーは国王の所有となり、その後オーストリア帝国のハプスブルク家に所有権が移ります。その後は19世紀の独立戦争まで、何度かハンガリーの上級貴族の手を経ることとなりました。その後、パイパー・エドシックを率いた名門ドラン家のプロジェクトとしてこのワインが復活することになります。
トカイは貴腐ワインで有名ですが、デイリーな価格と味わいの白ワインも併せてリリース。
テロワールを表現し、貴腐ワインに使われていた地元品種、フルミント種、シャルガ ムシュコタイ種を使って爽やかな味わい、ほんのり甘い優しい味わいの2パターンのアイテムを造りました。
遠い国ですがどこか同じ感覚、同じ遺伝子を持つ人たちが造るワインの味わいを共有してみませんか。
よろしくお願いいたします。
すきまを探す
いろいろなワインを試飲しております。最近はオーガニック、自然派など体に負担のないワインを探す人が増えました。自然派イコールおいしいというわけではありません。自然派のカテゴリの中でも、おすすめできるワインを探していきます。
今回はイタリア、ヴェネト州のワインです。ヴェネトというとお手軽なワインのイメージがありますが、最近はオーガニックや無農薬でぶどう造りを行う若い生産者が増えてきました。
価格が高騰するイタリアワインの中でこのあたりに玉石混交、いいアイテムが見つかります。
今回おすすめするのはフィリッポ ガンバ氏が造る、「アッラ コスティエーラ」というアイテムです。
この名前は「海岸で」という意味ですが、文字通り畑から海を見下ろす太陽がさんさんとあたる場所でワイン造りを行っているというニュアンスです。
わずか7ヘクタールの小さな畑で無農薬のワイン造りを行っている方です。
白はタイビアンコ、いわゆるフリウラーノという品種を使っています。この葡萄はフリウリ ヴェネツィア ジュリア州の品種ですが、この畑のあるパドヴァ郊外のVo Eugeneo にある畑の光景を見ると古い石造りの建物はまさにヴェネツィア風です。
味わいは金色でおだやかな味わい、花の香りや乾草のような香り、ドライなアンズなども感じます。体への自然な吸収が自然なつくりを感じさせます。
赤はカルメネーレ。ヴェネト州のカルメネーレ造りは歴史が古いのですが、混植されていたせいか、メルロやほかの品種に勘違いされていた時期もありました。近年はその価値も見直されています。カルメネーレといえばチリ産のワインが有名ですが、チリの凝縮感はなく自然なぶどう、ミネラル感も感じる複雑な味わい。
個人の感想では早めの抜栓をおすすめします。二日目あたりからそのミネラル感も柔らかくなり、ドライな果実がでてきて、肉の脂との相性も良くなると思いました。現地の料理ではラビオリとの相性も良さそうです。

本家、フリウリのワインは高額なアイテムが多いですが、ちょっとメジャーな生産地から離れると意外といい生産者がいいワインを造っていることが多いのです。ヴェネトのパドヴァは日本では地味な生産地ですが注目の場所です。是非お試しください。よろしくお願いいたします。
言いにくいけどうまいんです。
シチリアやサルディニアはイタリアとは言えど、島ですので本土の文化や言葉とはやや隔たりがあることを感じます。
その中で今回ご紹介するイタリアワイン、ロンガリコ リヴェルス 
http://aquavitae.ocnk.net/product/534
に使われているぶどう品種はネレッロ カップッチョといいます。
このネレッロというぶどうはイタリアとサルデーニャで植えられている2種類のぶどう品種につけられた名前です。
一つはネレッロ マスカレーゼ。こちらは主にシチリア東部のカターニャにあるマスカリという地域からつけられた名前です。そしてシチリア北東部、エトナ山周辺で栽培されています。
品種は本土のカラブリア、ギリシャから伝わってきたと言われています。味わいも確かにピノを思わせるきれいなルビー色、赤いベリーの果実、バニラやたばこ、甘草のニュアンス、http://aquavitae.ocnk.net/product/534t酸とややスパイシーな感じがあります。
2008年頃にはDNAの研究などでネレッロはサンジョベーゼの交配品種であるとも言われています。
もう一つのネレッロ カップッチョは以前、ネレッロ マスカレーゼなどに色調とアルコール感を加えるブレンディング用のぶどうとしてエトナ山周辺に植わっていました。
しかし、単独に用いられるワインはあまり見たことがありませんでした。
これまでネレッロと呼ばれるぶどうを使ったワインの試飲についてシチリア東部やナポリ周辺の火山灰土で造られているワインを多く試飲したせいか、カタイミネラル感を感じるワインが多かったのですが、今回はシチリア西部のトラーパニ県、アルカモで造られたワインであるせいか、土壌のキャラクターというより、気候による影響が大きい味わいの葡萄ができたというイメージでした。とてもチャーミングな味わいですが前に出ることなく控え目に食事をサポートしてくれます。飲んだ翌朝もすっきりと目覚めることができました。
カップッチョはカプチンフランシスコ修道会の僧のことですがぶどうの房を見るとカプチンのフードのような形をしていますね。
こんなキャラクターのあるワインも新しい味覚を与えてくれると思います。
ぜひお試しください。

ワインの味わいは歴史と土地だ。
今年最初のコラムになります。今年もよろしくお願いします。
年末年始も業務の合間に試飲とペアリングの研究をしておりました。
特に今回はナチュラル系のシチリアワイン、ロンガリコ、アルド・ヴィオラ、アレサンドロ・ヴィオラ、http://aquavitae.ocnk.net/product-list/20
フランス、コリウールのピック・ジョアン http://aquavitae.ocnk.net/product-list/15
をおしています。
こちらのワインはとにかく自然派で酸と果実のバランスがよく、イチゴのような赤果実をかじっているような錯覚にとらわれる味わいです。
赤もとても優しく肉料理だけでなく魚のグリルにも合います。これはシチリアやバニュルス シュル メールという場所柄なのでしょうか海の料理にもとてもマッチしたという印象です。
もちろん、翌朝も飲み過ぎたという体の疲れを感じずにすっきりした朝を迎えました。(個人の感想です。)

年始から元気に頑張っております。
今年もどうかよろしくお願いいたします。