まだ新しい国の古いワイン

オーストラリアはまだ建国してから238年ほどしかたってない比較的新しい国です。
筆者の感覚では独立した大陸であるせいか、新しい国とはいえ、建国当時から移住した当時の文化がまだ残されていて、その当時の伝統的なスタイルがそのまま残っている、古い文化がいい意味で維持されている国だと思います。
ワインでいうと南オーストラリア州のバロッサあたりがそういうイメージでしょうか。
今回紹介いたしますのはそんなバロッサのラングメイルワイナリーです。
その歴史は、信仰上の理由からいまのドイツ、ポーランドとチェコの国境付近に位置するシレジアを追われたクリスチャン・オーリックト氏が、自由を求めて7年間で5回もの移住の末に、1842年に家族と共にこの地に移り住んだことから始まりました。オーリックト氏が1843年にこの地に植えたシラーズは、バロッサだけでなく世界で最も古いシラーズの樹として知られています。1932年に最初のワイナリーが建設され、当時は「パラデール・ワイナリー」の名で運営されていました。1996年、バロッサ・ヴァレーに何世代にも渡って住んでいる地元の3名、リチャード・リンドナー氏、クリス・ビター氏、カール・リンドナー氏がパラデールを買収。彼らはまだ残っていた古い建物を修理、ラングメイルの村の建て直し、ワイナリーの改装を行い、ラングメイルの地にちなんで、ワイナリーを「ラングメイル」と名付けました。2011年にリンドナー家の所有となっています。
ラングメイルワイナリーは、シラーズの随一の産地であるバロッサ・ヴァレーと、標高が高く冷涼な気候のイーデン ヴァレーに葡萄畑を持ち、手頃なものからプレミアムレンジまでライム、青リンゴの若々しい香り。ほのかな花の香りと、リースリングに特有の石油香も感じられる。フレッシュで豊富な酸と、リンゴのような果実味が感じられる。引き締まった味わいのワイン。うりういの幅広い価格帯で、エレガントでバランスの良いスタイルのワインを造っています。プレミアムレンジは樹齢70年~100年を超える古木から造られるワインが中心。
全体的なスタイルの感想としてはワインの造りは現代的と言えますが、バロッサの高樹齢のぶどうの樹の実力を感じます。ワインの味は畑の仕事だと確認できるスタイルです。

ラングメイル オルファンバンク シラーズ バロッサ・ヴァレー ¥6,380
平均樹齢は約88年。力強く芳醇な香り。スミレ、チョコレートにセージ、杉、微かにホワイトペッパーの香りも感じられる。ジューシーなラズベリーとプラムの風味が口の中いっぱいに広がる。ホワイトペッパーのニュアンスも感じられる。きめの細かいタンニンがあり、エレガントでバランスの取れた味わい。タンニンも柔らかくなめらかに口の中に入ってきます。

ラングメイル ヴァレーフロアー シラーズ バロッサ・ヴァレー ¥2,890
樹齢は約100年。よく熟したカシス、ブラックベリーの果実香に、樽由来のヴァニラの香り。黒コショウ、シナモン等のスパイスの香りや、皮のような香りも感じられる。ふくよかなアタック。果実の甘さの後に、細やかだがしっかりとしたタンニンを感じることが出来る。
セカンドラインながらタンニンの構成がしっかりしていて、オーストラリアの太陽を感じる味わい。

ラングメイル ステッドファスト シラーズ バロッサ・ヴァレー ¥2,130
ブラックベリー、プラムにスパイスのリッチな香り。樽熟成からくるヴァニラのニュアンスもある。フルーティな味わいで飲みやすく、滑らかなタンニンが口の中に広がり、余韻が長く続く。カジュアルラインで繊細さがあり食事のワインとしておすすめ。

ラングメイル イーデン ヴァレー ドライリースリング ¥2,680
ライム、青リンゴの若々しい香り。ほのかな花の香りと、リースリングに特有の石油香も感じられる。フレッシュで豊富な酸と、リンゴのような果実味が感じられる。引き締まった味わいのワイン。イーデン ヴァレーの代表的な品種リースリング、その特長を十分に感じさせる一本です。

よろしくお願いいたします。