ギリシャ新着 海のイメージながら山の味を感じる。

ギリシャ新着 海のイメージながら山の味を感じる。
今回ご紹介しますプローエスのワインを試飲すると自然、文化、歴史が多層的にやってきて不思議な印象を受けたワインでした。
まず、このワインが造られている場所はギリシャ北部、東マケドニア・トラキア地方のドラマという町です。
この町は海岸線からおよそ20kmほど内陸に入ったブルガリアとの国境地帯にある町で、おそらく地図で見ると海洋性気候の影響をうけたぶどうの味を感じるのではという先入観から入ります。
それぞれのアイテムのラベルを見てもそうなるでしょう。
試飲をすると次々に体に入ってくるのは土壌のミネラル感、柑橘系のフルーツ、白い花のブーケと海の印象というより山の印象が強かった。
このドラマの町は、海の恵みというより後ろに広がるロドピ山脈からくる水源を中心に古代ギリシャから栄えた町で、北のブルガリアと東西冷戦構造の境目とはいえ、牧羊業を営む人たちの往来はまるで国境がないかの様だとのこと。
山の反対側にはブルガリアのメルニックなどにメルロやカベルネが古くから造られていた歴史があるし、ドラマにも国際品種が育てられる古い歴史の土壌があったことを感じさせます。
そのブルガリア側とのワインの違いを感じたのは社会主義体制崩壊後に外国資本を積極的に導入させ、インターナショナルマーケットを狙った味わいを作ってきたブルガリアとその真逆を行く、ギリシャ国内のやり方を連綿と受け継いできた伝統的な味わいのスタイルです。
どちらがいい悪いと言う優劣の問題ではなく、南北の交流がありながらそのスタイルの違いがとても興味深い印象を持ちました。
そういえばスラヴ諸語で使われるアルファベット、キリル文字も10世紀頃に正教会のキュリロスとメトディオス兄弟が布教の為にスラヴ語で表記するための文字を「たちまちのうちに」作り上げたという伝説がありますが、それはギリシャの文字を元に作ったと言われます。たしかにキリル文字(グラゴル文字)とギリシャのアルファベットは形状が似たものが多いです。
しかも、この土地はかつては東ローマ帝国、オスマン帝国、トルコからも影響を受けているのでこのワインとそれに合わせる評価をするときに単純に感じたことだけを反映させるだけでは難しいと感じました。
しかし、デイリーとして楽しむにはどんな食事にでも気軽に合わせることができるインターナショナルなスタイルであるともいえるでしょう。

プローエス、デイリーワインで楽しめますが意外と奥が深いのです。
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よろしくお願いいたします。