店長日記

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サンクスギヴィングデイ(感謝祭)が終わり、欧米では町はクリスマスムードなっています。
当店もクリスマスのディナー向けのワインセットを販売します。

しっかりしたお料理を引き立てるワインの味わいはお料理を食べた後、クリアにしてくれたり、ソースの役割のようなわき役としてお料理を引き立ててくれたりと色調や味わいがテーブルを豊かにしてくれます。

ぜひ、お試しください。
具体的なお料理とのマリアージュ、クリスマス会のコンセプトをお問い合わせいただけましたら、当店でそのご提案にあったアイテムをセレクトしてご提案いたします。

ぜひ、ご検討よろしくお願いいたします。

P.S. ソプラノ 河合美帆が声楽教室をスタートします。みなさまに歌の楽しさを伝えます。こちらも興味がございましたらぜひお問い合わせください。詳細はオープニングページに掲載しております。

みなさまに歌とワインを!

世の中では日本でもブームになっているハロウィーンが終わりました。
次のイベントは日本ではまだなじみがありませんが11月第四木曜日はサンクスギヴィングデイという感謝祭の日です。
この日は七面鳥を食べるのでTurkey dayとか収穫感謝祭とかいわれていますね。ニュースではオバマ大統領がホワイトハウスで、「私の権限の範囲内で行動する」と会見し、選ばれた七面鳥に恩赦を与えるニュースも見られます。
このサンクスギヴィングが終わると、アメリカやカナダでは各家庭でクリスマスツリーがお目見えすることになります。
これからクリスマスの装いが世界中どの町でも見ることができますが、国によってその様相は全く違います。
北半球は寒いですが、南半球は真夏ですし、サンタもサーフィンやっているのを見ました。

そんな中でも、変わっていると思わせたのはチェコのプラハでの冬の風物詩です。
チェコが冬になりクリスマスが近づいてくると街中でよく見られる光景は鯉の店頭販売です。
チェコの人々はクリスマスに鯉料理を食べる習慣があります。
以前、イタリアのフリウリのワイナリーで出会ったガイドもチェコ人でしたが、クリスマスには鯉を食べるかと聞いたところ、もちろん食べるよ、との返事。みんな普通に食べるのだなと感心していました。
鯉は唐揚げにして食べるのが一般的なようですが、川魚で小骨も多い魚なのでぶつ切りにして揚げるのはどんな味なのでしょうか?筆者はまだ食べたことはありません。
実際に食卓に上る鯉はボヘミアなどで養殖されていて、レモンや塩で臭みをとるため、川魚特有の臭みはあまりないと聞きましたがどうでしょうか。
なぜ、食べるのかを聞いてみたところ、大戦中、ドイツの占領下で肉などのタンパク質が不足していたころの名残だとか、クリスマスイヴの日に肉を食べなければ金色の豚に出会えるので代わりに魚を食べるとか様々な理由があるようです。
チェコで ”Smazeny kapr“ こんな文字を見たらぜひ試してみてはいかがですか?ワインは白で樽香や果実味のあるものが合いそうですね。

そろそろクリスマスの準備にワイン選びを始めてみるのはいかがですか?

よろしくお願いいたします。
今日はボジョレ・ヌーヴォの解禁日です。近年はブームもやや下火になり、輸入量も下がってきたようですが、お祭りは相変わらずですね。
今年のキャッチコピーは「過去にグレートヴィンテージと言われた2009年を思い起こさせます」、ボジョレ・ワイン委員会のコメントは「記憶に残る素晴らしい出来栄え」となっています。
年々、キャッチコピーを考えるのも大変になっているのではないでしょうか。

2011年は「100年に一度の出来」、
2009年は「過去最高と言われた2005年に匹敵する50年に一度の出来」、
2010年は「2009年と同等の出来」
2005年は「タフな2003年とはまた違い、本来の軽さを備え、これぞ『ザ・ヌーボー』」、
2003年は「110年ぶりの当たり年」、
2002年は「過去10年で最高と言われた2001年を上回る出来栄えで1995年以来の出来」、
1999年は「1000年代最後の新酒ワインは近年にない出来」、
1995年は「ここ数年で一番出来が良い」、
1996年は「10年に一度の逸品」
と、ふぅー、なんか疲れてきました。結局何がいいのやら・・・。

お祭りを盛り上げるための苦肉の策に見えなくもないですが、ヌーヴォー販売に関わる人たちのご苦労が垣間見えますね。(笑)
では、単に一飲み手としての側面から見るとどう見えるでしょうか。
ブルゴーニュで造られているワインのほとんどはピノノワール種と言われるぶどうから造られますが、ヌーヴォーはピノノワール種からはほとんど造られることはありません。
ガメ(gamay)種という、ブルゴーニュ南部からローヌ北部で大柄で粒が大きく栽培しやすいぶどうから造られています。
フレッシュ、フルーティな味わいでピノノワール種に混ぜられることもあります。
そしてヌーヴォワインというのは収穫祭でその年のぶどうの出来を確認し、ワインを購入する人にとっては、その年の購入量を決めるための目安ともなるイベントなのです。
こういう新酒の収穫祭はぶどうの産地ならどこの地域でもやっていることでボジョレだけが特別なことではありません。
筆者の考えでは新酒の出来を試飲して確認したなら本来そのあとにリリースされるボジョレ・ワインのほうも興味を持ってみませんか?試飲して興味も持たず、何も買わずにかえるのはちょっと寂しい、もう一歩進んでみてはどうでしょうか、ということを皆さんに伝えたいわけです。

ボジョレ地域で造られるワインは素晴らしいワインがたくさんあります。この地域の中には10のAOC(原産地統制呼称)エリアがあります。

サン・タムール (St. Amour)
シェナ (Chenas)
ジュリエナ (Julienas)
シルーブル (Chiroubles)
ブルイィ (Brouilly)
コート・ド・ブルイィ (Cote de Brouilly)
フルーリー (Fleurie)
ムーラン・ア・ヴァン (Moulin a Vent)
モルゴン (Morgon)
レニエ (Regnie)

それぞれに素晴らしいワインを造っています。
ガメ種のワインを前述ではフレッシュ、フルーティなワインと称しましたが、現地では上記の生産地から造られ、熟成したクリュ・ボジョレという素晴らしいワインがあり、試したことがありますが、その出来は素晴らしい、の一言でした。地元のレストランでの食事はいまでも記憶に残っています。

