店長日記

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先週、梅雨が明けて、夏日が続いています。
こんな暑い日が続くといつも思い出すことがあります。

スペイン、南イタリア、ギリシャなど南ヨーロッパの皮膚が焼けつくような国で、ワインに氷を入れて飲んでいる風景をナポリ、ヴァレンシアなどのレストランやバルでよく目にしました。

日本でワインに氷を入れて飲むことは、香りを楽しむことが大事なワインではタブーとされているような認識を持たれているような方も多いのでは、特にレストランなどでは失礼にあたると思われているようですね。

こう暑いと氷を入れたくなる心情は察するところではあるし、ワインの法則を理解、間違わなければ十分楽しめる方法の一つではあると思います。

その方法について考えてみました。

氷は液体を早く冷やすためには最も有効な方法。

ワインを冷やすとどうなるか?

全体の印象:•フレッシュ感が際立ちます。

香の印象:果実香など第一アロマが際立ちます。空気に触れた後の香り、第二アロマが際立ちます。
※第一アロマとはワイン本来の持つ香りで、抜栓直後に感じられる香り、第二アロマとは抜栓後、空気に触れることによって立ち上がってくる二番目の香り。

甘味:ドライな印象となります。

酸味:よりシャープな印象になります。

苦味、渋み:強く感じられます。

バランス:よりスマートになります。

このような条件を考えると、白も赤も果実味豊かで比較的酸やタンニンの味わいがやや抑えられたようなワインを取り上げるのが良いかもしれません。

そう考えてみると、南部の日照量の豊かなワインがそれに当てはまることが多いと思います。

味わいはカシスやプラムの黒果実のフレッシュさを感じるものがおすすめです。
イタリア、オーストリアから新着ワインがオンリストされています。

むし暑い夜に合いそうなワインを考えました。

ポイントは二つ。

冷涼気候で造られる涼し気な味わいのワイン。

暑いところで造られる、暑い場所の料理に合うワイン。

人の味覚はそれぞれなのでいろいろなパターンを考えますが、それが裏切る意見もたくさん聞かされてまた勉強になります。

ぜひ、新着ワインお試しください。
ニュージーランドから初めて弊社のオンリストワインが入荷します。

nz-mar-0001 ダッシュウッド マールボロ ピノノワール 2014

ニュージーランドワインがオンリストされてなかったのは店長がニュージーランドワインについて嫌悪感があるというわけではありませんでした。

むしろ、ニュージーランド人の友人もたくさんいるし、滞在経験も豊富にあるので、いろいろ知り過ぎて慎重にアイテムを選定したということです。

ではなぜ慎重になっていたかというと、弊社のワインテーマは歴史ある土地から当地の食文化を感じ、消費者である日本人の嗜好にも合う、共感できる味わいのワインを探すという見地から見ると、いまのニュージーランド事情を照らし合せてみると消費者感覚にうまくマッチしていない気がしました。

ニュージーランド国内の主な生産地といえば、北島ならオークランド周辺、南東部のホークスベイ、南島の北部ネルソン、マールボロ、中部のカンタベリー、南部のオタゴあたりでしょうか。

オークランド周辺は亜熱帯でしっかりしたカベルネソーヴィニョン種ボルドータイプのワインが生産されます。
ホークスベイはやや冷涼で様々な国際品種の赤のメルロ種、シラー種や白のシャルドネ種、ソーヴィニョンブラン種などのヴァラエタルワインが生産されています。
ネルソンはしっかりした白、特にシャルドネ種が秀逸、マールボロは年間積算日照量が突出していてソーヴィニョンブラン種、ピノノワール種が注目されています。カンタベリーはこの国で唯一かもしれない豊富な石灰質土壌がぶどう造りにすばらしい影響を与えます。そこで造られるリースリング種が注目。南部オタゴでは世界が注目するピノノワール種を造っています。

歴史的にはヨーロッパに比べてまだ短いとはいえ、優秀な栽培家や醸造家、マスターオブワイン有資格者、優秀なソムリエも輩出し、その実力はどんどん上がってきています。

現状、ニュージーランドワインは国内消費用に出荷されるワインあまり多くなく、ほとんどが海外輸出用に造られるため、その味わいやブレンドも海外のマーケットをにらんだ味わいになっています。
ではどこをターゲットにしているかというと、まずはオーストラリア。オーストラリア国内では比較的エレガントな酸をもつソーヴィニョンブラン種が生産しにくいというところの需要からまず生産量が増えたのはソーヴィニョンブラン種、シャルドネ種などの白ワイン。
当然、ぶどう畑もそれに見合った場所が選択されるわけです。

それを追いかけるようにして赤ワインが造られます。白と同様にエレガントな酸の赤といえばまずピノノワール種。

しかし、ニュージーランドの地形、気候を考えるとピノノワールを造ることは大変な努力があったようです。

ニュージーランドは日本と同じで火山島です。日本列島の地形と同様に南北に延びる地形に屋根を付けたような山脈が延びています。

この屋根のような山脈の西側に雲がぶつかり、雨が当たる、そのあと空気が山を越えて乾いた風が東側を抜けるという流れになっているのでオークランド以外の主要ワイン生産地域のある東側は意外に晴天が続きます。特にマールボロやホークスベイは日中の日差しがとても強く、夏に普通に歩いていると日焼けが激しく、やけどのようになるくらいです。
これは南部の山に囲まれたセントラルオタゴでも同様の気候が見られます。

