スペイン人にとってのワインとは

スペインは世界最大のぶどうの作付面積を誇っています。2015年の統計データでは2位が中国だということも意外でしたが。
話を元に戻して、そんなスペインなので生活の位置づけの中にも深くワインが関わるという想像は難くないかもしれません。
しかし、意外にワインの価値が認められ、生活に根差したのはそんなに昔の話ではないような気がします。
確かに、ぶどうの栽培が始まったのは、紀元前1100年頃に、フェニキア人、カルタゴ人古代ギリシャ人がワインをもたらしたとされています。
中世になってイベリア半島がイスラム勢力に支配されると一応、飲酒が禁止され、レコンキスタを待ちました。その後もワイン造りは再開されるも、イングランド輸出のために造られていたので、品質もイングランド人の嗜好に合ったものが造られていたでしょう。
そのころのワインはへレス、マラガワインやモンティージャのような甘口、酒精強化ワインが主流でしたから、今のスティルワインとも味わいも少し違ったものだったでしょう。
19世紀にはヨーロッパはぶどうの病気が蔓延したころにフランスへの輸出がメインになります。当然スタイルはフランスの、特にボルドースタイルに似た味わいのワインが作りだされました。ラ リオハのワインなどがそれに似たスタイルでしたがボルドーの醸造方法を伝えたというわけではなく、その製法はリオハの伝統スタイルといえるものでした。
19世紀後半~20世紀には産地偽装やフランコ体制でのスペイン内戦などでワイン造りにとっては厳しい冬の時代が続きます。
1975年のフランコ体制が終わり、民主化されてからようやくワインが根付き始めた実感が出来てきます。
ワインの価値についても同様に、19世紀後半に流行したフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)の流行以降、接ぎ木をすることによって回復しましたが、そのフィロキセラ禍を逃れた高樹齢のぶどうの樹が多く存在することの認識すらなかったようですので、生活、ビジネスにワインが密着したのは1990年代後半からだろうという実感があります。
ビジネスの才覚があるカタルーニャ人たちがプリオラート、ペネデスでスーパースパニッシュを作りだし、ピエ・フランコ(接ぎ木なしのぶどうの樹)のバリューを世にアピールしました。しかし、私たち一般市民にはとても普段飲めない高額なワインになっています。
一方、筆者自身の経験でもありますが、普通の市民がバルで飲みに行くと安いが、水に色がついたようなワインを飲んではしごするといった感覚でした。
近年では若い生産者たちの努力により、その差がだんだん埋まりつつあり、安くともコストパフォーマンスの良いワインが見られるようになり、地元品種のアピールなど地方の特性も出てきました。
そんなアイテムを当店では探し続けていきます。

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