おすすめのクリュ・ボジョレです。(取り寄せになります。)
ジュリアン・スニエ (価格表示は税抜)
当主のジュリアン・スニエ氏は20歳からワイン業界に入り、ブルゴーニュの著名なドメーヌで修業し、モメサン社でクリュ・ボジョレの醸造責任者を務め、2008年に自身のドメーヌを設立しました。畑仕事がワイン造りでは一番重要であるという考えの基、畑の管理はビオディナミにより丁寧に行っています。

レニエ 2014 \2,980
モルゴン 2014 \3,230
フルーリー 2014 \3,230
レニエ サンスフル(SO2(酸化防止剤・二酸化硫黄)無添加) 2014 \2,980
フルーリー サンスフル(SO2(酸化防止剤・二酸化硫黄)無添加)  2013 \3,400

よろしくお願いいたします。
スペインやイタリアから新商品をリリースしました。
今回の産地、スペインはムルシア州、フミーリャ、イタリアはシチリア島と南のワインです。
このあたりは両方とも海のリゾート地です。ぶどうを造っているところは内陸の山のほうなので、ワイン生産関連の人かぶどうを造っている人以外は地元の居住者しか会いません。
しかも昼間は暑すぎて、外に出ている人もほとんどおりません。
ぶどうの畑以外はオリーヴ、サボテン、熱帯植物、くらいでしょうか。
こんなところでぶどうが育つのかという荒涼とした大地が続きます。
レコンキスタ以来ほとんど進化していないような感じさえ与える町です。以前は大量生産用のワイン、ほとんど真っ黒で甘いフルーツとアルコール感しか感じられない強いワインばかりでした。しかし近年は、きちんとした栽培管理と優れた醸造家の造りによって世界的に注目されるモダンなスタイルのワインを次々と誕生させています。
出来上がりのワインばかり見ている私たちからすると、企業努力、人の力次第で洗練された味わいになるものなのだなと感心させられます。
この荒涼とした景色を見ているとまるでテレビで見た月面を思い起こさせます。
将来、地球外でぶどうが出来る日が来るかもと思ったのは私だけではないかもしれません。

人間のイメージは必ず具体化します。
世の中に自然派ワインと呼ばれるワインはすごくたくさん出回っています。
ただどこから自然派?どこのまで自然派と明確に説明できるものはあるのでしょうか?
ぶどうは自然からできるのだから工業製品でなければ自然の作物です。
以前は二酸化硫黄(SO2)が入ってないビオワインを飲んだら頭痛がしなくなったとか翌日の二日酔いがなくなったとかというエピソードが聞かれるようになってからやたらビオや自然派をうたうワインに傾倒されるお客様が増えたような気がします。

その線引きはいまだもってよくわかりません。完全無農薬がいいのかどうか?完全無農薬でも病気にかかってぶどうが育たなければワインはできません。
生産者さんに話を聞くとSO2は子供の予防注射のようなもので放置しておくと雑菌にやられてしまうという話も聞きました。SO2はローマ時代から使われていて、人によってはそのうちなくなるという話も聞きました。

畑のぶどうの樹に完全無農薬状態に育てたとしても、その周辺の環境で薬品が使用されている場合はどうでしょう?例えば農機具やワイナリーの内部での洗浄や清掃に薬品が使われていたり、コルクやボトルの洗浄に使われている場合はどうでしょうか?
あとはボトルにオーガニックワイン認定と書いてあっても、説明をよく見ると数年前からオーガニックにしたと書いてあったりすると、その畑にそれまで蓄積された農薬が数年で解消するでしょうか?該当する畑ではオーガニックになっていてもその隣の畑はどうでしょうか?例えばオーガニック栽培されている畑の斜面の上で農薬がバンバン使われていたとして、雨や土砂崩れでその成分が流れ込んできたらどうでしょうか?
オーガニックの中でも完全無農薬から減農薬まで様々なレベルがあります。農薬と言っても化学薬品から自然にあるものを調合したものまであります。

表示の問題にしてもそうです。ラベルにこれ見よがしにビオディナミとかオーガニックとかエコセールとかデメテールとか記載しています。それ自体は悪いとは思いませんが、もう一方の側面からみると営業的な記載に見えてしょうがない時もあります。これを記載した人の意図はなんでしょう?
ビオディナミやオーガニックを実践しているにもかかわらず、なぜそういう記載をしないのか?商売っ気のない生産者さんに話を聞くと、昔から続けてきたことでそういう農法を特別視しない、当たり前のことをなぜわざわざラベルに記載するのかと一刀両断されたこともあります。自然界全体に優しい農産物を作るということはその環境を借りて造らせて頂いているので周りの環境に影響しない、迷惑をかけないのは当たり前のことだともおっしゃっていました。
ラベルに自然派の類の文言が記載されていなくても真面目にぶどうを造っている生産者はたくさんいるのです。

こんなことを考えていると結局は「自然の中でできたものをとった人間がどのように扱うか」、に行きつく気がします。
筆者の考えでは、どういうワインをお客様にお勧めするかの一つの要素として、そのワインを造った人がどんな人かということを良く見るようにしています。
よく、育てたペットが飼い主に似ると言いますが、ぶどうも同じような気がします。
この人が育てたぶどうからできたワインの味はこうなるんだなと納得できるのです。そしてそれをお客様に伝えなければなりません。
大手メーカーはたくさんの人が関わって作っているのでそういう背景は見えにくいのも事実です。それが悪いというわけではないですが、こういう仕事をやっていくうえで伝えるべきものがはっきりしているということが大事だと思えるのです。
商品の購入を心に決めるポイントとはなんでしょうか?商品がもつ魅力、購入したいという思い、日用品などそれがないと生活に支障をきたす恐れがある、価格のバランスにおいてお買い得感のあるもの、などが動機付けのポイントとなります。

ワインにおいてはどうでしょうか?
アルコール飲料が飲めない、ワインの魅力が良く分からない、ワインを飲まなくても生活には困らない、ワインは高そう、など、上記で述べた購入決定となる要素からはかなり乖離した立ち位置のイメージを持つ方々が日本にはまだまだ多いかもしれません。

私たちの取り組みとして、その立ち位置とは逆の位置づけのワインをチョイスすれば、日常の中で親しまれるようになるのではないかと考えています。
それでは検証していきます。

アルコールが飲めない。>年齢をクリアしてからの飲用や生まれつきの体質という条件はどうしようもありませんが、最初にワインを味わった時のイメージが嗜好に合わなかったということを覆せる可能性はあります。
ワインの味わいというのは日々変化してきています。当該ヴィンテージの天候状況はもちろんのこと、世界に拡大しているワインマーケットを検証したブレンド、料理のインターナショナル化など、飲み手、および彼らの嗜好が変化している中で様々な食のシーンも変わりつつあります。その中でワインという存在がたえず変化しながらもテーブルに常にグラスが置かれることは人類が発酵食品、ワインを生み出して以来、連綿と受け継がれています。
つまり、時代の流れを越えてその存在があるわけです。

