イタリアという考え方の難しさ

日本にはイタリアレストラン、イタリアワイン、イタリア食材などなどイタリアを肩書きにした商売がたくさんあります。
でも、具体的にイタリアのイメージって何でしょう。古代ローマとかラテンとか芸術とかグルメとか歴史の長い地域ですからいろんなものが想像できますね。

でも、今ある「イタリア」すなわち、イタリア共和国は1946年、第二次世界大戦が終わって、国民投票で共和制に移行し、まだ69年しかたっていない、世界史の中では比較的新しい国なのです。

そして、国として成熟しているかどうかといわれると、個人の感想ではそうとは言えないような気がします。ましてや州単位で文化も違うし言葉もちょっと違うように聞こえますね。イタリア語は、トスカーナ方言を基礎として標準語が作られたのですから、長靴の国の先では全く違う言葉が使われていても不思議ではないですね。

ワインの話でも当然同じことが言えます。各州のパスタの形状が違うように、地元品種も実に様々で中には同じクローンのぶどう品種でも呼び方が変わったり、生産者が違うぶどう品種だと思い込んで育てていたものが実は同じだった、とかよくあることです。
筆者も経験があるのはメルロ種だと紹介された畑の中に、熟すのが遅いぶどうが混じっていて、実は葉の形をよく見てみるとカルメネール種が混植されていたり・・・とか、地元品種がブームになると、それまで植えていたカベルネソーヴィニョン種などの外来品種を引っこ抜いて、知らない間に植え替えられていたり・・・と日本人の発想ではなかなか追いつかないイタリア人のアイデアを垣間見たことがありました。

ということで、実に様々な種類のワインがあり、その中で何を選択するかということが筆者自身の課題にもなっています。
よくお客様にイタリアワインのアイテムがもう少し多ければ・・・とご意見を賜ることがありますが、全州、全種類の品種をそろえることは小社では今のところ、ちょっと難しいと思われます。
それよりも、お客様の嗜好や、マーケット、イタリアの食材などを見極めて、選択していかなければ収拾がつかなくなってしまいます。

品種などの独自性を追求するか、日本人のなじみのある、見るだけで安心できるアイテムを選ぶか、ここは対局に位置する部分であるかと思われます。
そんな中で独自の品種でも自身で試飲を重ね、価格もお手頃で日本の食卓のどのシーンにそのワインが入っていけるかをイメージできたものからピックアップしていこうと思っております。

ですから、いまのところ、ワインリストには地域的に偏りもあります。足りない品種もあります。
自身の経験からこれはオリジナリティがある!と思って紹介しても、お客様の心に届かなければ誇りもかぶってしまうワインも過去にはありました。大事なのは勧める側と勧められる側に共通するビジョンがないとダメかと実感しております。
少しずつバラエティは広げていく予定ですが、その過程には慎重になっております。
逆にお客様からの問い合わせやリクエストがあればリストにない商品も取り寄せもできますし、今後の選択基準にも自身にとって良いヒントになるでしょう。
そんなご意見をお待ちしております。