フランス コルシカ島 洗練された人の作品

フランス コルシカ島 洗練された人の作品
年末年始に試飲を重ねて印象的だったのはコルシカ島のワインでした。
フランス最南端の暑い平地で作られたぶどうからできたワインはきれいな酸とやわらかな果実。フランス本土のビオディナミとも少し違うイメージでした。
このワインはコルシカ島の南、アジャクシオのさらに南のサルテーヌに本拠地を構えるペロ・ロンゴという生産者。紹介文によると、このドメーヌはコルシカ島南部のフィガリから車で30分のSerraggiaに所在。近くにLion de Roccapinaと呼ばれる、ライオンの形をした巨岩があり、観光名所となっている。現当主のピエール・リシャルム氏は2代目。コルシカでは希少なビオディナミ生産者。ピエール氏がビオディナミに興味を持ったのはクロード・ブルギニヨン氏の講演が契機だった。2000年から始め、2003年に認証所得。プレパラシオンの500番、501番、504番の他、カモミールなどのハーブティーを使用。醸造は対流が自然に起きる卵型コンクリートタンクを、横に寝かせた状態で使う。その理由はそれが"自然”な形だから。SO2の代わりにイタリアから取り寄せた火山性の天然硫黄を使用している、とあります。新しい生産者でありますがこのコルシカの食文化の中で積み上げられたテイストとは違う、今の作り、マーケティングを見ていると言うか、人の味覚にどのようにインパクトを与えると感動が得られるか研究しているような感じでした。
もともとコルシカ島を代表するワインは北部のパトリモニオとかガップゴルスのミュスカがありますが、コルシカの歴史が描かれた本によるとそもそも、島にはぶどうはなく、島外から持ち込まれたもので、アルジェリア独立などで北アフリカから帰ってきた人たちに当時の政府が東海岸の湿地帯に農地を割り当てられたところから農業が広がっているそうで、特に内陸部の山岳地帯にも葡萄を作るのに不向きな高地が広がっています。
試飲していると特に地域の特徴や違いは捉えにくく、白のヴェルメンティーノ、赤のシャカレル、ニエルチュのキャラクターが前に出てくる。地質も歩いた実感では島全体が火山性土壌ではありますが、その構成や風化した露頭の古さの違いはあるものの品種のイメージが先に出てくるように見えます。
その中でコルシカ島のいろいろな地域のワインを試してみると、作る人のポリシーやオマージュの反映による味わいが大きいように伝わりました。
歴史時代が新しいせいかどんな食事と合わせるか、どのタイミングで飲むかとかあまり難しく考えず、うまいワインを飲みたいときに気軽に手に取れるアプローチで試してみるといいかもしれません。私は次の日の朝もすっきり起きることができました。
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