ワインの魅力が良く分からない>これは私たちの企業努力がまだまだ足りないせいでもあります。最初にワインを日本の食卓に導入して以来、何度かのワインブームを経ていますが、様々な食材との組み合わせや、グラスを傾けるシーンがこれまでは比較的偏った部分で消費者イメージがついているような感じがします。
ワインの味わいというものはワインそのものの味の評価だけではありません。食事でのワインとの相性、そのワイングラスがある空間の問題もあるのです。味わいは舌だけで楽しむものではなく五感をすべて稼働してこその評価になります。

ワインが飲めなくても生活に困らない>これは日本における宗教の問題もあるかもしれませんが、ここでは別の問題提起をします。「ワインが水代わり」というフレーズがありますが、これは飲み手の飲酒の量ではないケースを指していることがあります。筆者は日常生活の食文化に密着しているという意味だと解釈しています。筆者の個人的感覚ですが、水のように体に吸収されるワインがあります。アルコールの残留感がなく、二日酔いもない、完全にアルコール分解され、翌朝スムーズに目が覚める感覚を覚えます。一般的に自然派ワインと言われているものが多いですが、このカテゴリもかなり複雑です。その説明はまた機会を変えて後ほど。

ワインは高そう>価格と味わいのパフォーマンスの関連性は一見あるようですが、正比例しているわけではありません。先ほども説明しましたが、低価格帯のワインの中でも、輸出のために造られたワインではなく、生産地に根差したワインの味わいというものがあります。そのワインは当然、当地の食事に合うように造られているので、そのイメージで造られた食事と試すと、予想外の評価を発揮する場合があります。

このようにこれまで日本で持たれてきたイメージをもう少し変えていけば、日常生活の中にワインが入っていく余地はまだまだあるように思います。
また、そういうワインを紹介していく役割を担っているのが私たちの仕事だと考えております。

ぜひ、日常生活に置いておきたい当ショップのセレクトしたワインを試してみてください。
世界を巡る食材といえば何でしょうか。ワインもそうですが、発酵食品、チーズは代表的です。蜂蜜やお茶もそうですね。蜂蜜や茶は世界中の多くの言語が“M”や“C”(またはT)から始まっています。
そういう言葉の共通性も高い、世界中のどの国の人たちにも受け入れられる味というのがありますが、そのうちの一つに唐辛子があります。今回は唐辛子について考えてみたいと思います。
原産は中南米が原産ですが、15世紀の大航海時代に世界中に広まったと言われています。
唐辛子を利かせた、エスクニック料理のような辛い料理にはなかなかワインが登場する機会がなさそうですが、実はそうでもなかったりします。
イタリア料理、スペイン料理はもちろんのこと、近年は、メキシコ料理や中南米の料理、中華などにも合わせる機会をよく目にします。これらのそれぞれの国でもワイン造りの歴史を見てみると、宗教の影響が多いようです。
気候や料理の特徴にもよりますがエンパナーダやアサードなどに凝縮感のある果実の赤ワインが出てくる機会が多かった経験があります。しかしながら唐辛子の利いた肉料理には白やスパークリングがおすすめです。
肉の脂を和らげる、後口の爽やかな赤唐辛子にはスパークリングで、万願寺とうがらしなど青唐辛子の青っぽさにはソーヴィニョン種、アルバリーニョ種やリースリング種などで爽やかにリフレッシュする役割を果たしてくれるアイテムが良いかもしれません。
中華も唐辛子といえば四川料理です。これまでの中華とワインの組み合わせはスタイルがフランス料理に似ている広東料理が一般的でした。
中国南部の暑い地域で辛い料理を食べて冷たいスパークリングや白でリフレッシュ。

これまでワインの登場することのなかった食卓でも、世界が小さくなり、様々な食材が入ってくるようになった日本の食卓は国を超えたインターナショナルな組み合わせを試すことができる貴重な国と言えます。
今回紹介したのは筆者の主観的意見で、組み合わせのパターンもほんの一握りに過ぎませんがこれからまだまだ新しい発見があったら紹介していきたいと思います。

おすすめのワイン
イタリア
ラ カップチーナ ソアヴェ (白)
パクラヴァン パピ マルヴァジア IGT トスカーナ (白)
カラヴァリオ インファタータ IGT サリーナ (白)
http://aquavitae.ocnk.net/product-list/14

スペイン
ホセ エステベス カヴァ レジェンダ ドライ (白・泡)
ダーマ カヴァ ブリュット (白・泡)
アバニコ ディルヴィオ アルバリーニョ  (白)
ビスカイバルネ ビスカイコ チャコリーナ オチャンデュリ (白)
イチャスメンディ エクリプセ (赤)
http://aquavitae.ocnk.net/product-list/38

よろしくお願いいたします。
ルーマニア、モルドヴァのワインボトルを日本で目にすることはそれほどないという人が多いかもしれません。
しかし、意外なところで口にしているかもしれません。今ではだいぶ少なくなったようですが、以前は国産ワインのラベルでも中身はルーマニア、モルドヴァからバルク輸入して瓶詰していたのです。
日本のワイン製法の法整備がそれを可能にさせていたのですが、現在は山梨でも原産地統制呼称が設定されるなど、栽培地の表示について明確にされるようになりました。

ルーマニアとモルドヴァをあえて一緒に書いているのですが、これは単に行政上の区分ではなく、民族、言語、歴史はほぼ同じとしてひとくくりにしています。
この地域のぶどう造りは歴史も古く、19世紀後半ではフランスでもそのレベルや価値が認められ流行したようです。しかし、16世紀にはオスマントルコの侵略により、300年間程度、ワイン造りが禁止されました。そして、19世紀初頭、帝政ロシアの一部となり、コーカサス品種の植え替え、その後の東ヨーロッパにとってワインの悲劇ともいえる社会主義体制の導入で、そのワイン造りもレベルを追求することなく、ソヴィエト連邦向けの大量生産のバルクワインになり下がってしまいました。
ルーマニアの社会主義体制が崩壊した1989年以降、再び、その価値が認められることになります。
もともとローマ帝国の支配地だったこの地は言葉を聞いてもわかるように首都のブカレストはイタリアに近い感覚を覚えます。