そんな中で造られたピノノワールは南極に隣接した冷涼気候とはいえ、完熟したぶどうを作り出すことになります。

そして、今回の新入荷のワインの生産地、マールボロ地方にフォーカスしてみると、ぶどう生産地帯の真ん中を川が流れ、その両側の河岸段丘を形成している平らな土地にぶどう畑が広がります。河口に近いほど、平均気温も上がり、完熟したぶどうが造られる状況です。

マールボロのワインは比較的、力強いキャラクタでヨーロッパの同じ品種と比較するとしっかりしたイメージでした。

しかしながら、このダッシュウッドワイナリーは川の上流の比較的、標高の高い場所で造られ、過熟を抑えたぶどうが造られています。
日本人の嗜好にも合うと思います。

しかも、お買い求めやすい価格設定で、カジュアルに楽しめる位置づけとしてこのニュージーランドワインを今回取り上げることにしました。
最後に余談となりますが、歴史のある食文化のあるワインといいながら、ニュージーランドにいてひとつ気になったことがあります。

ニュージーランドといえば先住民のマオリ族の存在があります。友人など何度か食事をする機会があり、その時にいつもワインを勧めていたのです。
しかし、誰もワインを飲まず、ビールやハードリカーを頼んでいたのですが、果たして、これはたまたまなのか?、マオリ全体としてワインをたしなむ習慣がないのか?
思い切って、友人たちに訊いてみたのですが明確な回答は出ずじまいでした。ぶどうはヨーロッパ移民が持ち込んだものでマオリとは接点がないのは理解できますが。
どなたか、マオリのお知り合いがいれば訊いてみてもらえませんか?

こんな暑い時期にボルドーワインについて話すことは気持ちがはばかりますが、秋に向けての準備としてボルドーワインを再考してみました。

ボルドーワインは値上がりをどんどん続け、特一級以下、格付けワインはもはや、普通の食卓やレストランのテーブルに上がるには厳しい価格設定になっています。

特にプリムール(ボルドー地方で行われる、樽熟成中のワインを先行販売するこの地方独自の販売システム)での価格設定はどのシャトーでも強気で、まるでバブル時期の株価のチャートをみているようで、右肩上がりです。去年あたりから少し上げ幅は落ち着いたとはいえ、中国やBRICSなど世界のどこかの地域でバブルが発生し、富の象徴の一つとしてワインの購入を考える人たちの購入がそのバックグラウンドにあります。あるボルドーワインをテーマにした映画を見ると、中国人にとっては、「ワインの赤色」が縁起物であることも言及していました。

そんな高価格の食材をそもそも楽しむこととはどういうことなのか、ラベルだけをみてステータスを感じるくらいなら良いのですが、実際に抜栓して、試してみると自分の嗜好の味でもないということが中国でもよくあるようです。

パリの古いアパルトマンには必ず地下に駐車場とワインセラーが備え付けられていたものです。以前、そんなファミリーにご招待を受けたときに、食卓に普通にシャトーマルゴーやシャトーラフィットロートシルトが置いてあったのには驚きました。

ホストであるファミリーが言うには、「これらのワインはおじいさんが安く買ってきたものを保管してあったものだし、僕らにとってはタダだから。それよりもこうして友達が集まってきて、みんなで楽しみを共有できる機会があることのほうが大切なんだよ。」
と、言ってくれた時にはさらに感銘を受けたものです。

ホスピタリティというのはお金に換算することはできないと思っています。
招いた側の気持ちが伝わることが大事だとおもいますが、ホスト側にとっても、では何を提供すればいいのかというところが悩みの種であると思います。

いろいろなお客様の意見を聞くと、やはり今でもボルドーワインというのはちょっとした贅沢な時間を共有するために提供するにはよいアイテムではあるようです。

そこで価格に見合った味わいを探すことができれば、経済的負担も少なく、ゲストにも喜んでいただけるのではないでしょうか。

ボルドーワインを探す一つの目安にシャトー格付けやAOC(原産地統制呼称)などがありますが、いかんせんボルドーは広い大地で大量にワインを生産している場所ですので、その中から自分に合った一本を探すのはさぞ大変な作業であると思います。

筆者自身の判断基準はほかの地域のワインでも書いたのですが、「人」だと思っています。

特一級の五大シャトークラスでも2006~2007年にかけて生産のスタイルが変わったと試飲を通じて感じさせられました。

というのは、それまでのスタイルは長期熟成を感じさせるカタいタンニンや酸などの骨格を感じることができたのに対して、それらのワインは抜栓直後からブーケやフルーツの香りがふんだんに飛び出してきて驚きました。

もちろん、生産者の事情を顧みると、どんどん売れるワインに対して、飲み頃を待たないで、ストックさせているヴィンテージを前倒しして出荷せざるを得ないことがあったと思います。
それらの考え方はシャトーそれぞれに独自のポリシーを持っておられるようですが需要に対して供給が追い付かないのが現状です。

前述のプリムールでも、もはやその大義名分を果たせてないと感じたシャトーは参加を取りやめているところや、大量生産に見切りをつけて、目の届く範囲内での小規模生産、有機農法、ビオディナミ農法に切り替えるところがどんどん出てきています。

