地球規模での反作用を利用する。

9月に入って気温が急変したり、台風がたくさんやってきたり、大雨が降っていたと思ったら、いつの間にか秋雨前線がしっかり本州を覆っていたりする状況に、自然を利用する職業、身近な存在では農業関連の職業に従事されているかたのご苦労をよく耳にします。

ヨーロッパでのワイン造りの歴史を紐解いてみると、ボルドーやブルゴーニュのぶどう畑でも気候変動があったことを記す報告やデータが残っており、近年の気候変動(原因は別にして)は特別なことでもないようです。
もっと極端なことをいうと紀元前は今のシリアやイランなどの中東地域は温暖な天候に肥沃な大地で農作や酪農が行われていたことが伝えられています。「肥沃な三日月地帯」としてエジプトからメソポタミア文明のあった地域などにはその様子を残した遺跡なども多くみられます。

自身の体験では「暑い夏には厳寒の寒さがやってくる」とよく言われるように、地球全体の大気が平均化をとる作用を起こすために反作用が起こることを利用すれば、人間も自然の流れに沿った生活ができるのではと考えています。

例えば、今年は夏の終わりから秋にかけて雨が続きました。野菜や果実の収穫時期であった農家さんは収穫に苦労されたようですが、逆にこんなニュースもありました。秋の長雨で森の湿度が上がったために、きのこ類が例年に比べて豊作であったようです。

なんとなく、収穫だけ見ても、何かが悪かった時には逆に良い収穫だったものがあるものです。毎年、この季節になると食べるものが決まっているということも決して悪いわけではないですが、わざわざ無理に高い値段を払って調達するより、今あるものの組み合わせでベストな選択を考えることも一つの手ではないかと思います。
将来、食材調達の手段として、高栄養価のある昆虫を試食するという記事も目にしましたが、そういう中にもワインを合わせていく必要があるのかな、とも考えたこともあります。

話をキノコに戻します。ワインビジネスをやっているせいか、おもわず、どんなワインを合わせるのが良いか考えてしまう職業病のようなところがあります。ジビエ、肉類、野菜、川魚などどんな食材でもソースでもうまく合わせてくれるところがあるのでそのイメージはいくらでも出てきます。

きのことワインの相性を考える基本的なイメージはキノコ自体の香り、特に土の香りの強さやそれに合わせるソース、あとは噛み応えあたりでしょうか。そうなると赤、白、泡ものを問わず、どんな組み合わせでもやりようによっては想像しなかった組み合わせができる可能性があります。ぜひ、いろいろ試して、ご意見をお聞かせいただければ幸いです。

ちなみに、ヨーロッパの方々にとってはキノコ狩りが年間の一大イベントと位置付けている方々が多いようなので、そういった話でも良く盛り上がります。ただし、どこで何が取れるかという地域の情報は一切話してくれません。それは誰にとってもトップシークレットなのです。