当ショップに入荷しているワイン、md-cdr-0001 シャトー アスコニ メルロ (赤)はその隣のモルドヴァで造られています。
筆者はこのワインを試飲して、ルーマニアワインと違う味わいだと思いました。ルーマニアと逆側に国境を接しているウクライナの黒土の土壌が味わいに反映していると思われます。ここはもともと、「ヨーロッパのパン籠」と言われるほどの穀倉地帯で作物がよく育つ豊かな土地です。そのためか、よくこの地域のテロワール(地味)を反映していると感じられます。また、このワインは首都キシニョウのある中部、コドル地方で造られるため、ワインが多く造られる南部、海の近くの温暖な気候で造られる果実味あふれるワインとはタイプが違い、タンニンや酸とのバランスもいいと思います。ややタンニンのストラクチャ(骨組み)がしっかりしていますが、これは地元の料理、特に羊などの肉料理とのバランスの良さを考えられているようなイメージを受けました。価格もお求めやすく、しっかりした味わいを持つ肉に合わせるにはお勧めの一本です。
味の要素が複雑に絡んでいることを感じたことにより、この地域のレベルアップを感じるとともにこれからの可能性も期待させるワインです。この地方のワインはデイリーワインの位置づけとして注目したいエリアです。
よろしくお願いいたします。
以前から、顕著な変化、革新が見られる南アフリカワインですが、日常の食卓で食べ合わせる機会を作りました。

sa-cdb-0001 セダーバーグ デリウク・ソーヴィニヨン・ブラン 2013 (白)
sa-frs-0001 オート カブリエール アンウッデッド ピノノワール 2014 (赤)

白ワイン、ソーヴィニョンブラン種のほうは、抜栓直後は若干の還元香があり、ビオワインの雰囲気を漂わせていましたが、香り、味わいもやはり、やさしい果実味を感じさせ、体にすっと入っていく感覚を覚えました。

赤のピノノワール種ですが色調は太陽がしっかり当たったような、濃いルビー色でしたが、果実味は穏やか、後味にややミネラルやスパイスを感じました。全体的な印象はとてもエレガント。ブラインドテイスティングすると高級ブルゴーニュを思わせるたたずまいがあります。

普通に和食にも良く合います。赤は醤油味やだしとの相性も良く、飲み飽きない感じでした。
スクリューキャップで数日間はパフォーマンスが落ちることはありませんでした。

筆者の探したいワインのイメージに近いタイプでデイリーにも使えるお買い得ワインでした。南アフリカの可能性を感じる食事でした。
ぜひお試しください。

よろしくお願いいたします。
11月になり、寒さも深まってきて、ワインと料理の組み合わせの美味しい季節になってきました。
昨日のマルシェ出店時にたくさんの方々とお話ができました。
その時にお伺いしたのは魚には白ワインがいいの?という質問でした。

確かに世間でよく聞くのは肉には赤ワイン、魚には白ワインと言われますね。
魚と言っても色々な味わいのものがありますし、その魚料理の調理法やそれに合わせるソースなどのバランスによりますね。
ワインのほうも赤や白といっても軽いタイプから重いタイプと様々です。

昨日のマルシェで販売していたのはツナといわしです。
いわしをはじめとする青魚は鉄分を感じますがこの鉄分には白の果実味がしっかりしたタイプか、赤の軽いタイプに相性の良さを発揮します。
ツナはフィレと塩味はさっぱりしていますが、オリーブオイルで味の厚みが出ていますのでこちらは白でも厚みのある味わいのタイプがおすすめです。

魚独特の香りをワインによって一度クリアにしたい場合にも有効だと思われます。

肉でも白身(鶏のささみなど)は白ワインとの相性がいいように、魚の赤身や血合いには赤ワインの果実味やタンニンが思わぬ相性を示してくれることがあります。

ではどんな赤ワインが基準になるでしょうか。
筆者の体験や考えでは、地中海沿岸の南フランス、南イタリア、スペイン西部、ポルトガルのワインがおすすめです。
フルボディではないが、太陽が沢山あたって完熟したぶどうで造られたワイン、海沿いなので当然そこで取れる魚料理との相性も考えたブレンドになっています。
そして、トマトが料理のダシの役割をしている料理も多いので、酸との相性もいいでしょう。

ここに挙げた例はほんの一例です、それぞれの嗜好で最高の相性を発揮できる組み合わせはまだまだたくさんあります。ぜひ、お試しください。

よろしくお願いいたします。

P.S.昨日、11月1日恵比寿マルシェ出店いたしました。
たくさんの方にご来場、応援のメッセージまで頂きました。筆者は力を沢山頂きました。
これからもたくさんおいしいものを紹介していきますのでよろしくお願いいたします。この場を借りてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
イタリアの東となりにスロヴェニアという小さな国があります。日本での認知度は非常に低いのですが、この国はなかなか注目の国であると思います。
スロヴェニアはもともとユーゴスラビア連邦の一部を成しており、1991年のソヴィエト崩壊と同時にユーゴから離脱、連邦解消を行いました。GDPは連邦の中で最も高く、共産圏の中で2007年に最も早くEUに参加しています。
過去様々な国に支配されながら忍耐強く、自国の文化を守りました。特にウィンタースポーツ、ウォータースポーツ、登山、耐久性が要求されるエンデュランススポーツが強いことでこの国の国民性が伝わります。

話をワインのほうに移すと、この国のワインは大きく分けて、西のワインと東のワインに分かれます。
西のワインは地形的にもわかると思いますが、イタリアの影響を受けた地域で品種、嗜好はイタリアワインに似ています。ノヴァ・ゴリッツァあたりでは育てたぶどうをイタリアに売り、そのままイタリアワインとしてリリースしていた時期もあります。
一方東のワインはマリボル、プトゥイなどで造られていますが、ここまで来るとイタリアワインの影響はなく、ドイツの影響を感じます。ブラウフレンキッシュ、リースリング、トラミナー、ピノノワールなどの外来品種が多かったのですが、古典的な造りを感じました。
ノンフィルターのせいか、ぶどうそのものをかじっているような錯覚に襲われる味だったともいえます。ピュアなぶどうの味しかしなかったので造ってる人もまじめなんだろうなと思いました。また、ここに戻ってきたいと思いつつ、帰国しました。

日本でもこういうワインを扱いたいなあ、と思って帰国後、探してみたのですが、なかなか出会うことはありませんでした。日本に入ってきているスロヴェニアワインはプリモルスカのワイン、イタリアンなワインばかりでした。
地元での試飲の時に聞いてみると、「ここらあたりの生産者はみな小さいところばかりだから国外に売る生産者はいないよ。」なんてことを言われたのでしょうがないか、とも思っていました。
機会があれば自分で輸入してみたいと思いますが、それは当分先の話でしょう。

