アイレンの可能性

スペインにアイレンという品種のぶどうがあります。世間的には評価もそれほど高くなく、エレガントでもないとされています。

しかし、スペイン国内で生産されるぶどう生産量の約30%を占めており、世界的にみても栽培面積の大きな品種と言われています。

もちろんレーズン、生食用やシェリーに加えられるブランデーなどにも使われています。

生産地もカスティーリャ・ラ・マンチャといったスペイン中央部での栽培が支配的ですが、この地域は年間雨量も少なく、冬と夏の温度の年較差がとても大きく冬は氷点下、夏は40℃以上といった日もある気候的にも厳しい土地です。こんな条件下でも育つぶどう品種を選択、栽培するには大変な苦労があったことがうかがえます。

味わいも強い果実味もありませんが、ラマンチャの夏の日のような暑さがつづく、日本でキンキンに冷やして飲んでみると、心地よい、優しい味わいが広がります。

改めて思い返してみると、スペインのラマンチャやアンダルシアではまず昼間に現地の人が外を歩いているのを見たことがありません。観光客くらいでしょうか。
それからすると日本人のバイタリティは素晴らしいなと思わせます。

sp-lmc-0001-org ボデガス ラ テルシア イェマヌエヴァ アイレン 2013

このワインは樹齢100年以上のぶどうを使用しているとラベルにも書いてあります。
この場合はぶどうの樹の耐性がすばらしいことが特徴で干ばつや病気にも強い品種であったことで、近年までスペイン国内では古木の評価もそれほどされていなかったことから、人による、味わいへの介入もあまり感じられず、自然な味わいだと印象にあります。

それ以上に筆者の世代を考えるとだんだん、重くない、エレガントな味わいの嗜好に傾いているかもしれません。