鉄板で簡単に状況が変わりそうにないシャトー群のあるボルドーでさえ、少しずつ新しい動きが見てとれるのです。

結局のところ、批評家や私たちのような消費者は思い思いのことを自由に発言していますが、生産者の方々の大変な苦労があって、食卓まで上がっていることを念頭に置いていることを前提にその考えが伝わればいいと思っています。

ワインを選ぶときに何を試すか悩んでおられる方も多いと聞きます。

その決定をするために消費される方々は様々な手段を使って情報を入手します。

知り合いに尋ねる、本を読む、インターネット検索、などなど様々な方法があると思います。

しかしながら、それら得た情報をこんどは精査するという作業を行わなければなりません。

インターネット検索はその情報の信頼性の問題があります。本の情報というのはその本が発行される前の情報ですから情報が陳腐化している可能性があります。ワインにはヴィンテージがあり、毎年味わいが変わります。特に温暖化現象などの激しい気候変化でその様子は刻々と変わっています。醸造技術や畑の栽培技術も進化しています。また一方でAOC(原産地統制呼称)も変化しています。ラベルの地域が同じワインでも年月が経てばそのワインの造られる場所が変わっている可能性があります。造っている場所が変わるということは味が変化する可能性もあるということです。

実際の感想として南フランスのローヌ地方のAOC認定地域がかなり変化したことによって、北ローヌなどの味のスタイルが変わっているように感じます。

そういったことを踏まえて、あるやり取りを思い出しました。この季節に南フランスのワインを、ということで探すリクエストを頂いたことがありました。

ところが、その方のよくよく話を聞いてみると南フランスのイメージはプロヴァンスに合ったわけです。

「南フランスの白ワインだとミネラルの際立ったワインですか?」
「ミネラルと言えば塩味みたいなもの?塩味といえばアルルの南、ローヌ川河口のカマルグなんかで造られる塩ですね。」
「まあ、地中海の塩と言えばそれだけでもないんですが・・・」

というやり取りでした。

カマルグは河口のデルタ地帯で遠浅の湿地帯、池があります。

同じような場所がほかにもあるのです、モンペリエの西にある港町で有名なセート、ナルボンヌ、ルシヨン地方とスペインまでつながる海岸線も実は池、湖が続く遠浅の海が広がっているのです。ナルボンヌ郊外には塩田も広がっています。

こちらはプロヴァンスに比べれば日本人の印象度も低く、地味な地域です。

ここにも、独自のワイン文化、食文化がきちんと存在しています。

こちらも魚料理が多いですが、プロヴァンスほどの華やかさはないかもしれませんが、ここは牡蠣がおすすめです。もちろんシンプルな調理の焼き魚もおいしい。
海岸線に近い森で採れるジビエ(野禽類)も食欲をそそります。

これに合わせるおすすめは
fr-loc-0007-lrs グランジェット ピクプール ド ピネ
fr-loc-0011-org シャトー ペシェ ラ ブラン 
fr-loc-0009-lrs ジャン マール ラファージュ エル マセット
fr-loc-0010-org シャトー ペシェ ラ ヴィエイユ ヴィーニュ コルビエール
fr-loc-0005-bio マリア フィタ フィトー

ピクプール ド ピネ、はその意味が「舌に刺さる」を意味するほど酸やミネラルがくっきりしています。実際はそんなにすっぱいわけではありません。
シャトー ペシェ ラ ブランはマルサンヌですがこちらはもう少し口当たりが柔らかいタイプ。
赤はシラー種メインのワインですが、南仏らしい太陽をいっぱい浴びた凝縮した果実味とスパイシー感があります。

いずれのワインもお料理のソースに見立てて、召し上がってみてはいかがでしょうか。
よくワインの季節は秋から冬なんてことが、巷の常識などということが言われています。
どういう意味なのか自分なりに考えてみました。
ワインの季節ではない時期、つまり今頃の気候がワイン向きではないということでしょうか。
湿度が高くて、蒸し暑い。こんなコンディションの時に合う環境とワインについて考えてみます。

ヨーロッパは乾燥していて、夏でも日陰は涼しい。そういう気候がイメージされると思います。でも、地中海沿いは意外とむしむし暑い日もあるのです。

そういう時はどういうワインを飲むか。

個人的には海沿いのワイン、フランスならプロヴァンス、ラングドック、スペインならカタルーニャ、バスク、ガリシア、ヴィノ デ へレス、イタリアならカラブリア、シチリア、カンパーニャあたりでしょうか。

みずみずしい果実味、ミネラル、酸、アルコールの揮発性などの要素を考えると、これだけの要素を見ても涼しげなイメージが脳に植え付けられます。

夏が旬の食材とも合うワインもたくさんあります。

魚介類、枝豆、夏野菜などいろいろ食べ合わせてみるのも食生活を彩る一つのテーマになりえると考えています。
sp-ctd-0001 サン アレハンドロ レイシス デ ガルナッチャ 2013
sp-ctd-0002 サン アレハンドロ レイシス デ テンプラニーリョ 2013

これはスペインワインですが、ラングドックの名醸造家、ジャン・マルク・ラファージュ氏がピレネー山脈のふもと、スペインのアラゴン州、標高750-1100mにあるカラタユで造りだされたワインです。