スロヴェニアではありませんでしたがクロアチアの内陸部、ハンガリーとの国境付近、スラヴォニアのワインがそれに近いイメージでしたので在庫しています。

イロチュキ ポドゥルミ グラシェヴィーナ セレクテッド(白)
イロチュキ ポドゥルミ トラミナツ セレクテッド(白)
イロチュキ ポドゥルミ グラシェヴィーナ プレミアム(白)
イロチュキ ポドゥルミ カピストラン ツルニ セレクテッド(赤)
ぜひ、お試しください。

よろしくお願いいたします。
日本にはイタリアレストラン、イタリアワイン、イタリア食材などなどイタリアを肩書きにした商売がたくさんあります。
でも、具体的にイタリアのイメージって何でしょう。古代ローマとかラテンとか芸術とかグルメとか歴史の長い地域ですからいろんなものが想像できますね。

でも、今ある「イタリア」すなわち、イタリア共和国は1946年、第二次世界大戦が終わって、国民投票で共和制に移行し、まだ69年しかたっていない、世界史の中では比較的新しい国なのです。

そして、国として成熟しているかどうかといわれると、個人の感想ではそうとは言えないような気がします。ましてや州単位で文化も違うし言葉もちょっと違うように聞こえますね。イタリア語は、トスカーナ方言を基礎として標準語が作られたのですから、長靴の国の先では全く違う言葉が使われていても不思議ではないですね。

ワインの話でも当然同じことが言えます。各州のパスタの形状が違うように、地元品種も実に様々で中には同じクローンのぶどう品種でも呼び方が変わったり、生産者が違うぶどう品種だと思い込んで育てていたものが実は同じだった、とかよくあることです。
筆者も経験があるのはメルロ種だと紹介された畑の中に、熟すのが遅いぶどうが混じっていて、実は葉の形をよく見てみるとカルメネール種が混植されていたり・・・とか、地元品種がブームになると、それまで植えていたカベルネソーヴィニョン種などの外来品種を引っこ抜いて、知らない間に植え替えられていたり・・・と日本人の発想ではなかなか追いつかないイタリア人のアイデアを垣間見たことがありました。

ということで、実に様々な種類のワインがあり、その中で何を選択するかということが筆者自身の課題にもなっています。
よくお客様にイタリアワインのアイテムがもう少し多ければ・・・とご意見を賜ることがありますが、全州、全種類の品種をそろえることは小社では今のところ、ちょっと難しいと思われます。
それよりも、お客様の嗜好や、マーケット、イタリアの食材などを見極めて、選択していかなければ収拾がつかなくなってしまいます。

品種などの独自性を追求するか、日本人のなじみのある、見るだけで安心できるアイテムを選ぶか、ここは対局に位置する部分であるかと思われます。
そんな中で独自の品種でも自身で試飲を重ね、価格もお手頃で日本の食卓のどのシーンにそのワインが入っていけるかをイメージできたものからピックアップしていこうと思っております。

ですから、いまのところ、ワインリストには地域的に偏りもあります。足りない品種もあります。
自身の経験からこれはオリジナリティがある!と思って紹介しても、お客様の心に届かなければ誇りもかぶってしまうワインも過去にはありました。大事なのは勧める側と勧められる側に共通するビジョンがないとダメかと実感しております。
少しずつバラエティは広げていく予定ですが、その過程には慎重になっております。
逆にお客様からの問い合わせやリクエストがあればリストにない商品も取り寄せもできますし、今後の選択基準にも自身にとって良いヒントになるでしょう。
そんなご意見をお待ちしております。
ワインを選ぶ基準のひとつとして、産地や畑の格付けなどをチェックされる方も多いと思います。
特級畑、一級畑、AOC、DOCG、などなど。
素朴な疑問として、特級畑の隣の畑で何の格付けもない畑というのも良くみられるのですが、畝を挟んで向こう側とこちら側何が違うのでしょうか?
ぶどう造りというのは天、地、人、全ての自然の要素が関わってくるものです。
天、地、すなわち気候、地形、地質のことですが、大気、天候、地形、地質については連続性のある一連の流れがあります。しかしそれぞれが相関し、変化しています。

天候は地形によって変わります。大気が山にぶつかり雨を降らせ、山を越えると乾燥した空気を流します。川や海を越えると湿潤になります。
大気は常に変化し、特級畑でも悲観的な天候をもたらし、格付けなしの畑でも素晴らしい天候をもたらすこともあります。近年の急激な天候不順でよく見られるようになりました。

これまでぶどう造りの北限とされていたところを越えてぶどうが造られることもみるようになりました。ベネルクスや北欧でも実際にワイン造りが始まっています。

地質はプレート移動などの地震で断層などが発生することもありますが地層や地質は連続しています。
特級畑の隣の格付けなしの畑でも実はポテンシャルを持っている畑はずいぶんとあるものです。
例えば、ボルドーには格付けシャトーというものが存在しますが、コート・ド・ボルドーなど格付けなしの家族経営の小シャトーの中に注目すべきワインもあります。
ほかにもブルゴーニュにはモンラッシェ村の隣にサントーバン村があり、ここの白ワインはシャサーニュモンラッシェに隣接し、いくつかの一級畑があるものの味わい的にはピュリニ・モンラッシェにも勝るとも劣らない。以前は価格も安く、コストパフォーマンスが良く、筆者も「隠れピュリニ・モンラッシェ」などど名付けておすすめしたものですが、今ではすっかり価格が高くなり、もはや日常楽しむワインではなくなってしまいました。

人による影響もずいぶんあります。
造る人の情熱やビジネスの背景によって、造られるワインにもずいぶんと違いが見られます。ある畑では無農薬で畑の手入れも行き届いている区画があっても、その隣で農薬をまき散らかしていれば、ビオディナミの畑でも意味のないものになっていることもあります。
こうしてみると人のつながりも大気や地質と同様に連続性のあるものだと感じます。
ここに著したことはほんの一例で多種多様な連続性によって様々な影響があるので、その本質を見るには実際に行ってみて、そこで人と話してみてみないと見えないものがあります。
筆者自身も多少その経験があるので、飲み手にフィードバックして、あまり聞かない原産地だが良い環境で育てられたワインをご紹介していきたいと思います。
日本人に最もなじみのあるワインはフランス産のワインでしょうか。
フランスは行政上一つの国となっておりますが、実際に地方に行ってみると同じ国の中でも違う国に来たような錯覚にとらわれる時があります。

