ピーター・シセック氏が立ち上げたリベラ・デル・デュエロの 地域共同プロジェクトによる自信作「Ψ(PSI プシー)」

ピーター・シセック氏が立ち上げたリベラ・デル・デュエロの 地域共同プロジェクトによる自信作「Ψ(PSI プシー)」
ギリシア語アルファベットにおける23 番目の文字で、心理学 (Psychology)、超能力 (Psychic Ability/Power) をあらわす包括的な単語/記号である「Ψ(PSIプシー)」。
世界的に有名な珠玉のスペインワイン「ピングス」を手がけるピーター・シセック氏が、自らの「スペインワインユートピア構想」を実現すべく立ち上げた「ネオ共同組合」的ヴェンチャープロジェクト、それが「PSI」です。

シセック氏がリベラ・デル・ドゥエロと本格的な関わりを持つきっかけになったのは、2007年のこと。その年、雹害によって多くのブドウを失ったシセック氏は、「フロール・デ・ピングス」を造るためのブドウを探すうちに、リベラ・デル・ドゥエロがブドウの生産地としていかに急成長を遂げているか身をもって感じさせられたのです。しかしながら、同地の作付面積は20年間で3倍以上に拡張されてはいたものの、同時に供給過剰とも言える状況を招いており、これが古木の価値を貶める要因となってしまっていたのも事実でした。リベラ・デル・ドゥエロの古い畑には計り知れないポテンシャルがあるにも関わらず、地元農業の技術が乏しいためにその潜在性が生かされていないと感じていたシセック氏は、こうした経緯から、古木を所有している栽培者が若木への植え替えを行ったり、いたずらに生産量を追求したりすることのないよう、自ら地元生産者をサポートしようと決心したのです。

「PSI」の主たるコンセプトは、今日使用される多くの最新技術を避け、丁寧な作業で健全なブドウが本来持ちうる味わいを引き出すこと。ジェネラルマネージャーのパブロ・ルビオ氏とシセック氏は、地元生産者に有機農法やビオディナミ農法の知識を与えるだけでなく、質の改善が認められたブドウには、今まで支払われていたより高い金額を出してそれを買いとるなどして農家のモチベーションと意識を高めてきました。
これら農家のネットワークは2009年以降さらに広がりを見せており、新規の栽培家たちがプロジェクトに加わったことで、土壌が多様化し、より深みのあるワインが生まれるようになったといいます。また、2010年には古い畑を傘下に入れ、別の目的に使われないように保護しているそうです。

シセック氏いわく、「フロール・デ・ピングス」は村名ワイン、「ピングス」はクリュ・ワイン、そしてこちらの「PSI」はリージョナル・ワインとして、氏のヴィジョンに位置づけられているのだとか。

2017年は「暖かく乾燥した年で、秋の気温は平均的だったものの6月、7月に容赦ない暑さがあったことで全体としては気温の高い年という総括になった。霜の被害、また土中の水分不足と空気の乾燥によってブドウ樹は不規則な成長を引き起こしたが、この過酷な環境条件に適応するために比較的小さい房を付け、土から十分なカリウムを吸収した。結果的には熟した素晴らしい香りと低めの酸を持つブドウが収穫できた」とのこと。

リベラ・デル・デュエロ全体に被害をもたらした霜害により、前年に比べて大幅に生産本数が減ってしまった
PSIですが、逆境をものともしないその姿勢は、このご時世 大いに励みになってくれることでしょう!!

凝縮感が見て取れる濃い赤紫色。抜栓直後からラズベリーやレッドカラントなどの赤系果実に、ホワイトペッパーのようなスパイシーな香りがふんだんに立ち上る。空気に触れるとブルーベリーやプルーンなどの黒系果実に、ユーカリ、インクといった幅広い香りが感じられるように。繊細でスタイリッシュな香りの層が抵抗なく鼻孔に届いてくるイメージ。味わいはアタックからガツンと迫ってくるものではなく、飲み込んでからジワジワと旨味が口に広がってくる。プルーンやカシスなどの完熟果実の甘さのほか、栗やスイートポテトを思わせる厚みのある味わいも。赤身肉の煮込みやグリルと合わせてみたい。

※ピーター・シセック PSI 2017 750ml

セパージュ       :テンプラニーリョ96% ガルナッチャ4%
土壌          :様々な石灰分を含む粘土質土壌と砂質土壌
標高          :830〜920メートル
収穫          :手摘み
ブドウの平均樹齢    :30年以上
生産本数        :約18,750cs
2017年・パーカーポイント:89点

よろしくお願いいたします。