聖地巡礼がもたらしたワイン

今年最初のコラムです。今年もよろしくお願いいたします。
今週から仕事始めの方も多いこととおもいます。まだ体内時計や生活のペースが戻っていない方はゆっくりと戻してください。
今年最初のテーマは中世時代、サンチアゴ・デ・コンポステラに向かうヨーロッパの巡礼者たちによってイベリア半島にもたらされたワインを紹介したいと思います。
そのぶどう、メンシア種はガリシア州などスペイン北西部で栽培されますが特に評価が高いのはカステージャ イ レオン州のビエルソで造られるメンシアです。
この地域を訪れるとそれまで蒸し暑いスペインの町を歩いてきた筆者にとって、別世界にきたような涼しさとさわやかさを感じさせてくれる土地でした。
しかし、何もないこの荒涼とした土地は巡礼路、エル・カミーノではピレネー山脈越えに続いて過酷で終着点のサンチアゴ・デ・コンポステラへの最後の難関、レオン県のセブレイロ峠越えは巡礼者にとって、雨の多いこの土地が最後の過酷な試練であったことが伝わってきます。しかしケルト人が住んでいたころからの石造りの家がそのまま宿になっているところもあり、情緒あふれる土地でもありました。
そんな粘土質、石灰質で構成されたスレート土壌の荒涼とした土地との相性が良く、味わいにも良い結果をのこすこのメンシアというぶどうはスペインワインの中ではタンニンや酸味をあまり感じないフレッシュでなめらかな味わいになっており、その成熟ぶりはスペインの太陽をそのまま表した力強さを感じさせてくれます。
1990年代のプリオラートがスーパースパニッシュと呼ばれていた時代の次世代のワインとして注目されるこの地域には若手の生産者がどんどん入ってきていて可能性を感じさせます。
そんな地域のでお手頃な価格のアイテムがあります。

ロサーダ ヴィノス デ フィンカ
1960年にフランス、ボルドー大学のエミール・ペイノー博士は「いつの日かヨーロッパで最も優れた赤ワイン産地の一つになるだろう」というコメントを残しています。ビエルソではこの土地固有の葡萄である古いメンシアの樹から高品質な赤ワインを生産しています。メンシアの特長はその酸度の低さと糖度の高さ。これによりワインに良いボディが与えられ、柔らかく滑らかな口当たりのワインとなります。新鮮なブラックベリー、ラスベリー、レッドカラント、熟したプラム、リコリス、ハーブ、ミネラルなどの香りを感じることが出来ます。
古くから伝統的に行なわれてきたやり方に従い、土壌を鋤で耕し、土壌を覆う草を植えて土地の侵食を防いでいます。また、この地域の専門調査機関に土壌の分析を依頼しており、これにより葡萄の成長の為の技術が継続的に見直され、強化されています。ビオディナミに興味を持った時期もありましたが、科学的根拠がないことと、スペインにはビオディナミに認証を与える団体が存在しなかったことから、国際的な基準に順応する栽培基準を設定し、それに沿って葡萄を栽培しています。

そんなワイナリーが造ったワインがこちらです。
ロサーダ エル パハロ (赤)
http://aquavitae.ocnk.net/product/373
「エル パハロ」はラベルにも描いてある小鳥の意味です。スペインの人たちはよく写真を撮る時に「パハロ」という言葉を使いますが、レンズから小鳥が出てくるからよく見てねという意味でこの言葉を使います。このワインはメンシア種をそのまま体現した味わいで若くフレッシュで濃厚です。この地域の料理にもありますが肉料理との相性は抜群です。

ロサーダ シンコ ロサス (ロゼ)
http://aquavitae.ocnk.net/product/374
エレガントな色と味わいがまるでグラスから出てくるブーケのようです。まさにラベルにある5本のバラ、シンコ ロサスの名前の通りの味わいです。

是非お試しください。今年もよろしくお願いいたします。