フランスの文化圏、言葉でいうと大きく分けてラングデュイユとラングドックという二つの言語圏が南北に分かれています。
しかし、フランス国家は歴史的に早い段階で、言語政策をまとめてきた国ですからもちろんどこに行っても標準フランス語が普通に通じます。
人間の文化というのはモザイクのようですから簡単に意思疎通の方法が統一できるわけもなく、そんなフランスでもいろいろな言葉が見られます。
周りの国の影響もありますからベルギー、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスとの中間的な言葉も存在するわけです。

ワインと食文化も同じことが言えると思います。ぶどうを醸造して、熟成段階前のブレンドの段階で生産者と醸造責任者が味を決定するわけですが、その地方に暮らす人々の食生活の嗜好に合うワインの味にすることは想像に難くないと思います。各地方に様々なスタイルのワインが存在します。
また、大きなメーカーですと、インターナショナルなマーケットを見据えて、万人受けする味わいにするでしょう。

そんな中、今、筆者が注目しているのは南フランスのラングドックです。
南フランスはボルドー、ブルゴーニュと違ってフラッグシップとなるべき生産地、生産者がまだ見当たらないような気がします。
ボルドーならポーイヤック、マルゴー、グラーヴ、サンテミリオン、ブルゴーニュなら、シャンベルタン、モンラッシェなどの格付けがあります。
南フランスはグランヴァンの格付けもなく、広大な土地のせいか、まだまだ日本のマーケットにとって未開の地域といえるのではないでしょうか。

同じ南フランスでも東部のコート デュ ローヌ地方ですが、90年代~2000年代初頭のローヌはボルドー、ブルゴーニュを凌駕する生産者、AOCが台頭していましたが、その後AOCを拡張したせいか、近年の天候不順のせいか、そのレベルの落ち込みぶりは残念でなりません。ブラインドテイスティングしてもAOCの特性がはっきり見られない、すぐに香りや味が開いて、どの国の飲み手に尻尾を振るかわいい子犬のようです。これはあくまでも個人の感想です。

西部のラングドックでも、同様にフラッグシップと言える地域はまだないような意識ですが、フィトーやコルビエールなど歴史、優良な環境、土壌を持ちながら、日本ではまだまだ認知度が低いと言えるかもしれません。ラングドックで有数のメーカー、ジェラール・ベルトラン氏が日本でプロモーションをやった時もその点では苦労していたように見えました。
彼は元ラグビー選手でしたので親近感もあり、応援もしたのですが、その後、成果は出たかどうか。

逆説的にとらえると、南フランスのワインは認知度の低い、リーズナブルなワインの中にグランヴァンのポテンシャルを兼ね備えたワインがたくさんあるということです。

当店ではそんなモザイクのように入り混じったワインの中で、これはと思う探し当てたワインをそろえています。

http://aquavitae.ocnk.net/product-list/15

ぜひお試しください。
スペインは世界最大のぶどうの作付面積を誇っています。2015年の統計データでは2位が中国だということも意外でしたが。
話を元に戻して、そんなスペインなので生活の位置づけの中にも深くワインが関わるという想像は難くないかもしれません。
しかし、意外にワインの価値が認められ、生活に根差したのはそんなに昔の話ではないような気がします。
確かに、ぶどうの栽培が始まったのは、紀元前1100年頃に、フェニキア人、カルタゴ人古代ギリシャ人がワインをもたらしたとされています。
中世になってイベリア半島がイスラム勢力に支配されると一応、飲酒が禁止され、レコンキスタを待ちました。その後もワイン造りは再開されるも、イングランド輸出のために造られていたので、品質もイングランド人の嗜好に合ったものが造られていたでしょう。
そのころのワインはへレス、マラガワインやモンティージャのような甘口、酒精強化ワインが主流でしたから、今のスティルワインとも味わいも少し違ったものだったでしょう。
19世紀にはヨーロッパはぶどうの病気が蔓延したころにフランスへの輸出がメインになります。当然スタイルはフランスの、特にボルドースタイルに似た味わいのワインが作りだされました。ラ リオハのワインなどがそれに似たスタイルでしたがボルドーの醸造方法を伝えたというわけではなく、その製法はリオハの伝統スタイルといえるものでした。
19世紀後半~20世紀には産地偽装やフランコ体制でのスペイン内戦などでワイン造りにとっては厳しい冬の時代が続きます。
1975年のフランコ体制が終わり、民主化されてからようやくワインが根付き始めた実感が出来てきます。
ワインの価値についても同様に、19世紀後半に流行したフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)の流行以降、接ぎ木をすることによって回復しましたが、そのフィロキセラ禍を逃れた高樹齢のぶどうの樹が多く存在することの認識すらなかったようですので、生活、ビジネスにワインが密着したのは1990年代後半からだろうという実感があります。
ビジネスの才覚があるカタルーニャ人たちがプリオラート、ペネデスでスーパースパニッシュを作りだし、ピエ・フランコ(接ぎ木なしのぶどうの樹)のバリューを世にアピールしました。しかし、私たち一般市民にはとても普段飲めない高額なワインになっています。
一方、筆者自身の経験でもありますが、普通の市民がバルで飲みに行くと安いが、水に色がついたようなワインを飲んではしごするといった感覚でした。
近年では若い生産者たちの努力により、その差がだんだん埋まりつつあり、安くともコストパフォーマンスの良いワインが見られるようになり、地元品種のアピールなど地方の特性も出てきました。
そんなアイテムを当店では探し続けていきます。

おすすめワインは
http://aquavitae.ocnk.net/product-list/38
ポルトガルの文化は日本にとって近いようで遠く、遠いようで近い。
歴史的にみると、1543年にポルトガル人が種子島に漂着して以来、日本が西洋に触れて460年以上立っています。
その後、様々な西洋文化が日本にもたらされたことは日本人ならほとんどは知っていると思われます。しかし、パン、コップ、ボタン、タバコ、シャボン、こんぺいとう、カステラなどの言葉がポルトガル由来であることを知っている日本人は多くはないかもしれません。
人間は身近にありすぎるとその存在感を忘れることがありますが、ポルトガルはその後、オランダ、イギリス、フランス、アメリカなどに西洋文化の交流の主役を奪われ、大航海時代から衰退の一途をたどります。

ワインについてもポルトガルの代表的アイテム、ポルト、マデイラが西洋の食文化の変遷の中でその存在が消えつつあります。食事の後は、チーズ、デザートと酒精強化ワインと葉巻がソムリエさんによってカートで運ばれてくるシーンは日本でも見る機会が減りました。