もともとアサンブラージュ(ぶどうのブレンド)の天才といわれるラファージュ氏がピレネー山脈の反対のアラゴンで異なる畑のことなるぶどうをブレンドしたまぼろしのプロジェクトが1998年ヴィンテージでリリースされました。そのワインの名を「レイシスワン」といいます。

それを世界最高のテイスティング能力を持つワイン評論家、ジャンシス・ロビンソン女史が激賞したプレミアムワインです。
ラベルがロマネコンティに似てるとか、スペイン版DRCとかいろいろ言われてますけど、そんなことでは飲み手の興味を示すものではないと思っています。


そして、もともとこのカラタユで造られたぶどうに遠く離れたバレンシアのさらに南にあるイエクラのレバンテから持ってきたモナストレル種、カンポ デ ボルハで造られたガルナッチャ種とのブレンドなので長くは続かず、このプロジェクトはすぐに終了。その後は再開されることはありませんでした。

しかし、今回はそのアラゴン州のカラタユで造られたテンプラニーリョとガルナッチャの個性をそれぞれ活かしたワインをリリースします。

このあたりは夏は酷暑、冬は大雪に見舞われる場所です。本当に何もない場所で、少し前にボルハの教会にあった19世紀のフレスコ画が、近くに住む80代の女性によって無断修復によってサルのようになってしまった事件がスペインで起き、話題になったことがあったくらいでしょうか。

文化的にもこのアラゴン州はムーア人の侵略の北限と言われ、キリスト教、イスラム教文化が混在する場所です。

イスラムに侵略されながらも残ったぶどうの樹も残る土地。アラゴネスはほぼ生真面目なカタランのようなキャラクタの人が多いので、注目されることもないが真面目にぶどうを作ってきた人たちの成果を感じることができます。

色調や香は凝縮した黒果実ですが、ハーブやスパイシーさ、ミネラルが複雑性を生み出し、この地のハモン(ハム)などの肉の脂との相性はばつぐんです。

そういう意味では批評家が絶賛した評価とは違う評価ですが、私はこの地をイメージできる味わいとなっていると感じたので評価しました。

よろしくお願いいたします。
ランダムにワインの抜き取りをして状態をチェックすることを行っています。

お客様との情報交換で味わいについて疑問を感じたらすぐに行います。

中のワインの味わい、状態はもちろんですが、長期熟成ワインについて、熟成の進み具合についてもチェックします。

昨日、実施したのは、

fr-bod-0013 シャトー ポタンサック (メドック) 1997

です。

このわいんについては周辺のヴィンテージ(1996、1995など)のイメージからだいたいこんな味わいだろうという予測はしていました。

1995、1996、1998年あたりは良作年といわれ、近年の試飲でもまだまだ力強さを確認することができました。

1997年については高温多湿の夏で、病気が心配された年でしたが、この年はまさに生産者の判断がワインの出来を左右する年だったといわれます。

病気がつかないように、あせって収穫を終わらせた生産者は十分な凝縮感がなく、酸もタンニンも弱めになっており、柔らかい味わいとなりました。

しかしながら、このシャトーポタンサックは色調や香もブラックベリーを思わせ、液面のヘリの部分も透明感があり、まだアルコール感も十分でした。

細かい澱が出てきていましたが、慎重に、丁寧に注ぐか、デカンタージュすると果実の凝縮感がまだ楽しめる筋肉質な味わいです。やや凝縮したタンニンの古酒感を感じましたが、今楽しんでも、まだしばらく置いておいても楽しめるキャラクターであると感じました。

肉とこのタンニンの相性はとてもよく、熟成したボルドーを廉価で楽しむには十分な一本でした。
フランスから新入荷のお知らせです。シャンパーニュから2アイテムの入荷です。

グッドクオリティのシャンパーニュとしてはお買い得なアイテムです。

fr-chm-0005-lrs フレデリック マルトレ ブリュット トラディション ¥3,570 (税抜)

fr-chm-0006-lrs ブリヤール モリゼ グラン クリュ ブリュット レゼルヴ ¥4,680 (税抜)

ともにルコルタン・マニピュラン、家族経営のメゾンです。

しかしながら、フレデリック・マルトレは飲んだ感覚は自然な造り。ぶどう本来の持つ味わいをそのまま生かした、化粧しない女性を見ているようです。

かわってブリヤール・モリゼは良作年に収穫し、うなぎ屋のたれの継ぎ足しのようにソレラ方式で保存したリザーヴ・ワインをふんだんに使用しています。

シャルドネの聖地、コート・デ・ブラン地区で最もエレガントで ミネラルに溢れ、長命なシャンパーニュを生み出すメニル村で造られたシャルドネ種の良さを感じられる作りになっています。

