ぶどう品種の再評価

いいワイン、お値段の張るワインというイメージでまず思い出されるのがカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネの両品種でしょうか。

しかしながら、世界のぶどう品種というのはそれだけではなく、このカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネは国際品種で様々な国に広く栽培されていますが、作付面積、収穫量としてこの品種が世界最多というわけではありません。

では、最も多く生産されている品種とは何でしょうか?

それはスペインで最も多く作られているアイレンという品種です。

この品種のイメージは大量生産、安いワインのイメージでしょうか。たしかに以前はこのワインは多少酸化して重い味で輸入されていたのをずいぶんとみました。
このあたりであまり良いイメージを持たない方々が多かったかもしれません。

現在では若飲み、フレッシュで軽く造られるようになりました。
しかし、それだけではありません。高い樹齢の木々を選定して、収穫を限定したり、良質のぶどうを選択することによって、その品質を高められるようになりました。

実際、スペイン国内でも高樹齢のぶどうの木から良質のぶどうが収穫されるという評価をするようになったのはそれほど昔の話でもありません。自身のイメージだと2005年ころくらいかというイメージです。

弊社のワインリストにもこのアイレンを使った商品があります。

sp-lmc-0001-org ラ テルシア イェマヌエヴァ アイレン

このワインはラ マンチャで造られています。
スペイン中央部にあるラ マンチャは高温、乾燥した気候にあり、牧草地の丘が幾重にもつながる平原です。このアイレンはこんな環境で生き続けられるぶどう品種なのです。
夏は45℃、年間降水量はたった350mm程度の厳しい気候の中で育ち続ける品種を選ぶには相当な努力がうかがわれます。

そもそも、このワインが造られることになったのは、この地で造られる赤ワインはとても凝縮感のあるテンプラニーリョやフミーリャという重いワインでした。
その希釈のために造られたり、酒精強化ワインであるヴィノ デ へレスの醸造工程における酒精強化、つまりブランデーを加えるわけですが、そのブランデーの原材料としても造られる品種でした。

そしてそんな環境の中でする1920年に設立された45haのアイレンおよびテンプラニーリョを所有する家族経営のワイナリー、ボデガス ラ テルシア。
樹齢の平均は50年以上(最大110年~)で全てフィロキセラの害を免れた自根の樹です。
フィロキセラすら生き残れないハードな環境下で1998年よりオーガニック農法を実践。 標高680mに位置する砂質土壌の樹齢平均90年のアイレンを手摘み収穫。
そんな丁寧に育てられたワインはふわっと広がるフレッシュなバナナの甘い香りにハーブのニュアンス、フレッシュで清涼感ある酸がキレ良く、心地いい辛口の白です。
これまでのアイレンのイメージを覆すワインについて再評価していただければ幸いです。