無限の可能性を感じさせます。

年末も押し迫ってきてみなさまのお仕事も一段落し、しばし落ち着いた時間をお過ごしの頃でしょうか。
ワインビジネス業界に入った頃は、ワインを造る土地の地味(テロワール)というものがあり、それはその土地でしか生み出せないと教わったことがありました。
たしかに、2007年あたりまではフランスのボルドーやブルゴーニュのワインなどはブラインドテイスティングをしても、なんとなくこのAOC(原産地統制呼称)ならこういうイメージだと大まかにつかんでいましたが、だんだんとそのイメージがぼけてきました。
固定観念でそうだと思っていても間違えてしまったり、周りは違うといっても自分はそうだと思っていたら正解したり・・・マーケティングのグローバル化が進むとともに個性も失われつつあると思いました。
もともとフランス、スペイン、オーストラリアワインはイギリスのマーケット向けに造られていたもので当然そのマーケットの中でウェルカムな味わいにされるべく造られていたものがだんだんとインターナショナルなマーケットに合う味わいに変化してきたことがテイスティングを経てわかるようになってきます。
その中でフランスワインは高額化する傾向にあり、中産階級層ではついていけない強気の価格設定を行う生産者も増えてきました。
そこで生産者たちはワイン旧世界生産国を飛び出して、新世界生産国で旧世界の味わいを実現するための試みを始めています。

私のビジネスでの役割は日本国内で知られていない、旧世界のワインの実現を達成しようとする生産者を紹介、導入することだと思っています。
具体的に例を挙げると、
南アフリカのワインをテイスティングする機会を今年は多く設定しました。
南アフリカのこれまでのイメージは過熟、凝縮しすぎた、青っぽい、ピーマンのような香りのする安価なワインというイメージでした。
ところが、ここ数年でこのイメージを一新するワインに次々と出会っていきます。
そして、その理由をいろいろと聞いてみると、もともと南アフリカのフランス人居住区できれいなピノノワールを造ったり、高騰するフランスワインに見切りをつけて、それに限りなく近いイメージの味わいを造る人が現れたりという土壌がすでにあったことを知りました。
南アフリカでのワイン愛好家はドイツ、オランダ、イギリスのオリジンが多数派を占めていると思われますが、これを見てもコストをかけずに理想とするワインの味わいを実現しようとする国民性のようなものを感じます。

例えば、
sa-cdb-0002 セダーバーグ デリウク ピノノワール 2012 (赤)
http://aquavitae.ocnk.net/product/370

を昨日試飲しました。
もともとこの地域はケープタウンから内陸に300km入った、標高1000mの地域で造られているぶどうから造られたワインですから冷涼なエレガントな味わいのイメージがありました。しかしながら日照量が豊富なため、色調がしっかりしたピノノワールになっています。
試飲をすると、まるでブルゴーニュ中部地域のワイン、ヴォーヌ・ロマネからニュイサンジョルジュをイメージさせます。まだ若いワインでしたので、もうしばらく寝かせるとすばらしく化ける可能性があると感じさせてくれました。
それをみると価格はブルゴーニュと比べると破格の安さです。しかしそのワインは私に感動を与えてくれました。
世界中でこんな努力を続けている人はたくさんいます。
ワインは日常にあるべきアイテムだと思っていますので、いつでも手が届く価格であり、味も妥協しないそんなワインをこれからも探し続けてご紹介していきたいと思っております。
今年一年お世話になりました。そして来年もよろしくお願いいたします。
この場でお礼に代えさせていただきます。ありがとうございました。