本国、ポルトガルでもポルト、マデイラといった酒精強化ワインからスティルワインへの路線変更を余儀なくされ、辛口ワインの出荷がメジャーになりつつあります。
その流れを受けて、これまでぶどうの生産がメジャーでなかった地域でもワインが作られ、ポルトガルは新しい文化の流れを見ることができます。
首都リスボンから南部ではこれまでワイン造りをメジャーにした生産者さん、農家さんを見ることが少なかった。オリーヴオイルとコルクガシ、花崗岩でできた山での鉱山産業を見るくらいだったが近年、ワイン産業、観光産業が台頭しているようです。

そして、葡萄農家さんを見ると、1980年頃の小麦からぶどうへの転換が見られ、ワイン産業が近代化されました。新産業の先端を行っているかと思いきやそういうわけでもありません。アンタン・ヴァズ、アリント、ペルム、リシア、アラゴネス、カステラン、トリンカデイラといった聞いたこともない地元品種が主力となっています。
その味わいは広大なアレンテージョですから様々ですが、太陽がさんさんとあたっていて完熟したぶどうは山のミネラル分を吸収して、しっかりした味の骨格を形成しているのでしまりのある味わいです。山の向こうの国境の反対側、スペインの名産でもあるハモン・イベリコが山のこちら側、つまりポルトガルでも名産品となっています。割とよく聞かれたのはポルトガルでは100%どんぐりしか食べさせてないということですがこの信ぴょう性はよくわかりません。
この、なめらかで濃厚な生ハムに寄り添うのがアレンテージョのワインで、すっきり飲めるのが日本人の嗜好にも受け入れられるだろうと思われました。
現代の日本ではポルトガルの存在がやや薄くなった感、身近ではなくなった感はありますが、遠くとも嗜好や感覚が相通じると思わせる瞬間があります。

そんな感覚をぜひ試してみてください。
pt-ale-0001-ntr モンテ ダ ペーニャ モンテ ダ ペーニャ レセルヴァ ホワイト 2012(白)
pt-ale-0002-ntr モンテ ダ ペーニャ モンテフィーノ レッド 2008(赤)
pt-ale-0003-ntr モンテ ダ ペーニャ モンテフィーノ レゼルヴァ 2005(赤)
pt-ale-0004-ntr モンテ ダ ペーニャ レゼルヴァ レッド 2003(赤)

よろしくお願いいたします。
最近のニュースで注目していることがあります。イランの核開発問題でイランと国連安全保障理事会常任理事国(米英仏中露)にドイツを加えた6カ国が7月にウィーンで最終合意した「包括的共同行動計画」が発効されるということです。
これに伴い、今年末から2016年1月にかけてイランの経済制裁が解除されます。
そうなると人、モノ、お金が動き出し、経済活動が活発化します。話を聞いてみるとそれまで日用品はほとんど国産ばかりでイラン国内の在住者は外国製品の購買意欲があふれているようです。

ワインについては一見関係がないような気がします、イランはイスラムの国、イスラムではお酒は禁忌なものですからワインとも関係ないように思えます。実際にイラン国内でも飲酒しているシーンはほとんど見ることはできないでしょう。

イランはワインの起源の一つだともいわれています。
イラン北部で紀元前4000~5000年の居住跡からワイン醸造の形跡が発見されています。ぶどうについても野生種が黒海、カスピ海周辺、チグリス、ユーフラテス川上流地域で自生していることから、その起源のだという説の一つとして有力な説と言われています。
ワインの国際品種、シラー(ズ)種はイラン中部の大都市、シーラーズが起源と言われ、いまも生産されているようです。イラン革命以降はワインを飲むことはできなくなったようですが、シラー種のもつスパイシーな味わいはケバブなどイランの料理にも良く合いそうです。
また、イランの有名な四行詩、オマル・ハイヤームのルバーイヤートにもワインについての記述が沢山見られます。
ワインの起源をたどると、イランの料理にワインの組み合わせの新しい発見があるかもしれません。
また、当ショップの国産ワイン、丸藤葡萄酒工業さんの取り扱いアイテムにもルバイヤートシリーズがあります。
日本との交流が進み、イラン、ペルシアの食文化の融合が進んでいけば新しいアイデアが出てくることに期待しています。
イタリア文化会館主催、第2回「フォスコ・マライーニ賞」受賞セレモニーにご招待する機会を頂きました。http://www.iictokyo.esteri.it/IIC_Tokyo

1930年代に来日、日本人の生活から見える自身の視点から日本文化を独自の学問を確立させたフォスコ・マライーニ氏を冠にした賞です。対照的に審査されるのは日本語でイタリア文化の研究を発表した作品に贈られます。

今回の受賞作品は東京大学教授、池上俊一先生著作、「公共善の彼方に―後期中世シエナの社会」http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0765-8.html
が受賞されました。

この受賞セレモニーはフォスコ・マライーニ氏のお孫さんがおじいちゃんの思い出を語ったり、終戦直後の日本で研究を続けるビデオを上映されたりと興味深い内容でした。

この日一番印象に残ったのは、池上教授のスピーチです。
池上教授は西洋中世史がご専門で、この本を20年かけて完成されたそうです。
当時はパリに滞在していたそうですが、休暇を利用してイタリア、トスカーナのシエナに滞在する機会があり、そのたびに環境、生活、周りの人たちの温かさに触れ、その魅力にひきこまれていったとのことでした。

シエナは一度しか訪問経験がありませんが、イタリアはシエナだけではなく町のメインストリート以外にも路地の中に入ると通りにテーブルを並べたオステリアやタベルナが並んでいて、その中に自分のお気に入りとなる料理を見つけることが良くあります。
イタリアは今では一つの国ですが、州ごとにまるで独自の国であるかのようにその地方特有のチーズ、サラミ、パスタ、主菜が存在します。
店主も肩ひじ張らずリラックスで話しかけてくれるので緊張感なく、ちょっと傾いたテーブルでのんびりと食事をした記憶があります。
食材も限られたものしかないことが多いが、店主が自信をもってとっておきの食材をすすめてくれるから、はずれがないことが多かった。
やはり、こういうところでごはんを食べる一番の動機となるのはテーブルを中心とした空間や空気が大事なんだと思わせてくれて、まさしく池上教授のお言葉の「シエナに惚れてしまって…」という言葉に頷いてしまいました。
もちろん、当店でも扱っているワインもその空間を彩るピースの一つにならなければいけなくて、価格やワイン単体の味の評価だけではなく周りのピースとのつながりが大事だと思っています。

もう一つ、心に残る言葉がありました。
「研究者の言葉をわかりやすい言葉で伝える・・・」
というくだりです。
これは私自身にも言えることです。ワインを取り巻く関連語句は消費する人たちにとってはなじみのない言葉、わからない言葉が案外多いのだと思いました。それを多用することなく、わかりやすい言葉で飲み手の気持ちにうまく伝わる努力を続けなければならないと改めて自身に問わなければいけないと感じさせていただきました。