高騰するシャンパーニュの中でこの価格は注目のアイテムです。
一昔前、日本でイタリア白ワインというとガヴィというブランドは主流の一つであったと思います。

その後、各地方で様々なタイプのワインがリリースされると、ガヴィはやや日陰の存在になったように思えます。

特別に品質が落ちたということではないんです。

外から見るとガヴィの品種でもあるコルテーゼ種とまっすぐに向き合っていて、インターナショナルなマーケットにさほど注力していなかったようです。

イタリアはどの職種、作品でもそうだと思いますが、職人気質で作品の完成度を追及し、世界が注目するという流れでした。

その流れのように、この地場品種を見直そうと思いました。それが今回の入荷になったわけです。

it-pmt-0013 カステッラーリ ベルガーリオ サッルヴィ ガヴィ 2014

白い花の香りやレモン等の柑橘や青りんごの果実香が主体。かすかに白胡椒の香りも感じる。味わい フレッシュで豊かな果実味と心地よい伸びのある酸味を持っている。

こんな、繊細な味わいは日本人にもきっと理解してもらえる味わいであると思います。


今回のイタリア新入荷ワインの中に it-lom-0002 プレヴォスティーニ サンタリタ ロッソ ディ ヴァルテッリーナ というワインがあります。
こちらのワインはキアヴェンナスカというぶどう品種を使って造られています。

あまり世間では聞かないキアヴェンナスカってどんなぶどうでしょうか?

答えからいうと、イタリア北西部で広く造られ、バローロやバルバレスコなどのワインを造るネッビオーロと同じ品種なのです。

このネッビオーロはピエモンテ州、ロンバルディア州、ヴァッレ・ダオスタ州で生産される品種です。

このあたりを文化的にみると山地の多い土地柄か、さほど広くもないエリアながら近隣へのエリアへの移動が困難だったせいか、文化交流が多くはなかった土地です。

そのため、ネッビオーロという名はクーネオ県での呼び名で、他の県ではスパンナ、ロンバルディアではキアヴェンナスカ、ヴァッレ・ダオスタではピクトゥネール、ピコテンドロなどと、呼ばれています。

このキアヴェンナスカが造られているヴァルテッリーナというエリアはイタリアとスイスをつなぐ場所であったため、独自の文化が育ってきました。

そんななかで5世紀以来、ワイン造りが続くソンドリオという町にある畑は急斜面で造られ、畑仕事はいつも登山という重労働を強いられています。

そんな中で造られたワインの味わいは、伝統的な造りをする生産者のバローロでもそうですが、フランスやスイスの文化の影響を受けたような味わいになっています。

氷河が作った地形に高山地帯の高い日照量という環境下で造られるワインは濃い色調のワインになりがちですが、エレガントな色調と味わいは、赤果実がフレッシュに感じられる、イタリアワインというより、フランスやスイスの食事のテーブルに並べたくなるワインといえるかもしれません。
ようやく、今頃、ブルネッロ ディ モンタルチーノを入荷したのには個人的な感情と理由があります。

多くの日本の方々は知らないか、お忘れになったころだと思いますが、2008年4月に発覚した、ブルネロ・ディ・モンタルチーノスキャンダルといわれる偽装問題があったことを。

ブルネロ ディ モンタルチーノにサンジョヴェーゼ種以外のぶどうがブレンドされているという疑惑が持ち上がり、ワイン醸造の基準を偽装しているとして、警察の調査が進められることとなりました。

政府もアメリカをはじめ、輸出を差し止め、調査を進めた結果、144,000ケースのブルネッロと75,000ケースのロッソ ディ モンタルチーノ、キャンティ クラシコとその他の赤ワインがIGT(地域特性表示ワイン。フランスの「ヴァン・ド・ペイ=地方のワイン」に相当する。)に格下げされ、11,000ケースのワインが蒸留に回されたと発表された。なお、差し押さえにあって、その後格下げされたワインは、そのカテゴリーのワインとして販売できるとした。

警察の公式発表では17人が関与し、その中にはかなりの有名なカンティーナも含まれていたようです。

個人的にいまでも疑惑が残るのは、差し押さえたワインの真偽をどうやって確定したのか?

実は確定でききらずに、出荷を待つより、格下げして出荷したことに不満があります。

もともと一本一本、チェックするのは数量的にも、テイスティング的にも不可能であったのは最初から明らかだったと思います。

結局、調査に乗り出した警察も捜査レポート作成に終始するしかなかったのです。

消費者側から納得するにはスキャンダルにさらされた生産者の自助努力で立ち直るしかなかったわけです。

噂のあった生産者は別として、自分の中で消化するためには昔から飲み慣れたブルネッロの記憶を信じるしかありませんでした。

そういう意味では、今回入荷した、

it-tsc-0007 カパンナ ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2009

は自分の中で納得できたヴィンテージであると確信したワインのうちの一本と言えるワインです。
イタリアから新入荷のお知らせです。

トスカーナ州の銘醸地、モンタルチーノ村より、ブルネッロ ディ モンタルチーノが入荷します。

it-tsc-0007 カパンナ ブルネッロディモンタルチーノ 2009 (赤)
時代の流れで、多くの生産者が熟成期間の短縮や小樽の導入などを行う中、彼は何一つ変えることなくワイン造りに取り組んでいます。

it-pmt-0013 カステッラーリ ベルガーリオ サッルヴィ ガヴィ 2014 (白)
伝統葡萄コルテーゼの可能性を追求すること。次に彼らの生まれ育った大地の土壌の個性を尊重する事。最後にこれまで4代に亘り培った経験の尊重と新しい栽培と醸造の技術の導入を図る事である。これら3つの理念を尊重しガヴィの探求を続けています。夏の涼を取るお食事にはよく合います。

