ボルドー ソーテルヌ 宝石を見つけた娘

ボルドーで価値のあるワインのひとつ、白、甘口のソーテルヌがありますが、近年デザートワインの需要が落ちつつある市場でソーテルヌの各生産者は辛口ワインへの転換を図るところも少なくありません。
ボルドーのガロンヌ川の上流にボームという町があります。ソーテルヌワインのファンでないと知らないと思われるような街に日本ではそれほど著名ではないシャトーシガララボーという生産者がいます。
この畑の歴史は1660年にさかのぼります。当時のオーナーは市長で、オーナーが何人も変わる歴史がありました。それでもこの畑はオー・ボームの丘の斜面にある南向きの砂質土壌の畑でシガラの宝石といわれるほど、並外れた完熟した葡萄を生み出し、地味ながら高い評価を得ていました。
1855年のパリ万博の際のボルドーワイン格付け時にも一級の格付けを与えられるなどポテンシャルは抜群でした。しかし1930年から第二次世界大戦終了あたりまでは困難な時期を迎え、またもオーナーがどんどん変わっていきます。1950年にはジネステ家がシャトーマルゴーを購入するためにラボーの畑を手放したい意向を示し、現在のオーナー、ランベール デ グランジュ氏がこの地を支配、販売経路を変えたり、ワイナリーに投資したりして改善を図りました。1986年以降は味わいの評価も安定して高い評価を得るようになりましたが、甘口ワインの需要量が落ち込むと読むや否や父、ランベールをサポートしていた娘、ロールが2007年にテクニカルディレクターとしてデイリーとして楽しめるより安価な辛口ワインを開発、2009年にリリースしました。個人的な感想ですがネームバリューは地味ながらテロワールを反映した骨太で味の構成がしっかりと作られたワインであると思います。まさに隠れた宝石という表現がぴったりだと思いました。
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