そういえば、池上教授のスピーチはこの時トークした人の中で一番、出席者の笑いをさそっていたなあ。

店長は関西人だけにもっとトークを磨かないと、と反省した次第です。

この日はいろいろと勉強になることが多い一日でした。

トスカーナを始め、イタリア食材に合うワインもたくさん取り揃えております。
リストにない商品でも、こういう食事とワインを合わせたいなどのお問い合わせは大歓迎です。
よろしくお願いいたします。
最近、気候がだいぶ冬に近づいてきました。寒くなると思いだすことがあります。
筆者はしばらくの間、フランス南西部のラングドック地方、スペイン北東部のカタルーニャ地方に滞在した経験があります。
その時に生活のルーティンとして外国語の勉強をすることにしていました。
フランス語、スペイン語ですが、それ以外に当地にはカタルーニャ語が存在します。
カタルーニャ語はフランス語やスペイン語に似ているかと言われれば、同じラテン語族で日本語よりは似ているということですが、フランス語やスペイン語とは全く別物です。
スペイン語はカステジャーノ、フランス語はオイユともいわれ、カタルーニャ語はオック語で大陸の言葉と結びつくというよりも、地中海周りで話されている地域が多いです。
南フランス地中海沿岸のプロヴァンサル語にも近い言語ですし、遠く離れたイタリアのサルデーニャ島北西部のアルゲーロ市などでもカタルーニャ語は話されています。

そんな三つの言語が複雑に混じり合う土地であたまがごちゃごちゃになりながら、コミュニケーションをとり、なんとなくわかり始めたころ、あるツアーのお手伝いをしました。
そのツアーの通訳は英語を媒体としてコミュニケーションをとろうとしていましたが、パリやリヨンでもあるまいし、こんな片田舎で英語も通じるはずもなかろう、思いつつ、サポートしているとフランス語ができる人助けてというサインが出ました。
これに対してどう応えてあげればいいのか、コミュニケーションはできるけど通訳はできないという理屈は通じるのか。

話すこと、書くこと、通訳、翻訳、は違うものと思っていたからです。

通訳は発信される人が使うボキャブラリをあらかじめ詰め込んで、発せられた言葉を逐次変換していく作業ですから、その方に関わる情報を知る必要があります。そんなボキャブラリもない私でしたがたまたまワイナリーの案内だったので知っている言葉もありましたが、予備知識もなく、前述の3つの言語が混じり合う土地でガイドの知りうる言葉を必死で変換しました。それを気遣ってくれたガイドさんも丁寧に話してくれたのも幸いしましたが、通常は言葉に詰まると、この日の仕事はすべて失敗だ、という表情をされるのがおちです。
通訳サービスの仕事は、お客様を迎えるホスト、ホステスのようなもので99%うまくいっても1%の落ち度ですべてが台無しという、報われないことも多い仕事だと思います。
そして、通訳が終わるとまるで空気のように何事もなかったかのようにその存在は消えてなくなります。
自身の少ない通訳体験ですが、それがおわるといつもぐったりしてしまいます。
テレビで見る同時通訳、逐次通訳の方は本当に尊敬に値する仕事をされていると思います。
ですから、ラングドックでのコミュニケーションフォローはいつも強烈な緊張と印象が残っているのです。
当然、そんな場所で刷り込まれたワインの味わいはいまでも忘れることができません。

ブラックベリーの果実味が後を引く味わいのレベルが日々進化していき、「フランスやスペインのニューワールド」と呼ばれ、フランスでも最も注目すべき地方になっています。

当店ではラングドックやカタルーニャのワインもたくさん扱っております。
ぜひ、お試しください。
よろしくお願いいたします。
ワインと食事との相性について検証しました。
毎日の日本人の食卓にワインボトルが置かれるために、普段飲みワインと普段の食事の相性についていろいろ調べています。今回はクロアチアの白、イロチュキ、トラミナツ、グラシェヴィーナ プレミアム、フランス、カオールの赤、シャトー ポー ド ラングル カオールをテーマにしてみました。

シャトー ポー ド ラングル カオールはフランス、ボルドー南部のカオールで造られるワインでもともとボルドーのデイリー版ワインを目指して造られたワインが多かったのです。品種も以前は色調がほぼ漆黒でタンニンの骨格もしっかりしたタナ種などを中心でしたが、今のカオールはメルロ種、マルベック種とよりなめらかさを追求したスタイルに変わっています。このワインもヴィンテージは2011年ですが、抜栓直後はまだ果実味、アルコール分の揮発もまだまだ若々しく、ほんとうにぴちぴちした魚のようでした。
しかしながら時間の経過とともにタンニンの骨格は崩れることなく、果実味も落ち着いた様相を見せてきました。メルロ種のなめらかさとマルベック種のプルーンのような果実の凝縮感のバランスの良さが分かるようになってきました。

これは日本のデイリーな食卓で言うと赤いお肉との相性が良いと思いますが、醤油や出汁ベースの魚、野菜の煮つけでもイケます。この日は牛肉の切り落としとごぼうを焚いてみましたが煮詰めた醤油ベースのだしに溶け込んだ牛肉の脂が良い相性を見せました。

今度は白ワイン2種類です。
クロアチアのイロチュキ トラミナツとグラシェヴィーナ プレミアムです。
まずは、トラミナツですが、こちらの品種はもともとイタリア、アルトアディジェ地方で育てられたトラミナー種だとのことで、そのイメージで香をチェックしてみました。
確かにトラミナー種の甘っぽい凝縮した果実の香りが漂います。しかし、味わいはトラミナー種よりもより、シャープなミネラルときりっとした酸が目立ちました。トラミナー種はボリュームのある果実味が印象に残る味わいです。しかしトラミナツ種はクロアチアの土地から来るテロワール(地味)の影響が大きくその味わいを支配していると感じます。

グラシェヴィーナ プレミアムはグラシェヴィーナセレクテッドよりも果実が詰まっている印象ですが、やはり、テロワールの味わいがきちんと表現されています。味わいもより高貴な印象ですので大ぶりのグラスで試していただくことをお勧めいたします。

こちらの白は野菜の繊細な味わい、青さや苦味などとも良い相性がありますが、この季節の日本の食卓をイメージすると、さんまやいわしなどの青魚とあわせるのがいいと思いました。白身はもちろん、ワタのほろ苦さにもうまく寄り添います。
ぜひ、お試しください。


よろしくお願いいたします。