it-lom-0001 プレヴォスティーニ サンタリタ ロッソディヴァルテッリーナ 2012 (赤)
ヴァルテッリーナの大地に根付いたネッビオーロの優雅さ気品を表現し、大切なひと時として食事とともにある洗練されたワインを造ることが原点となりワイン造りに取り組んでいます。

it-mrq-0001 テッレヴェルディ ヴェルディッキオ ディ カスティッリ ディ イエジ クラッシコ 1500ml 2013
it-mrq-0002 テッレヴェルディ ロッソ ピチェーノ 1500ml 2013
アドリア海に面した県都の港町アンコーナから内陸に30km入った街イエージは、神聖ローマ皇帝として名高いフェデリコ2世の西端の地として歴史にその名を留めます。
イタリア現地で飲むトラットリアのハウスワインさながらに、お手頃な価格で楽しめかつ、食事と共にのみ飽きしない味わいで業務店でのグラスやカラフェでの提供に非常に高い人気を誇ります。非常に高いコストパフォーマンスです。パーティにぜひおためしください。

よろしくお願いいたします。

Aqua Vitae
店長
河合
昨夜、お客様主催の食事会にお招きいただく機会がありました。

その時に食したのはトマト、バジルのサラダ、主菜もサーモンとハーブのソテー、フランス各地のウォッシュタイプのチーズでしたので、しっかりした味わいよりも繊細さを感じるワインがよく合いました。

それに合わせたのはチャコリ、ハンガリー、クロアチア、フランスのプロヴァンス、サヴォワのワイン。


ワインが造られている当地の食文化のイメージでセレクトでしたので、それほど外した感じでもなく、うまくまとまりました。

クロアチアとハンガリーのワインが特に時間の経過とともに良い変化を見せたので何回か試飲をしているものの新しい発見がありました。

ワインはその時々の状態、天候、料理、メンバー、グラス、サービスのタイミングなどによって様々な表情を見せるものです。

試飲用グラスで味を確認した時とは明らかに違う表情を見せたので、「へぇー」という感想でした。

まだまだ勉強が足りませんね。もっとワインを知るというところに時間をかけないとという反省の感想でした。

スペイン sp-bsq-0001 イルスタ ゲタリアコ チャコリーナ イルスタ(白・泡)
フランス fr-svo-0002-lrs ラヴィエ モンドゥーズ サンジャン ド ラ ポルト (赤)
フランス fr-prv-0002-bio バニョール カシー ブラン (白)
クロアチア cr-slv-0001 イロチュキ ポドゥルミ グラシェヴィーナ セレクテッド(白)
ハンガリー hg-pnh-0002-ntr パンノンハルミ アパーチャーギ ピンツェーセト パンノンハルミ トリコシュ レッド(赤)

上記のアイテムはそれぞれ赤、ロゼがありますので比較試飲もおすすめです。

よろしくお願いいたします。

Aqua Vitae
店長
河合
夏におすすめのワインは白が多いのですが、海の料理には海の近くで造られたワインをおすすめすることが多いです。

フランスは海に囲まれた土地ですが、ワイン造りの大きなキーワードである大西洋と地中海という海がワインの味に影響を与えます。

大西洋岸の生産地と地中海の生産地の違いはなんだろうと考えたときに気候や地形以外にもあるような気がします。

大西洋岸はボルドー、ロワール、南西部、地中海はラングドック、プロヴァンスがあります。

だいたい、大西洋岸のワインは造る人の創造性が反映しているように思えます。地中海は歴史が反映しているようです。

大西洋岸のワインは比較的どんなタイプにも合うようなワインを探すことができます。

地中海沿いのワインは食文化も似通っているせいか、どの地域でも近いキャラクタのワインが多いかもしれません。

その中でも近年は西部のルシヨン地方は創造性が反映されてきています。

そんなことを踏まえて、この夏はロワールとラングドックやプロヴァンスの白を飲み比べてみるのがおすすめです。

例えば、ミュスカデとピクプールはミネラルの相性の良さを売りにしたキャラクタですが、それぞれの当地でとれる海産物の違いがキャラクタの違いを生んでいるように見えます。

大西洋は海の深さもあります。それに対して地中海のピクプールが育てられている地域は遠浅の海が広がります。そこで楽しむ海産物も違います。

養殖の牡蠣などは陸地の環境が海の環境に影響を及ぼすため、場所によって味が変わるといわれていますが、海底の地形が海沿いの畑に影響を及ぼすこともあるかもしれません。

ロワール
fr-lor-0005 ギルボー フレール トゥーレーヌ ソーヴィニョン (白)
fr-lor-0008-lrs レトレ ダヴィ ヴァル ド ロワール ソーヴィニョンブラン レ パーセル (白)

ペイ デュ バスク
fr-sou-0007 カーヴ イルレギ イルレギ ブラン シュリ (白)

ラングドック
fr-loc-0007-lrs グランジェット ピクプール ド ピネ (白)
fr-loc-0008-lrs グランジェット カリニャンヌ ブランシュ (白)

プロヴァンス
fr-prv-0002-bio バニョール カシー ブラン (白)


よろしくお願いいたします。
古い歴史を持つ食文化に興味があり、いろいろ探求していますが、メディアの露出度はどうも、ヨーロッパの西側にフォーカスされることが多いようです。

