ラングドック・スペインの出来事。外国語を知ること。

最近、気候がだいぶ冬に近づいてきました。寒くなると思いだすことがあります。
筆者はしばらくの間、フランス南西部のラングドック地方、スペイン北東部のカタルーニャ地方に滞在した経験があります。
その時に生活のルーティンとして外国語の勉強をすることにしていました。
フランス語、スペイン語ですが、それ以外に当地にはカタルーニャ語が存在します。
カタルーニャ語はフランス語やスペイン語に似ているかと言われれば、同じラテン語族で日本語よりは似ているということですが、フランス語やスペイン語とは全く別物です。
スペイン語はカステジャーノ、フランス語はオイユともいわれ、カタルーニャ語はオック語で大陸の言葉と結びつくというよりも、地中海周りで話されている地域が多いです。
南フランス地中海沿岸のプロヴァンサル語にも近い言語ですし、遠く離れたイタリアのサルデーニャ島北西部のアルゲーロ市などでもカタルーニャ語は話されています。

そんな三つの言語が複雑に混じり合う土地であたまがごちゃごちゃになりながら、コミュニケーションをとり、なんとなくわかり始めたころ、あるツアーのお手伝いをしました。
そのツアーの通訳は英語を媒体としてコミュニケーションをとろうとしていましたが、パリやリヨンでもあるまいし、こんな片田舎で英語も通じるはずもなかろう、思いつつ、サポートしているとフランス語ができる人助けてというサインが出ました。
これに対してどう応えてあげればいいのか、コミュニケーションはできるけど通訳はできないという理屈は通じるのか。

話すこと、書くこと、通訳、翻訳、は違うものと思っていたからです。

通訳は発信される人が使うボキャブラリをあらかじめ詰め込んで、発せられた言葉を逐次変換していく作業ですから、その方に関わる情報を知る必要があります。そんなボキャブラリもない私でしたがたまたまワイナリーの案内だったので知っている言葉もありましたが、予備知識もなく、前述の3つの言語が混じり合う土地でガイドの知りうる言葉を必死で変換しました。それを気遣ってくれたガイドさんも丁寧に話してくれたのも幸いしましたが、通常は言葉に詰まると、この日の仕事はすべて失敗だ、という表情をされるのがおちです。
通訳サービスの仕事は、お客様を迎えるホスト、ホステスのようなもので99%うまくいっても1%の落ち度ですべてが台無しという、報われないことも多い仕事だと思います。
そして、通訳が終わるとまるで空気のように何事もなかったかのようにその存在は消えてなくなります。
自身の少ない通訳体験ですが、それがおわるといつもぐったりしてしまいます。
テレビで見る同時通訳、逐次通訳の方は本当に尊敬に値する仕事をされていると思います。
ですから、ラングドックでのコミュニケーションフォローはいつも強烈な緊張と印象が残っているのです。
当然、そんな場所で刷り込まれたワインの味わいはいまでも忘れることができません。

ブラックベリーの果実味が後を引く味わいのレベルが日々進化していき、「フランスやスペインのニューワールド」と呼ばれ、フランスでも最も注目すべき地方になっています。

当店ではラングドックやカタルーニャのワインもたくさん扱っております。
ぜひ、お試しください。
よろしくお願いいたします。