ところが私は東側にも興味があります。

今、興味を持っているのはハンガリー料理です。ハンガリーの料理は数世紀の歴史を持つ調味法や調理法に基づいているといわれます。

もちろん、その間にハンガリー王国の領土拡大、縮小、ハプスブルク家による支配、オスマン帝国、ドイツ、ロシアによる支配などなど様々な外来文化が入ってきたためにいろいろな影響を受けています。

それらの影響を受けて、今ある形はなんといってもパプリカの使い方であると思います。

内陸国であるために塩味や香辛料などの使い方で食材を保存するということが第一義として考えられたのでしょうけれども、塩辛い料理のイメージが多いのではないでしょうか。

しかし、実際現地ではパプリカは100種類以上もあり、甘口のパプリカも存在し、見た目辛そうな真っ赤な煮込み料理でも辛くないものも多いです。


また、ドナウ川西岸で育てられるガチョウのフォアグラや「食べる世界遺産」マンガリッツァ豚なども有名です。

もともと遊牧民であったマジャル人の釜や鍋の煮込みがベースになった料理もよく見られます。

これらの料理には通常考えるとハンガリーワインが良いのではと思われがちですが、お勧めするのはクロアチアワインなのです。

cr-slv-0001 イロチュキ ポドゥルミ グラシェヴィーナ セレクテッド (白)
cr-slv-0002 イロチュキ ポドゥルミ カピストラン ツルニ セレクテッド (赤)

クロアチアのこれらのワインはスラヴォニア地方という内陸部で造られるワインです。

こちらの地方はもともとハンガリー王国の一部であり、海の影響より、ドナウ河の影響を受けている土地といえます。

ハンガリー王国が縮小した時、周辺国に多くのマジャル人を残したため、彼らのコミュニティーもたくさん存在しています。

こちらのワイナリーも創業が1450年からと伝統ある生産者なので当然、マジャル人の嗜好を反映した造りになっていると思わせる味わいなのです。

自身の感想では、パプリカ、野菜、肉の煮込みなどのなめらかな味わいにみずみずしい柑橘やクエン酸のきれいな酸を持つ白や、細やかなタンニンを持つ赤との相性が良いように感じました。

テイスティングしながらその土地の歴史を考えてみるとなぜこんな味わいになったかが想像できます。

お試しください。よろしくお願いいたします。

Aqua Vitae
店長
河合
フランス ブルゴーニュ地方の生産者(ドメイン)はボルドーのような会社経営とちがってほとんどが家族経営で瓶詰までやる生産者がほとんどです。

そんな生産者が農繁期の間を縫って来日され、自社のワインをプロモートされていきます。

そんな中で、私たちも生産者との交流の機会を持つことができます。

しかし、ボルドーのシャトーとは違って、アジアマーケティング担当がいるわけでもないし、名刺もないような、本当に小さな家族経営でワイン造りを行っているので、インターナショナルシーンに不慣れな方も多く、こちらから話しかけないと、交流もなく試飲のみで終わってしまうこともありました。

で、コミュニケーションがうまいとは言えない店長もなんとかせんといかん、と考えるわけです。

あらかじめ、いくつかの質問を用意していけばとりあえず、そのやりとりだけでも時間を消化することはできるだろうと。

で、その質問も栽培方法、醸造方法なんかはいろんな人からやまほど質問されているわけです。

質問を聞く方は初めて聞くからフレッシュな気分で臨むことができますが、答える方は同じ回答を何十回としなければならくて、もう、うんざりといった表情も見られます。

で、セミナーなどで質疑応答が始まると参加者も遠慮して質問もしないで沈黙の時間が・・・

私のポリシーの中のひとつは沈黙は禁なり、ですので、とりあえず挙手をするわけです。

司会の方、も嬉しそうに私を指名してくれます。

とはいえ、私の質問はワイン造りとはほとんど関係ないのです。ワインのスタイルは人となりで決まると思っていますから、その人となりを知ることで、ワインのスタイルにどういう影響を及ぼすかを図るにはその人個人の嗜好などを聞いてみるのが一番かなと思っています。

そういうことをベースに投げかける質問は、「家で夕食をとるときはいつもどんなワインを飲みますか?」

その中で私の不確かな記憶の範囲内では、その回答に、「白ならアリゴテ種、赤ならガメ種」とおっしゃられる方々が多かったように思われました。

日本ではブルゴーニュワインといえば赤はピノノワール種、白はシャルドネ種というイメージの方が多いでしょう。

しかしながら、それらのぶどうから造られるワインはあくまでも商売用に作っています。ましてや近年の作柄や生産量は決して良好ではありません。

なるほど、ではなぜアリゴテやガメを飲むのか、突っ込んで聞いてみると、「昔から飲んでたし、ほっとして美味しいから。」という回答もよく聞くことがありました。

別に少ないから飲まないというわけではないようです。

以前あるグランクリュの生産者を訪問した時、その区画は当然、シャルドネやピノノワールの作付しか認定されていないから、シャルドネしか作ってないと思っていたのですが、実はその区画の一番端に一列だけアリゴテやガメを植えてあったのを見ました。

当然、なぜそうするのか聞いてみました。

「最初は自家消費用で造ったのだが、ゲストに振舞うと、すごく好評でした。そこで家のみだけではなくゲスト用にも少しだけ栽培することにした。」

とのことでした。

値段の高いピノノワールやシャルドネのワインを造っているから、それを飲んでいるのではないかという安易な発想を反省しつつ、勉強になる時間を過ごすことができました。

そんなデイリーワインをブルゴーニュにお求めでしたら、こちらのワインがおすすめです。

fr-bgn-0020-lrs フランソワ トラペ ブルゴーニュ アリゴテ 2013(白)
fr-bgn-0017-lrs ビュイロン コトー ブルギニョン ルージュ キュヴェ アロブロジカ 2012(赤)
fr-bgn-0021-lrs フランソワ トラペ ブルゴーニュ ルージュ 2013 (赤)

よろしくお願いいたします。

Aqua Vitae
店長
河合
いいワイン、お値段の張るワインというイメージでまず思い出されるのがカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネの両品種でしょうか。

しかしながら、世界のぶどう品種というのはそれだけではなく、このカベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネは国際品種で様々な国に広く栽培されていますが、作付面積、収穫量としてこの品種が世界最多というわけではありません。

では、最も多く生産されている品種とは何でしょうか?

それはスペインで最も多く作られているアイレンという品種です。

この品種のイメージは大量生産、安いワインのイメージでしょうか。たしかに以前はこのワインは多少酸化して重い味で輸入されていたのをずいぶんとみました。
このあたりであまり良いイメージを持たない方々が多かったかもしれません。

現在では若飲み、フレッシュで軽く造られるようになりました。
しかし、それだけではありません。高い樹齢の木々を選定して、収穫を限定したり、良質のぶどうを選択することによって、その品質を高められるようになりました。

実際、スペイン国内でも高樹齢のぶどうの木から良質のぶどうが収穫されるという評価をするようになったのはそれほど昔の話でもありません。自身のイメージだと2005年ころくらいかというイメージです。

弊社のワインリストにもこのアイレンを使った商品があります。

sp-lmc-0001-org ラ テルシア イェマヌエヴァ アイレン

このワインはラ マンチャで造られています。
スペイン中央部にあるラ マンチャは高温、乾燥した気候にあり、牧草地の丘が幾重にもつながる平原です。このアイレンはこんな環境で生き続けられるぶどう品種なのです。
夏は45℃、年間降水量はたった350mm程度の厳しい気候の中で育ち続ける品種を選ぶには相当な努力がうかがわれます。

そもそも、このワインが造られることになったのは、この地で造られる赤ワインはとても凝縮感のあるテンプラニーリョやフミーリャという重いワインでした。
その希釈のために造られたり、酒精強化ワインであるヴィノ デ へレスの醸造工程における酒精強化、つまりブランデーを加えるわけですが、そのブランデーの原材料としても造られる品種でした。

そしてそんな環境の中でする1920年に設立された45haのアイレンおよびテンプラニーリョを所有する家族経営のワイナリー、ボデガス ラ テルシア。
樹齢の平均は50年以上(最大110年~)で全てフィロキセラの害を免れた自根の樹です。
フィロキセラすら生き残れないハードな環境下で1998年よりオーガニック農法を実践。 標高680mに位置する砂質土壌の樹齢平均90年のアイレンを手摘み収穫。
そんな丁寧に育てられたワインはふわっと広がるフレッシュなバナナの甘い香りにハーブのニュアンス、フレッシュで清涼感ある酸がキレ良く、心地いい辛口の白です。
これまでのアイレンのイメージを覆すワインについて再評価していただければ幸いです。
サンタカタリナ ツナの中身の画像を追加しました。

まだ全種類ではありませんが撮影を済ませた分からアップしていきます。

もちろん、撮影後は食べてしまいます。

印象に残るのはパテ、有機オリーヴオイル入り、さつまいも入りですね。

もちろんそのほかのハーブ入りのも美味しいです。

Aqua Vitae
店長
河合
いろいろなお客様と話していてふと思うことがあります。

フレンチレストランにはフランスワインだけ、イタリアンレストランはイタリアワインだけしかリストに置けないのか。

そもそも政治的に線を引いた国境というもので食文化の区切りがつけられるのか?

国境付近の食文化とはどっちの国のものなのか?

フランスで見てみるとフランスと国境を接している国は英仏海峡をはさんだイングランド、北からベルギー、ルクセンブルク、ドイツ、スイス、イタリア、アンドラ、スペインとあります。

そのあたりの地域、たとえばイタリアと接しているジュラ、サヴォワ、プロヴァンス、コルスあたりとイタリア側から見たフランスと接している地域はアオスタ、ピエモンテ、リグーリア。

この双方の地域の料理は私のしろうと目にみてもあまり変わらないような気がします。

スペイン側などはピレネーを挟んで北はバスク、南はアラゴン、、カタルーニャと国境と関係ない一つの文化圏が存在します。

実際にバスクやカタルーニャはしゃべる言葉はスペイン語、フランス語と違えども、一時は消滅の危機もあった共通の言語、バスク語、カタラン語などへの理解をしようとする人口も増えてきたと思います。

こんなイメージから単純ですけど、フレンチレストランでバローロやバルバレスコ、アオスタ、リグーリアのワイン、イタリアンでプロヴァンスワイン、ジュラ、サヴォワワイン、

またはフレンチレストランでスペイン側のバスク四州、リオハ、ペネデスのワイン、スパニッシュでフレンチ側のバスク四州、ラングドックのワインを楽しむ可能性があるような気がします。